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【連載エッセイ】嗚呼・・・熟年婚活~[12.悩ましい、紳士-Mr.B]

結婚願望がなかったワーキングウーマンのチャレンジはいかに・・・


B氏は、某有名大学ご出身で大学のヨット部でした。という、お聞きするからに恵まれたお坊ちゃま系統の方なのだと察しながら、静かに品のいいおつきあいが何か月か続いていた。

海の男の側面があるようなのだけど、デートを初めてからの季節が秋冬~春だったのもあり、B氏のご趣味のひとつのヨットの話題はあまり出てこないし、海へ行こう。というお誘いもない。「暖かくなってきたらぜひ。」と軽く投げかけられたきり。
ランチやディナーなどのお食事デートばかり。
それはそれで食の趣味も合い、美味しいお店を交代でセッティングし合い、お店の外れもない。フランクながらも品のいい会話が弾み「楽しいお食事タイムでした」という思いで別れる。「じゃ、また!」

私の誕生日や新しいお仕事祝いをさりげなく、きちんと、していただける気遣いもある紳士のB氏。
ゆるやかなメールでのやりとりと、ぽつりぽつりとお食事デートがパターン化している感じ。お食事デートはそれでいいのだが、「このひと、いいな♡
好きだな♡」と心に刺さり、胸をときめかせる何かがない。
これではよくある妻子ある男性からのお誘いで、ごはん食べたり、飲みに行ったりしているかんじと変わらない。
と思っているうちに、季節は汗ばむような気候になり、またB氏よりお食事のお誘い。
少し久しぶりだったし、季節も変わったので、フレッシュないで立ちでお会いしてみよう!と、おしゃれに少し意識を向けて、ノースリーブのデザイナーのワンピースに軽くカーディガンを肩にはおり、いつもよりちょっぴり赤いリップをつけて出かけた。

「そのワンピースいいね。似合っていてステキだよ。」とB氏。
この、すかさず気づいてくれて、言葉にしてくれるところがうれしい。
すかさずにこういうセリフを投げかける男性は、おしなべてイケイケのナンパ系が多い印象だが、B氏はあくまでも紳士的な発言なのである。
B氏セレクトの神楽坂の高級焼き鳥のお食事は、いつものように進む。
おしゃべりも弾んでいるころ「出ようか。」と切り出され、あれ?突然だな?と思ったが、店を出た。
次に行きたいバーでもあるのかしら。と思ったら、帰ろう。ということに。
なんとなく腑に落ちない流れを感じつつ、じゃあこちらで。と別れようとすると、○○まではいっしょに行けるでしょ。と、B氏。
JRの駅までいっしょに行き、電車にいっしょに乗る。並んで立ちつり革に手をかけながら、無言なのも落ち着かないからと、私は適当なことを話しかけはじめた。するとB氏は答えずに、私の腰に手を当てたので、びっくりして「なに?!」と反射的になると、その手は私の身体を撫でて手をにぎってきた。
ふたたびびっくりして、笑みをつくりながら「どうしたんですか」とB氏を見ると、いつもやさしく微笑んでいる彼のお顔は正面を見たまま真剣だった。
そして、それから○○駅に着くまでの間、無言で手をにぎられ続け、
彼の手指が「意図あり」のにぎりに変化していくのだった。

私も女らしさを少々アピールするようなファッションで会ったのは、何か刺激や変化を内心期待していたと思うし、B氏ももしかしたら、今日は一歩勝負に出よう。と思っていたのかもしれない。
しかし、電車の中でつり革を片手に「意図あり」で熱くにぎられても、その意図に私はにぎり返せず。私の反応は、拒否だった・・・
「意図ありにぎり」は、一駅ごとにエスカレートしてくるのだが、○○駅に着く前に「やめてください。」と手を離した。

楽しいお食事だったのに、、後味悪し、、
もし「意図にぎり」に私がOKだったら、〇〇駅で降りてホテルに行こうと企てていて、お食事を慌てて切り上げたのかもしれない。
お会いしたときからずっと紳士的なかんじできていて、彼もモードを崩したかったのかもしれないが、いつもの感じの延長でアプローチしていただくこともできたのでは・・・ シチュエーションもタイミングもよろしくなかったのもあったと思ったが、自分でも拒否反応になったのはびっくり&ショックだった。

わからないものだ。
自分の心理も、男性の心理も行動も。
タイミングなんだよなーぁ・・・と思う。
本当はタイミングだけじゃないけど。うまくことが運ぶときって、理屈なく運ばれちゃう。
そんなものだと思う。
あれから10年余りほどたった今なら、思い返すとB氏はよかったかも。と思ったりするが、今お会いしたらまた違うのかもしれない。

私は、その後あれは何が嫌だったのか?と自問自答したりして、B氏とのこれからのおつきあいについて考えた。あのディナーの夜の後も、お食事のお礼などメールはしたが、B氏からは特別、もっと深く付き合いたいなどの意思もアプローチもなかった。
デートし始めて半年余り経ち、なんとなくだらだらとやりとりを続けているのが悶々としてきたので、思い切って連絡することにした。
「あなたは素敵な紳士で、お会いしていつも楽しく時間を過ごせるけど、私たちに進展はなさそうなのかなと感じる。今後もこのままならお会いするのをやめてもいいのかな。と思うのですがどうでしょう。」
とお伝えしてみた。
すると、すんなりと、「そうですね。そうかもしれないね。では、さようなら。」
という返信。

お相手にもプライドがあったのだと思うけど、あっけないお返事に残念な気持ちになった私。
私から振っておいて、勝手だよね。
と後から独り言ちる。

というわけで、とてもまともで紳士だったB氏とお別れした。
私の甘え下手が非常にネックになっていると後から気づくが、性分なのでかなり意識しないと甘えたり、頼ったりができない。。。
意識して甘えたらこれはまた、あざといのではないかしらん。
いつもニャンニャン猫になれない自分を責める。

実際、あざとくくねくね甘えたしぐさをする猫を見ると、人びとは「なんて可愛い!」となるが、私は嫌悪感が出てきちゃう。
何か強烈なトラウマでもあるのか??
不器用さはなかなか治らなくて、ジレンマを感じながら、アプリの半年の期限も終わることになる。


一方、Fくんとの別ジャンルの関係は続いていくー






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