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第2子分娩先を決めるのに4か月かかった話

先日、和歌山の産科医不足の地域で、妊婦さんが何時間も時間をかけて検診・分娩に向かっているというニュースがあった。同じ妊婦さんたちの苦労や不安を思うと、とても居た堪れない気持ちになる。そして、仕事上でも友人でも医師という職業は身近で、特に産婦人科というのはハードだなぁと思うからそんな仕事に毎日取り組む友人たちを誇りに思う。

翻って、私、東京のど真ん中にいて、リスク妊婦でもなく、分娩先選び放題の贅沢な悩み。

それなのに、なぜ悩んだかというと、
「前回のお産に納得していない自分を認めるまで時間がかかったこと」だった。


前回のお産は、急に子の体調がわるくなり、陣痛に耐えたあと緊急切開となってしまった。
結果、母子ともに無事で元気だからそれが一番(それは本当にそう!)、そして、担当医の技量と人柄も素晴らしかった。人生で何度もあることではないので良かったと思いたい、無意識にそう言い聞かせていたんだと思う。その証拠に、前回と同じ分娩先を予約している私がいた。

でも心の奥底で、もやもやしていることがたくさんあった。「あーいいお産だったぁ」て思えていない、自分がいた。悪気はないのだろうが「変なお産だったね」という身内にも腹が立てども言い返せない自分がいた。

分娩先の選択を決める要素は色々あると思う。
通いやすさの点では
・家からの距離
・費用
・里帰り出産にするか

医療・ケアの方針
・母子ともに緊急時でも対応可能(安心、安全)
・医師の相性、システム(担当医かランダムか)
・助産師の雰囲気
・母子同室
・母乳指導が厳しいかどうか
・健診設備(エコーに4Dがあるか等)
・無痛分娩ができるか
・産後緩和ケアの方針
・VBACが可能か
・立ち合い出産/面会ができるか
・コロナ対応の方針
・待ち時間の長さ

その他プラス要素
・ごはんが豪華、おいしい
・お土産が豪華
・施設がホテルのようにきれい
・個室がある、家族が一緒に泊まれる


ザーッとこんな感じかな。

東京の病院はどこも環境が整っていて、結局はどの先生にあたるか、どんなお産になるかなど想定できないことも多々あり、実際全部はわからない。

なので、「一番近かったから」「ごはん美味しそうだったから」「セレブ院だったから」という理由で選んだという友達もたくさんいて、それはそれでいいと思う!でも私にとってはそういうことはどうでもよかった。ブランドとか、ごはんや部屋は退院してから家族で旅行すればいいと思う派

私の譲れない条件は以下だった。
1ー安心安全
2-家からほどほど近い
3ー術後(入院中)心が傷つかないところ
4ーできれば、VBACの可能性

今回、多くの医師を含めた友人らに相談する中、
・前回術後に麻酔が効いていなかった可能性(効いてないことすら気づかずそれの訴え方を知らなかったこと)
・前回、母子同室&母乳スパルタだったが、実はそんなに頑張らなくてよかったということ
・複数の助産師のたくさんの言葉に心が深く傷ついていたこと

をやっと認めることができた。


実際に体験するまでそんなことわからない、相対評価もできない。
とにかく命が無事でよかった、ということだけだった。

今回やっと決断した産院は技術や設備は申し分ないのだが、大病院でどうかなと最初は思った。ただ、一度受診した際に、担当してもらった医師と助産師がプロフェッショナルだったのみならず、その人たちの言葉が、接し方が、前回のお産でできた心の傷に、一つ一つガーゼを当ててくれるような、そんな優しさがあった。ネットの情報も(どこまで信じるかではあるが)同じような体験をした人の口コミがあった。この人たちだったら無事産ませてくれそう、産後きつくても寄り添ってくれそう、頑張れそう、そう思った。

お産だから想定外のトラブルはあるかもしれないけれど、今回、友人、プロ、あらゆるネット情報を血眼にして検討に検討を重ねたこのプロセスを大事にしたい。

そして、たぶん最後になるであろう次のお産をめいいっぱい楽しみたい。
やっと前向きな気持ちで、楽しみになってきた。

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