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ブックレビュー:Silent Patient

引っ越し計画にまつわる色々で一時全く読めなくなっていた本ですが、4月からぼちぼち再開しています。Who Was ~?シリーズでウォーミングアップののち、長めの児童書で加速をつけ、今月に入って、ずっと気になっていたSilent Patientを読了しました。いえい!

主人公は心理療法士のTheo。父親の虐待に苦しんだ過去を乗り越え、愛する妻と暮らしています。そんな彼が強く興味を惹かれた、ある事件。夫殺害容疑で逮捕されたものの、事件後一切の感情表現をしなくなり、人とのコミュニケーションを取ることができなくなったAlisia。Theoは画家であるAlisiaの絵と彼女の症状に興味を惹かれ、彼女が収容されている療養施設に転職します。何とか彼女の心を癒したいと献身的…というか、傾倒しすぎでしょってくらい熱心に治療にあたるTheoと、なんだか癖のある周囲の人々。次第にAlisiaの夫殺害容疑の詳細が見えてくるのですが、関係者は皆何か隠していて…

これは面白かったです。正直なところ、この本は私には背伸び作品で、Theoの生い立ちや職場環境などの説明が続く30%前後までは休み休み読まないとしんどかったのですが、Alisiaとのセッションが始まってからはどどどっと読めました。ページターナーってやつ!

一般的に多読する場合、辞書を引かずともわからない単語を類推できる程度の難易度が良いらしいんですが、今回は私にとって背伸び読書であったため、めっちゃ調べました。Kindleありがとう! ゆえにぼやーんと解像度低めの読解だったのですが、和書で培った想像力でぼんやりした点は補完しざくざく読み進めることができました。あんまり枝葉末節にこだわらず雰囲気を楽しめる性格が幸いした。つくづく洋書読書に対するアドバンテージが高い私(自画自賛)。

ギリシア神話が物語に関わっているのですが、それがわりと私好みで、そこが大きかったかな。あと、全体的になんか陰鬱で不穏な雰囲気が漂い続けてるのもスリラーって感じで良きです。
ただ、これは私の読解力の問題かもしれませんが、所々登場人物の心の動きが不自然な気がしたり、なんか腑に落ちないというかもやもやっとした感じになったのも事実。登場人物が皆うすらキモくて、それがいい味出してるのに、そのキモさがいまいち生かしきれないような…。そう、うすらキモいんですよ。皆なんか正常と狂気のボーダーラインにいる感じ。その嫌な緊張感でぐいぐい攻めて欲しかったなあ…とか。いや、私の読解力が足りなかっただけかもしれませんが!

色々思うところはありますが、読んでいる間は非常に面白く読めました。文章もそこまで難しくなくて助かったし、そもそも話が複雑すぎないのが私にはありがたかった。
あとやっぱりね、大人向けの本を読める喜びですよ!
児童書にも十分満足しているけど、たまには大人っぽい読書もしたいからね! もう不惑ですから自分!!

この作品は邦訳も出ていますが、お値段がKindleでも1900円…高い…
こういうのを見ると、英語で読めることのお得感に打ち震えてしまいます。スキルアップとか年収アップとかしなくても、このまま本を読み続けてれば、和書や定価との差額で勉強にかかった費用の元が取れちゃうんじゃないかしら…ありがたや…

しかし、こんなに気軽に英語の本を読める時代が来るとは。私が高校生の時、街の本屋にあるペーパーバックは1冊2000円とかしたからね! テクノロジーに感謝ですわ〜


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