見出し画像

小学生以来のファンタジー小説読破。ミュージカル原作『チョコレート工場の秘密』


タイトルにも申し上げました通り、小学生振りにファンタジー小説を読みまして夢の世界にどっぷり浸かってきました。中学生までは本を頻繁に読んでいて、部活中に隣の部屋の図書室に借りに行くほど。(余談ですが、東日本大震災の時も顧問の先生がおらず、隣の部屋の司書の先生に助けられました。)
ファンタジーはもともと大好きなのですが、映画を観る機会がどんどん増えて小説はあまり読まなくなってしまいました。代わりに何を読んでいたかというとはやみねかおるさんの推理小説、SF等。はやみねさんの「都会のトム・ソーヤ」シリーズは本当にハマって当時何度も読んでいた記憶があります。それから星新一さんのショート・ショート。短い文章でサクッと読める、簡単に現実離れした世界を味わえるおすすめの作家さんです。

今回はロアルド・ダール作の『チョコレート工場の秘密』を紹介します。

最下部にAmazonリンクを設置しましたので、ネタバレ前に読みたい方はスキップしてくださいませ。

以下、本題に入ります。

わたしがこの小説の好きな場面としてトップスリーに入るのがチャーリーが最後のゴールデンチケットを引き当てるシーンの前後です。

バケット氏が歯磨き工場を解雇され、いよいよひもじくなる一家。そこで1番お腹を空かせ、1番ひもじい思いをしていたチャーリーが見つけた雪の中にある銀貨。

警察に届けるのが筋ですがチャーリーはそのお金でチョコレートを買うことにするのです。キャンディーショップで買った2枚目のチョコレートにゴールデンチケットが入っているのですが、「高額でそのチケットを買い取ろう」という野次馬にたかられたチャーリーを守ってくれる店主にグッときてしまいます。決して綺麗な姿で描かれる店主ではないのですが映画版でも「誰にもそのチケットを渡さず家まで持って帰りなさい」と最後のゴールデンチケットを自分の店で手にしたチャーリーのことを後押ししてくれます。

またバケット家の個性的なメンバーもわたしがこのシーンを好きな理由です。20年ベッドから立ち上がったことのないジョウじいちゃんが踊り出す姿は笑いが込み上げてきます。ジョセフィーンばあちゃんもジョージナばあちゃんもジョージじいちゃんも皆チャーリーのことが大好きな老人ばかり。

全編を通してジョウじいちゃんのキャラクターやそのひょうきんさにはウォンカとはまた違った魅力があり、好きな登場人物です。

工場見学

工場見学の日、門が開いてウォンカが現れるシーンは印象的な場面の一つです。映画では巨大な工場の前に5人の子供たちとその親、メディアの面々が集まりこれまた巨大な門が開きます。自分も工場見学に来た子供のような気持ちでワクワクします。門の中にウォンカが1人で立っているシーンが目に浮かんで、1人でこの工場を築き上げてきた偉大さと寂しさを同時に感じ、『ウィリー・ウォンカ』という人物にこの時点で魅了されていると言っても良いでしょう。いよいよ5人の子供たちとその親の夢のチョコレート工場見学が始まります。

工場の中にはたくさんの部屋があり、(例えば『貯蔵室』、『発明室』、『寒い日のためのホット・アイスクリーム』など。)それぞれに名前がついています。たくさんの紹介されなかった部屋の中身を想像するのもひとつの楽しみ方。
最初にオーガスタス、バイオレット、イボダラーケ(映画及びミュージカル版ではベルーカ ・ソルトという役名なのですが便宜上訳されている名前で呼ぶことにします。)、マイクと次々にウォンカ氏の指示を守らなかった子供たちが脱落していきます。それぞれ脱落の方法も食べることを辞められなかったりガムを噛むのを辞められなかったり物を欲しがるのを辞められなかったり名声を得るのを辞められなかったり……
ロアルド・ダールは9歳から12歳の子供に向けてこのお話を書いたとのことなのでそのような大人になってはいけないよと教訓めいたことを伝えたかったのかもしれません。

個人的にはリスを欲しがってダスト・シュートに送られ、生ゴミとともに出てきたイボダラーケに同情してしまいます。わたしも欲望にまみれているところがあるので人ごととは思えませんね。。。子供だったらもう少し純粋な気持ちでこのシーンを楽しめるのにと思いました。

ガラスのエレベーター

ガラスのエレベーターって駅ビルとかターミナル駅の移動時とかによくあると思うのですがこの本を読んで以来、乗ることが少し怖くなくなりました(笑)
高所恐怖症なので景色が見える高いエレベーターとか絶叫系ジェットコースター並みに地獄なのですが、チョコレート工場のラストのシーンだ!と思って乗ると不思議とあまり怖くないものです。この場面ではチャーリーが5人の中で優勝して工場を受け継ぐことをウォンカ氏に告げられることになります。少しロマンチックで切なさのある静かな場面です。今まで年齢不詳だったウォンカが初めて年老いていくことの心配を打ち明け、その言葉からは人間らしさが感じられます。どこか浮世離れしていて人間に対する不信感を持っているウォンカ氏は子供たちが命を失いそうになっても楽しんでいるような雰囲気さえ感じさせるのですが、このエレベーターでは核心に触れる話題を出していて工場を愛する気持ちとか美味しいもので人々を楽しませたいとかそういった本心が伝わってきます。

わたしはこの小説を通じてウィリー・ウォンカという人物に魅せられた1人ですが、ミュージカル版ではこのシーンがかなり長尺で描かれていて工場見学の様子も含め、ウォンカ自身が工場を大切に思っていることがその機敏な動きまで思い起こさせるほどによく描かれています。

最後に家族の心配をするチャーリーに「お家ごと工場の中に引っ越したらいい。」とエレベーターを緊急着陸させ、物語が終焉を迎えます。

全編を総括すると、貧しいながらも温かい家庭の平凡な少年に夢の工場見学のチケットが当たり、お菓子の工場という働き先と想像力を活かせる仕事が見つかった。

みたいな感じでしょうか。

以上にて『チョコレート工場の秘密』ネタバレ含む読書記録を終えたいと思います。AmazonではKindle版、そして原作の洋書も販売しているようなので気になった方はご一読あれ。わたしは英語の勉強を兼ねて洋書を読むことがあるので、本作品はまだ読んだことがないのですが、これから買って辞書と格闘しながら読んでみたいと思っています。

これまで長いことお付き合いいただきありがとうございました。

↓洋書はこちらです。(Kindle版ですがサイト内でペーパーバックをタップしていただければ紙の本が買えます。)

↓映画はこちら。Amazon Primeで見られます。わたしはネットフリックスに加入しておりましてそちらで字幕版を見たのですが吹き替え版もあります。


この記事が参加している募集

#読書感想文

188,615件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?