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【連載エッセイ】嗚呼・・・熟年婚活~[3.お店選びはポイント高いよねーMr.B]

結婚願望がなかったワーキングウーマンのチャレンジはいかに・・・



ああ!こういうセレクトを待っていたわ!

次にお会いすることになった男性は、私の想定の年齢幅より高い55歳。
ヨットがご趣味というメーカーご勤務のサラリーマンの方。

実は…私は年上の男性が苦手だ。
もちろん個性はそれぞれなのでその人によるが、おしなべて私は年下の男性と仲良くなりやすい。
長女気質、姉御肌というのがあるからなのかもしれない。

B氏からアプローチが来て、プロフィールや自己紹介の内容はグッドな印象。でも8歳も年上か・・・と思うものの、お写真はヨットマンらしく浅黒い健康そうな肌に、鮮やかなブルーのフリース姿で、55歳でこのかんじならいいんじゃない?と思いながらメールのやりとりがしばらく続いた。
年上の男性にありがちな、上から目線や、おじょうちゃん扱いの態度や、自慢や武勇伝もなく、テキストでの会話は紳士的で、文章もていねいに書いていらっしゃり好感度がつづく。

私はマリンスポーツはしないが海好きなのだ。
B氏は某有名大学でヨット部だったとのことで、そのままヨットの趣味は継続し、先輩がオーナーの船をお仲間で共有していて、シーズン中は毎週、涼しい時期でも月に1~2回は海に出るらしい。
そんな話をうかがうだけでも、いいなぁと、
海に繰り出すヨットを想像して海に連れていってほしい。と思う。
「よかったらお会いしませんか。」
とB氏から誘っていただき、OKすると、その週末にランチすることに。
お店を決めたら連絡します。とスマート。
1日半ほど待つと、「ここでいかがですか。」とお店情報が送られてきた。
A氏のこともあったので、さぁてどんなお店かな、、、と期待と不安な気持ちで見てみる。
Oh, My Goodness!!
ああ!こういうセレクトを待っていたわ!

私がお店選びにこだわるのには少し理由がある。
私は食事すること、食を大事にしている。
おいしいお料理やお酒でお食事することはもちろん、食材や食べる環境などや、なんといっても同じ食への価値観を共有できる人とのお食事が、とても私を幸せにする。
たまたま仕事で厨房を取材するプロジェクトに関わったことで、高級レストランから街の料理屋さんまで、美味しくて話題のお店をひたすら探し研究し、候補を出して絞った何件かに2か月おきくらいに取材する仕事をしていた。ということもあって、飲食店選びには少々うるさくなっているわけなのである。

さて、B氏が提示してきたレストランに私は大いに満足し、そうこなくちゃ!と、その週末ルンルンでお店のある乃木坂に向かった。
おしゃれな有名店であるレストランは、ランチタイムで混んでいた。
予約はできないようで、早く行って待ってます。ということだったので、
現地でB氏を探すかんじに。
婚活アプリの写真のお顔姿をしっかり思い出しながら探すが、いないようだ。遅れているのかしら?
入口から見渡してもいないようなので、店内を一周してみたが、やはりいないみたい。まだ来ていないのだと思い店の外のウェイティングに並んだ。
待ち合わせ時間は過ぎていっているなぁ、と時計と入り口を交互にみていると、入口近くからずっとこちらを見ている男性に気づく。
B氏ではないのは明らかなので、目が合わないようにする。
どうしたのかしらーと思いながら、おもむろに入口近くで店内をのぞくと
立ち上がって私を呼ぶ人がいる。
え?誰?
それは、白が多いごま塩ヘアが薄くなって、小じわが目立ち肌色に薄シミが
確認できる男性で、それは、B氏だった。

B氏本人と認めるのに時間がかかり、笑顔で「はじめまして!」のあいさつができなかった。
うそでしょう!写真と全然ちがうんだけどー
あれはきっと10年前くらいの40代前半~半ばくらいのときの写真だわ。
あーあ、お店は最高だったのに、こういうオチですか。
と、意気消沈しながら、はじめまして。のランチを静かに始めた。
B氏の方はほがらかで、メールでの会話のつづきを膨らませるセンスのよい問いかけやお話をされ、お料理も「おいしい」を言いながらきれいな所作で召し上がっていて、ナイスだなと内心「合格」サインを出した。

ランチ後、近くで書道展をやっているのに気づき、書道教室に通っている私はとても興味があった。「ちょっと観ていきたいです。ご興味ないようでしたらこちらで。」というと、「僕も観たい。僕は描けないけどね。せっかくだからご一緒しますよ。僕を気にせず、自分のペースで観ていいから。」
とおっしゃって一緒に書道展へ。思いのほか広い会場で展示物数もすごい数だったのでそこそこ時間をかけて鑑賞することになった。
B氏は私といい感じの距離感を保ちながら、私が時折興味津々に立ち止まる作品を興味深く見て「どんなところが好きなの?」などと声をかけてくる。
このぼかし方がすごい。構図がすごい。訴えていることが伝わる。などなど、私の感想を述べるのだが、B氏はその感想コメントがまた興味深いらしく、「なるほどね」といちいち作品を二度見していたりする。
美術や芸術に対して造詣があるみたいだな。
と感じ、趣味が理解できること、テンポに違和感がないことなど心地よく感じられたアフターランチだった。

こうして初対面の会は、思いもよらぬルックスは衝撃だったものの、タッチとしては上々だ。
B氏とはこの後半年もデートがつづくことになる。

What’s going on?



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