181031 最強ラーメン文化に対抗する 蕎麦界の切り込み隊長。 それこそが肉蕎麦。
皆さん、ラーメン屋さんに長蛇の行列ができているのを見たことがあるだろうか。
もちろんあるだろう。いや、その経験がない日本人なんていないに違いない。
では、蕎麦ならどうだろう。
ラーメンなんて本格的な歴史はたかだか100年くらいしかないが、蕎麦は1000年以上前から日本で食べられてきた、いわば麺類の中では「ラーメンの大先輩」にあたる重鎮だ。
しかし、そんな大先輩も人気という点では、ラーメンに大きく差をつけられている。蕎麦屋で行列ができているところはなかなかお目にかかれない。
このラーメンと蕎麦の違いを試みに考えてみると、まず圧倒的にボリューム感の違いがある。ラーメンは小麦粉ベースの麺に油たっぷりのスープが絡み、その食後の充実感たるや。多くの日本人を虜にしてきた真髄はまずそこにある。
そして、加えてスープや具材の味の明確さも人気の1つ。塩分や辛味がよく効いたスープ、食べ応えのあるチャーシュー。これらの要素を備えたラーメンとは、まさに大衆に食の充実を与えるために生まれた存在といっても過言ではない。
こうなると、基本さっぱりとした蕎麦はなかなか分が悪いのも改めて納得である。
しかし、蕎麦界にも、最強とも言えるラーメン文化に対抗する切り込み隊長がいるのだ。そして、その切り込み隊長が鎮座するのは、東京・虎ノ門。
昼時ともなれば、人気ラーメン店よろしく長蛇の列ができる。
小さく出されているその店の名は「港屋」。某人気漫画で登場したことでお馴染みの超人気の立ち食い蕎麦屋だ。
はて、ラーメン文化に対抗するこの店の蕎麦とは一体いかなるものなのか。
その全貌をご覧いただこう。
店内が尋常じゃなく暗いため分かりづらいのだが、タレと蕎麦が分かれているスタイル。そして、蕎麦の丼には何やら具がてんこ盛りである。
これがこの店名物の「肉蕎麦」であり、まさにかの行列を生み出している最大の要因。蕎麦の上に、豚バラ肉とネギ、ゴマ、海苔が、とにかくこれでもかと盛られている。これがまさに、多くの日本人を虜にしてきた「ラーメン的食べ応え」を食べたものに与える。蕎麦界においては画期的な装置と言える一面。
もちろん、麺も旨い。そして、量が半端ではない。
固めにしっかり茹でられた蕎麦をピリ辛のタレにつけて豚バラ肉やネギと共に豪快に頬張る。ああ、なんたる幸せ。濃い味に暴力的なまでの充実感。これこそラーメン的魅力を兼ね備えた 完璧な蕎麦なのである。
これがラーメンに切り込む蕎麦界の切り込み隊長の真髄である。
これが「肉蕎麦」なるジャンルの可能性である。
虎ノ門にて、この異端児たる存在感をぜひ体感して頂きたい。
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