見出し画像

「知ってほしい… 子どもの発達には”オンライン”ではできないことがあることを」

NPO法人「みんなのことば」は、音楽家と一緒に幼稚園・保育園を訪問し、子どもたちの目の前で演奏する、「音楽で子どもの心を育てる」活動を行ってきました。 新型コロナ の影響で、幼稚園・保育園の訪問ができなくなり、特にこの数ヶ月は事業収入0円という苦しい状況に追い込まれる苦境の中、団体の存続に奔走された、「みんなのことば」代表の渡邊悠子さんにお話しをお聞きしました。

―「みんなことば」の活動概要を教えてください。―
【音楽で子どもの心を育てる】
心や感性の発達には6歳までの未就学児期が一番大切と言われています。そして子どもたちの心や感性を育てるには、五感すべてで感じること、自由に表現すること、が大切だと考えています。
だから私たちは、「音楽で子ども心を育てる」という活動をしています。幼稚園・保育園を訪問し、音大卒のプロの音楽家たちが、子どもたちの目の前でクラシックコンサートをします。演奏中「静かに聞きましょう」という約束はしていません。手を叩いたり、笑ったり、体を揺らしたり…子どもたちは自由に反応・表現してもらっています。音楽家も子どもたちと目を合わせて、子どもの反応に共感を送り、反応を引き出すという役割を果たしています。2009年の設立から11年ほど活動を続けており、幼稚園・保育園で行う「みんなのコンサート」というプログラムは、2019年度で約120公演開催していました。

画像2

※みんなのコンサートin MC FOREST SCHOOL 2019の様子。

―コロナ禍でどのような影響を受けていますか?―
【コロナ禍の影響…数ヶ月事業収入0円】

コロナ禍の影響で、3月以降は大幅に収入減となり、特に4月以降は事業収入0円が続いている状態です。幼稚園・保育園の休園になるキャンセルはもとより、休園明けでも「歌って踊れるクラシックコンサート」は、まだ実施が難しく、秋以降になれば少しずつ実施できるのでは…と思っていますが、8月下旬現在まだまだ見通しが立たない状況です。

【子どもの体験活動は、オンライン化になじまない】
「オンライン開催はどうだろう」と声をかけてくれる人もいます。しかし私たちは「五感を使い」「自由に表現する」双方向コミュニケーションを大事にしています。特に子どもたちの心や感性に訴えかける私たちの活動は、簡単にはオンライン化できないと考えています。

―収入が大幅減の状況を、どのように乗り越えていらっしゃいますか?―
【生き残る、という決断】

正直、「乗り越えたか?」は今でも分かりません。「明日、どうなるか」という状況です。活動に影響が出始めたのは2月からでした。3月のコンサートがキャンセルになり始め、海外の状況を見て「怖いな」と感じていました。そこで3月末、「経費削減」のために事務所の引っ越しをしました。また支援者からアドバイスをいただき、「持続化給付金」と区の「制度融資」への申し込みを行いました。特に「セーフティーネット保証4号認定(*1)を取る」というアドバイスは、その後の金融機関との融資相談に役立ちました。

【日頃のお金の管理が大事】
持続化給付金や融資などの申請でよかったと思う点は、日頃の会計処理をしっかり行っていた点でした。税理士や弁護士の方が理事・監事として参加してくださり、通常の事業法人と同じような会計書類を日ごろから作っていたため、各種の申請もスムーズに行えました。

みんこと様_1.1.4

※webで行った本インタビューの様子。(左上:渡邊悠子さん)

―コロナ禍における支援への課題があったら教えてください―
【支援の差 〜助成金が付きづらい事業】

「みんなのコンサート」は、障害のある子ども、貧困家庭など特定の分野に特化させず、広く子ども全員を対象にしています。特定の分野に特化している方がさまざまな助成の対象となることが多く、それらの申請に苦労しています。またコロナ禍では、子どもや文化芸術分野でもオンライン化を前提にした支援があります。今だからこその事業として、また広報の一環として私たちも取り組んでいますが、団体としては「生で体験すること」を一番大切にし、簡単にはオンライン化できないため、その点でも苦労しました。

【音楽家も支えていきたい】
「みんなのコンサート」は、参加している『プロの音楽家』の尽力が大きいです。そして彼らはフリーランス・個人事業主で、彼ら自身も収入が途絶え、困窮しています。音楽家の皆さんも一緒に”乗り越える”ことができるよう、助成金や支援に関する情報提供や、申請資料作りのサポートも行っています。

―今後について、お考えや不安をお聞かせください―
【オンラインではできない活動がある】

皆さんもそうだと思うのですが、「これから、どうしよう」というのが正直なところです。しかし子どもの成長や発達については、単純に「なんでもオンライン化」というのは少し違うと考えています。特に子どもは、日々成長している中、五感を使った体験がとても重要です。

コロナの影響で運動会や遠足を中止、という状況が続いています。短期間であれば、それも止むなし、ですが、長期間になる場合は、「子どもたちにどのような影響が出るのか?」「それが正しい選択肢なのか?」について、皆さんで考えていきたいです。
子どもに必要な支援という本質を考えながら、単純な「中止・オンライン化」だけではない選択肢や支援について、私たちも情報を発信していきます。

(*1) 中小企業庁 セーフティネット保証制度(4号:突発的災害(自然災害等))
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_4gou.htm

<NPO法人みんなのことば>
https://www.minkoto.org/
▼オンライン寄付サイトで、寄付を受付中
https://giveone.net/supporter/project_display.html?project_id=20109

#新型コロナウィルス
#子ども
#音楽
#体験
#NPO

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?