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「影響力の武器」 -2度も3度も読み直すべき、営業マンのバイブル的一冊

前回のSPIN営業術の記事でも、営業マン必読的な書き方をした。ハウツー的には「SPIN営業」の方が良いと思う。しかし、もっと本質的な、また網羅的な内容を包摂している本に出会った。

実は出会ったのは5年前。何かの記事で、この本が良いということを聞きつけて、買ってあった。ボリュームも含め、買っておいて満足するまさに積ん読本となってしまい、5年間手つかずだった。「ああ、青い本があるなぁ、太いなぁ」ぐらいの感覚。タイトルのパンチの強さだけが残り、読まずの日々、、、ちなみに英語のタイトルは「Influence: Science and Practice」なので直訳すると「影響力とは?その科学と習得」だろうか。和訳が素晴らしい。パンチが強い(読んでなかったけど)。

そんな中、やっと読み始めた。きっかけはDaiGo師匠。昨年から登録したDラボ(当時はまだニコニコ動画)で、師匠の愛読書として紹介されてから、アマゾンで買おうとした。買おうとすると、「最後にこの商品を購入にしたのは2016/6/16です」と、あなたは持ってます的なメッセージが出てくれるではないか。アマゾンさん、意外と良心的。

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そんなことで、本の紹介。読後感は最高。会社で、輪読会もはじめた。多くの方々に賛同いただいた。もっともっと深堀りしていきたいと思う良書。少しだけ、なぜそんなに良書なのかを書いてみたい。

承諾誘導の技術の使い手

私は営業マンの端くれだ。まずまずの成績を残してきた、と思う。これからも当面、余程のことがなければ営業マンを続けるだろう。営業マンを続けることについて満足しているし、この仕事がスキだ。

営業マンの仕事のコアな部分が、「物を客に買ってもらう」ということ。これは、売り手側だけでは当然できない。売り手と買い手のコミュニケーションの上で、成り立つ。そこに、多くのドラマがあり、喜怒哀楽がある。大変なことも多いけれど、物を買ってもらうということは、とても面白い。買ってもらうことでお互いがハッピーになることも多いが、客に損をさせたと思わせたり、そもそも買わないという判断を、客がすることも多い。損をさせない(損をさせたと思わせない)ことは営業として重要なことのひとつだけれど、うまく行かないことも多い。

損をさせず、買ってもらうために、さまざまなアプローチを試みる。書き始めるといくらでも出てくる。意識的・無意識的に使っている話し方や方法。メールの打ち方ひとつもそうだ。そういったアプローチを、体系的に科学的に整理されたのが、この「影響力の武器」だ。全体を通読して、思い当たるフシがあり過ぎて、途中吹き出すこともしばしば。「それ確かにそうだ!」「そこまで言っちゃうと商売上がったりでっせ」などなど、反応が多すぎて、書き切れない。

買ってもらうためのアプローチの中でも、とくに強い影響力をもつものを6つにまとめている。これを、意識的・無意識的に使いこなしている自分がいる。十分でないこともある。例えば、「権威」や「好意」「社会的証明」「希少性」などは良く使っているが、「返報性」「一貫性」などは頻度が少ない。承諾誘導の技術の使い手としては、まだまだ未熟な自分を認識させてくれた。もっと上手くいくのではないかという、ポテンシャルも併せて。

カチッ・サー

固定的な行動パターンを「カチッ・サー」として、全体を通して使われている。ある特定な契機が自動で行動を促すということだ。これは、意識しているのとしていないのとで、天と地ほどの差がある、と思う。全ての人々の行動に、「カチッ・サー」の要素がある。例えば、先程私はモバイルモニターをアマゾンで買ったのだが、昨日同僚とモバイルモニターが欲しいという話を熱く語っていたことで、自分の中の「一貫性」を保ってしまい、買ってしまった次第だ。別に買わなくても、生きていけるし、ほかに会社で買ってもらうこともあり得た(実際会社でも買おうとしていた)。それでもポチッとさせてしまうのは、もちろんアマゾンのような承諾誘導の塊のような仕組みの影響力を受けていることもさることながら、自分の一貫性、コミットメントを守ろうとすることが働いたことに、他ならない。自分の行動すらも、分析・説明できるという意味でも、この本の力は強い。

とはいえ、全てを説明できるわけではないと思う。たとえば法人営業では、関係者が多いため、ひとりの人の承認をもらうだけでは仕事が進まない。もちろん、ひとりひとりの承認を誘導するための武器としては、より駆使するべきものだ。とはいえ、組織を「カチッ・サー」するための方法論には、本の中ではフォーカスされていなかった。そういった意味では従来のセールス本と大きく変わらない、BtoC的営業の要素が濃い。

BtoBの場合における影響力の武器の使い方、という目線でなら、大いにニーズがある。これはこれで、それこそSPIN営業などとの組合せで何とかなり得るか。良い本があれば探してみたい。組織の意思決定についての本とかも読みたいな。それがイコール、キーマンと組織とそれに対するビジネス展開との

また固定的な行動パターンを「カチッ・サー」と表現するのが古臭いとは感じた。今どき、テープはないでしょう。だからといって別の例えも難しいけれど。この本の価値を損ねるほどの古臭さではないけれど。

もっといろいろ、この本について語りたい

2度も3度も読み返したいと思った本。今年は、本とのホントの出会いが多い。本の言葉が身に染みるトシになったのかも。一言一言が、私にとってとても大切だ。

それでも読み切るには時間がかかった。私は7~8冊を同時に読み進めるやり方だが、どうしても太い本なので手が行く優先度が低かったこともある。読みやすいので読み始めると良いのだが、おそらく考えながら読む、読むべき本なので余計にそうなのだろう。

またどこかで、影響力の武器のテーマで書いてみたい。実例は面白いかも。輪読会も楽しみだ。仕事をもっと面白がれる楽しめる、そんな本に出会った。


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