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「上司は指示を出すな」は本当?名将オシム監督のエピソードから考える、創造性を奪わないマネジメント方法

こんにちは!シンギュレイトです。

10月も終わりに近づいてきました。4月に入った新入社員も職場に慣れ、各々自分の仕事を持つようになってきたころかもしれません。

今回は、部下・メンバーを創造性を奪わずに主体性のある社員へと育成するためのヒントがわかるコラムです。そのヒントをくれるのは、元サッカー日本代表監督のイビチャ・オシム氏。

普段の業務を進めていく中で、目の前の仕事をうまくいかせるために、あなたは部下をどのように働かせますか?細かく指示を出してしまう上司・マネージャーの方も多いのではないでしょうか?

しかしオシム氏は、「指示を出すな」という驚くべきことを主張しています。それはなぜでしょうか?

今回は、サッカー好きのシンギュレイト代表鹿内が、オシム氏の記事を読んで得た、ビジネスに活きる創造性を奪わない部下・メンバーの育成のヒントをお伝えします。


コーチは指示を出すな

少し前に、サッカー日本代表監督を務めたイビチャ・オシム氏の記事を読みました。オシム氏は日本サッカーに「考えて走る」という思想を定着させた監督です。

記事の内容は現在、東京ヴェルディのヘッドコーチである小倉勉さんが、ジェフユナイテッド市原・千葉時代にオシム監督のもとでコーチをしていたとき、オシム監督から「選手に指示を出すな。選手が下手になる」と怒られたというもの。小倉勉さんは間違った指示を出したつもりはなかったそうです。では、選手に指示を出したことの何がいけなかったのでしょうか?

その理由は、「選手の創造性を奪わないこと」にあります。

サッカーでは刻一刻と局面が変わっていくなかで常に、「ボールをどう運ぶか」「自分のポジションをどうするか」を判断をしなければならないスポーツです。その中で、選手がミスをする理由は、

  • 選択肢が一つしかなくて、その判断を相手に潰されたから

  • 選択肢が多くて、判断が遅れたから

  • 選択肢が多くて、ギリギリまで見極めようとしてたから

の3つがあるとオシム氏は言います。そのどれに該当するかが分からないまま、コーチが「この場面はこう動けばいい」と一緒くたに指示を出すと、『選手の創造性が失われてしまう』というのが、小倉さんが怒られた理由でした。

指示を出すな。その代わりにすべきこととは?

これは会社組織でも同じことがいえます。

たとえば、部下が商談で失注してしまった場合を考えてみましょう。失注の理由はさまざま考えられます。「競合他社も多く、選ばれなかった」だったり、「営業の提案がよくなかった」など色々あるはずです。サッカーの例で言う、ミスをした理由にあたります。

これに対しての指導方法を考えてみましょう。逐一上司が「お客さんにこう聞かれたら、こう返すんだ」とマイクロマネジメントするのも1つの手です。しかし、それでは上司やトップの器以上には、部下は成長できません。マイクロマネジメントは、部下の取りうる選択肢をせばめ、考える力を無くし、大きな成長の可能性を奪ってしまうのです。サッカーの例でいう、創造性を奪ってしまうことと同じです。

では、指導する立場のコーチや上司はどうすればいいのでしょうか?その問いに、オシム氏はこう答えています。

「ミスをしたときに何が見えていたのか、聞いてあげればいい。そして、受け止めてあげればいい。選択肢が多くて迷っていた場合はプレーを絞るトレーニングをすればいい」と。

ビジネスの現場で実践する方法

では、これをビジネスの現場で、実践するにはどうしたらいいでしょうか?

私がおすすめするのが、上司と部下が1対1で対話をする1on1ミーティングの活用です。

1on1の場で、上司から「失注した理由をどう認識しているか?」を聞いてみましょう。とにかく聞いて、受け止めることが重要です。そして、解決の方法を自分自身で導き出せるように、コーチングをしましょう。

たとえば、「社内の手続きが遅かった」という場合には、その社内手続きのフローを見直して改善をする、という解決策を部下自身が考え出すように導くわけです。もちろん「お客さま側の決済者を説得できないと思ったから」といった他責な理由も出てくるでしょう。そういった内容を許容しながら、出来なかったり、ミスをした理由のやじるしを部下自身に持ってくることが1on1では求められます。そうすることで、自ら考える力が育まれ、高い創造性を発揮できるようになっていきます。

上司の度量の大きさによって、部下の創造性は変わってきます。「部下が想像を超えてこない」「主体性がなくて、いまいち頼りがいがない」といった悩みをお持ちの方は、一度教えるのをやめて、聞くことに徹してみましょう。

想像を超えた提案が生まれてくるかもしれません。


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本記事は、シンギュレイトが毎週配信しているメールマガジンに掲載している代表鹿内のコラムを、シンギュレイトnote編集部が加筆修正したものです。

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