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CIVILSESSION 15: MOUSE

開催日:2018年7月21日 開催場所:東京・表参道 虎屋ビル2F

CIVILSESSIONはクリエイティブチームCIVILTOKYOのメンバーが様々な分野の方と行うアートセッションです。決められたキーワードを元に、発表者たちが一週間で作品を制作します。キーワード発表から一週間後にそれぞれの作品のプレゼンを行い、参加者の投票でグランプリを決定します。

第15回目のキーワードは「MOUSE」。
CIVILTOKYOの3名とゲスト参加者4名の計7名で行いました。

具志堅幸太(ニットウェアデザイナー)
・齋藤貴広(機械技師)
末田正輝(ファッションデザイナー)
田上亜希乃(グラフィックデザイナー)

グランプリは田上亜希乃に決定しました。

参加者の中で唯一「ネズミの視点」にフォーカスした田上の作品は、もしネズミが雑誌を読むなら・・・という架空の設定のもと、食べ物やファッション、アートなどを盛り込んだシティ・マウス向けのネズミサイズのカルチャー誌「MOU MAG」を製作し、見事グランプリを獲得しました。
伊藤はディズニーランドでの遊びの一つである「隠れミッキー探し」を都内で実践し、それを元にSNSを活用した作品を製作、杉浦はマウスが一般的に実験動物の代名詞になっているとし、自身を被験体とした「りんごだけを食べ続ける実験」の記録を公開しました。齋藤は画像認識の技術を応用したネズミロボットである「ネズミくん」を披露、具志堅はミッキーを例に挙げ「ネガティブな印象のものに良さが見つかると、ポジティブなものに反転する」という仮定のもと、自身の汚いと思うもの=男性ブリーフを巨大化し、マフラーに仕上げました。末田はmouseに纏わる英語のことわざから着想したデザインをTシャツとして提案、根子はカーソルを動かすマウスの機能を持たせた猫耳型のウェアラブルデバイスを着用し、その場でパフォーマンスを披露しました。

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①伊藤佑一郎(写真家)/TOKYO隠れミッキーMAP

ディズニーランドにはアトラクションやパレードなど以外にも秘密の楽しみがあることを知っていますか。とても有名なので、むしろ知らない人はいないんではないか思いますが。ディズニーランド内にはお店や道、トイレにいたるところまでミッキーマウスが隠れています。それを見つけるという「隠れミッキー探し」という遊びです。細かいところまで楽しませる準備をしているのはさすがディズニーですよね。でもこれディズニー側は隠れミッキーとしていとしてないんじゃないってやつも結構あるんですよ。勝手にお客さんのほうが隠れミッキーだと思ってるだけみたいな。でもマルが3つ並んでいたらいたらミッキーと思ってしまうんだから、この刷り込みすごいですよね。そんなことを考えていたとき、会社に貼ってあったこの3人の女優がならんだポスターを目にし、いやこれミッキーだな!と。その時隠れミッキーはディズニーランドだけにあらずだと気づきました。自分のまわりにはどれだけのこじつけ隠れミッキーがいるのか急に気になりだしました。基準は隠れミッキーと同様で、マル3つが並んでいたらミッキーと認定。隠れミッキー認定したものは専用のインスタグラムアカウント「tokyokakuramicky」に位置情報をつけて投稿しました。もし見つけた方いればこのアカウント宛に送ってください。

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②杉浦草介(デザイナー)/りんご実験

マウス(主にハツカネズミ)は最も一般的な実験動物らしいです。確かにマウスという言葉自体が「実験用動物」の代名詞にもなっている気がします。自分自身が被験者となり、その過程を記録することによって自分を「マウス」と化しました。
3日間(72時間)の飲食物をリンゴと水だけに限定し、「自分がどうなるかの経過」を見るという実験を行いました。先立って用意した報告カードに3時間毎のリンゴ/水分摂取量、りんごの摂取(調理)方法、体重、体調等を記録(記録のために睡眠も3時間毎に目覚ましをセット)。また、実際のマウスでは意思疎通ができませんが、今実験では自分の心境の変化も含めて日記のように記載しています。開始前には割と余裕じゃないかと思ってましたが、実際は想像以上に辛く、自分がボロボロになって行く様が見て取れます。
※数名から「これ、りんごダイエットってこと?」とのご質問いただいたので書いておきますが、基本的なりんごダイエットは1日のうちの1食をりんごに置き換えるというもので、他の2食で必要栄養素が補給できます。「3日間りんごと水だけ」は健康上好ましくなく、特にこの季節は塩分不足等に陥りやすいです。事実、途中で目眩や筋肉痛等の症状が出て意識が朦朧とし始め仕事に支障があったので、2日経過した辺りで塩分(塩)を補給せざるを得ない状況になりました。楽しかったです☆

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③齋藤貴広(機械技師)/落ち着けネズミくん。

mouseというとハツカネズミ。生き急いでいる、せかせかしている、というイメージを持っています。それはいろんなことを急いて、やりすぎてなにが自分にとって大事なものか判らなくなっている多忙な人に似ていると思いました。その多忙な人が使うことで自省する事が出来るツールとして、機械ネズミを作成しました。Arduinoをベースとしたロボットで、画像認識したものに合せて動きます。3つのモードを作成しました。以下の効能を狙っています。
①慌ただしくその場で回るモード効能→使用者が自分の分身を視ている気分になる
②大事なもの(クラッカー箱)の前では落ち着くモード
効能→使用者が大事なものを思い出し、落ち着ける
③新たに大切なものを探しに行く(自由に走りながら、目標(今回は赤色のもの)をみつけて追いかける)モード
効能→使用者が新しい事に踏み出す事を後押しする。
そもそも自分が超多忙なので、定期的に自分に使いたいと思います

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④具志堅幸太(ニットウェアデザイナー)/ミッキーマウス的デザイン

イギリスに住んでいた頃ねずみは悩みの種でした。数回引越しをしたのですがどの家にもねずみが住んでおり結局どの家も人間とねずみとの共同生活でした。そんな生活を経た僕はねずみが好きではありません。ねずみにまつわる慣用句を調べてみると、家に鼠、国に盗人 - どんな世界でも害毒となる存在は必ずいるということ。等の慣用句が存在することを知り先人もねずみに対していい印象を持っていないのだなあ思いました。しかしミッキーマウスはポジティブな雰囲気がむんむんです。本来嫌われている存在のねずみのキャラクターなのにミッキーは世界中で愛されている。なぜだ!そこで嫌いなものや汚いものの中に可愛さや面白みを見出すと、嫌い、という感情がある分それが反転して好き、や面白い、になるのでないかと考えました。自分のなかで汚いものと考えて出てきた男性用の下着のディテールやサイズ感を変えてマフラーとして作ったら可愛くなるのではと思い大きなブリーフをマフラーとして編みました。

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⑤田上亜希乃(グラフィックデザイナー)/MOU MAG

普段人間が見ている目線を、ねずみ目線へ。ねずみのための雑誌を考えました。タイトルはMOU MAG。ねずみライフをより鮮やかにするカルチャー誌。City mouseのため、新しい視点からアートやファッション、グルメなどを紹介していきます。それぞれのコンテンツは、ねずみが見ているであろう世界を想像し表現しています。
FOODでは、道端のゴミ、台所の生ゴミ、盗んだチーズなどを使用した料理を紹介。器はペットボトルの蓋、葉っぱ、新聞紙などを使用しています。FASHIONページはジュエリーの提案で、FOOD同様に拾ったゴミから小さな首飾りや、ブローチ、コサージュを制作しました。ARTでは、写真やペイントでねずみ版現代アートを紹介。メインコンテンツの合間に、ねずみを勇気づける広告やコラムを挟んでいます。サイズはハツカネズミ程度に適したサイズの42mm×55mmにしました。

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⑥末田正輝(ファッションデザイナー)

今回のキーワード「mouse」にはいくつか慣用句があります。
その中から気になった慣用句を一つのイラストで表現し、シルクスクリーンでTシャツにプリントしました。

mouse and man : 生きとし生けるもの全て

「生きとし生けるもの全て」=「地球」と考え、「mouse」と「man」のみによって地球を表現しています。

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⑦根子敬生(デザイナー)/キャット

私は「根子(ねこ)」という比較的珍しい苗字なのですが、今回、猫の天敵である「鼠」がキーワードになったので、鼠なんぞに負けてはならぬと、コンピュータのポインタを操作する「マウス」に替わるウェアラブルデバイス「キャット」のプロトタイプを制作した。
これは、コンピュータを机に座って・手で操作する、といった簡易性・利便性の追求ではなく、自身の身体自体を入力装置とすることで、よりダイナミックにコンピュータを操作することを目的とした試みです。
技術仕様は、頭頂部に設置した加速度センサによって装着者の運動を感知するという至って簡易的なものです。しかしこの原始的な装置は、深度センサ付きカメラによる人体認識等の身体に直接負荷のかからない入力方法にはない、より身体的な操作感があり、そこに私は可能性を感じています。
実際にはそれは、このようなお茶目な装置である必要はありません。

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