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司馬ヲリエ
2018年3月6日 14:48
春の鳥の声玄関を叩く音晶「(扉越しに)すみませんーどなたかいらっしゃいますか?」碧「はい、はい…」足音玄関を開ける音碧「はい」晶「あ…、」碧「どちらさんですか?」晶「中島と申します。中島…晶です。…はじめまして」音楽(逆再生)台所の音碧「瑛子、瑠璃子、ごはんできたでよ」瑠璃子「はーい」碧「瑠璃子、これ持って行って」瑠璃子「わ、美味しそうなカボチャ」碧「隣の
2018年3月6日 14:45
海の音音楽(女1ナレ)おばけ海岸では会いたい人の幽霊に会える、そんな噂がある。春の明け方、薄く霧がかかった入江に焚き火の炎がぽつりぽつりと一定の距離を保って揺らめいている。幽霊を待つ人たちが砂浜のあちこちで静かに佇む。お互いの顔は霧のせいでボヤけてよく見えない。もしかしたら、そこにいるのは会いたい人を待っている幽霊なのかもしれない。海の音焚き火の音女1「もしかして、お
2018年3月6日 14:40
(中川)裏路地の闇だまりから現れたその化け物は、顔は人間、体は狼、まるで獅子女・スフーヒンクスを思わせるような姿をしていた。顔に掛かった長い黒髪の隙間からは、もの悲しそうな目がこちらをじっと見ている。見覚えのあるその顔に私はぎょっとして、まるで鮒のように口を開けたまま立ち尽くすしかなかった。化け物は私に歩み寄ると、聞き覚えのある女の声で呪いの言葉を囁いた。喫茶店にて中川「…なんです
2018年3月6日 09:21
屋敷に面を打つ音が響いている戸が開く音雨の音仙之助「いやぁ〜、草履がびしょ濡れだ」三右衛門「ご苦労だったな、仙之助」仙之助「三右衛門、やはりお前の面は評判が良い。依頼主も喜んでいたぞ」三右衛門「そうか。それは良かった。…ん?どうした、脇差しなど下げて。侍にでもなったつもりか?」仙之助「これか。俺みたいな旅商人はどこで命を狙われるか分からんからな。それに最近は町外れに幽霊が出るって噂
2018年3月6日 08:54
音楽フクロウの声焚き火の音旅の商人が1人、休んでいる商人「山での野宿には慣れてるが不気味なもんだ。早く朝にならんかな」ガサガサと音がする商人「ん…?なんだ?…熊か?」高虎「おい」商人「…あ…あわわわ……お、お、鬼だ…!あわわわわわ…」高虎「着ている服と持ち物を置いていけ。さもなくばお前を食ってやるぞ」商人「は、は、はひ!」商人、急いで服を脱ぐ商人「ど、どうか、これ
2018年3月6日 08:48
蝉の声夏の山道田舎のバスに乗る少年がひとり婆「ぼうや、ひとりかい?」少年「うん」婆「ひとりでバスに乗って、えらいねぇ。いくつなの?」少年「7さい」婆「へぇ7歳!どこから来たの?」少年「東京」婆「えぇ?東京?遠いとこから来たんだねぇ」少年「これから親戚の叔母さんちに行くんだよ」婆「道わかるのかぃ?」少年「去年も来たことあるからだいじょうぶ」婆「へぇ〜えらいねぇ」少年「パ
2018年3月6日 08:40
山の中何度もエンジンをかける音梨沙「どう?高原さん」高原「うーん…なんとも…こんな山奥で故障だなんてな…」梨沙「携帯も圏外で繋がらないわ」音楽(高原ナレ)彼女の梨沙と旅行へ行った帰り道、ショートカットのつもりで山道に入ったが、とんだ災難に見舞われてしまった。梨沙「このまま日が暮れたらどうしよう〜」高原「今は…(腕時計見る)3時か。困ったな…」美樹「大丈夫ですか?」高原
2018年3月6日 02:21
倉本ナレ(淡々と)「ある日突然、世界人口が3分の1ほど消滅した。世界は混乱していたが、ぼくの街は、冷静に、秩序正しく、普段通りの生活をしていた。まるでそのことから目を背けるように」会社のオフィス倉本「すみませんが、お先に失礼します」課長「ちょっと倉本くん」倉本「はい」課長「君、今月の目標ぜんぜん達成できてないでしょ」倉本「はぁ…すみません」課長「すみませんじゃないんだよ!どうす
2018年3月6日 02:15
風の音足音須賀「ふぅ。4月とはいえまだ寒いな。」(須賀ナレ)現在の時刻は朝の4時前。まだ夜のように暗い。そんな時間に僕はシャベルと懐中電灯を持って裏山に登った。裏山には小さな池があって、そのほとりには大きな桜の木が生えている。今まさに満開の桜は、冷たい風に吹かれザワザワと音を立てて花びらを舞わせた。さすがにこの時間に花見客は居ない。桜の木の下に座って真っ黒な池をぼんやり眺めて
2018年3月6日 02:07
雨の音ぽつぽつからザーッ喫茶店の音楽マスター「今日もよく降りますね。」男「そうですね。」(男ナレーション)雨の日は決まって駅近くの小さな喫茶店に立ち寄る。昔からあるレトロな雰囲気の喫茶店。ぼくはそこの窓際の席に座って、あたたかいココアを飲みながら行き交う人や雨粒が窓を伝うのをぼうっと眺めたりする。色とりどりの傘が灰色の街を彩る。ピアノと雨音が心地いい。ぼくは雨の日が嫌いじゃ