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脳と組織は似ている!?脳の研究者だった鹿内が「組織開発」を重視する理由とは?(組織開発&人材開発)

こんにちは!シンギュレイトnote編集部です。

業績を上げ、企業を成長させていくためには、従業員、そして組織を強くすることが欠かせません。人・組織を強くするための施策は、組織開発・人材開発と呼ばれ、ほぼ全ての企業が何かしらの取り組みをしていることと思います。

さて、ここで1つ質問です。
みなさんは、「組織開発」と「人材開発」どちらが大切だと思いますか?

どちらを優先すべきか、人によって答えは異なることでしょう。その中で、私たちシンギュレイトは明確に「組織開発」に重きを置いています。

そこで今回は、なぜシンギュレイトが「組織開発」に注目しているのか?その理由を、代表鹿内の研究員時代の話を交えてお伝えします。

話し手:鹿内 学, 博士(理学)株式会社シンギュレイト 代表取締役 / 一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 上席研究員 京都大学などの研究機関で教員・研究員として10年ほど、ヒトの脳(認知神経科学)の基礎研究に従事。その後、大手人材企業でピープルアナリティクスの事業開発に取り組む中、2016年12月に株式会社シンギュレイトを設立。1on1での話し方・聴き方を可視化する1on1サポーター「Ando-san」と、イノベーティブな組織への変革を促す組織診断「イノベーション・サーベイ」を通して、組織開発を支援している。

脳を研究していた研究員時代 

今回は、僕(鹿内)、そしてシンギュレイトが人材開発ではなく、「組織開発」を重視している理由をお話したいと思います。

話は僕の研究員時代にまで遡ります。僕は研究員時代、「認知神経科学の基礎研究」に従事していました。認知神経科学は、おおむね「脳の研究」と置き換えてもいいでしょう。体を動かしたり物事を考えたりするときの、脳の動きを解明する研究です。

脳は1mmにも満たない神経細胞が、約100億個集まって構成されている組織です。神経細胞の一個一個がスイッチのようなものだと思ってください。膨大な数の神経細胞のオンとオフの組み合わせで情報を伝達するのが、脳の仕組みというわけです。「0」「1」の二進数を用いるコンピューターの原理と一緒ですね。

研究では、fMRI(functional Magnetic Resonance Imaging 磁気共鳴機能画像法)という手法を用いていました。MRIという言葉を、病院で聞いたことがあるかもしれません。MRIは、身体に超強力な電磁波を当て体の断面の画像を生成し、全身の組織や臓器の構造を観察する手法です。一方、fMRIというのは、脳の断面の画像を生成し、脳の機能や活動を観察する手法になります。この手法で得た脳の画像データを、情報学を用いて分析していました

このように研究員時代は脳の研究に勤しんでいました。この経験があったからこそ、次の場所で組織開発に着目するようになります。

脳の組織と企業の組織に見いだした共通点

その後、とあるきっかけから、ビジネスサイドへと軸足を移すことになり、入社した大手人材企業では、新規事業に携わり企業組織を見ることに。そこで僕は、「脳の組織」と「企業の組織」、この2つに共通点がある事に気づきます。それは、組織の動き方が似ている、という点です。

脳の構成要素である「神経細胞」、企業の構成要素である「社員」。この2つは、どちらも繋がることで情報を伝えます

たとえば、脳の場合には、目が物を見て、脳に情報を伝え、脳で「見た!」と認知が働き、脳が指令を出し、見たモノを触るように手足が動きます。一方、企業組織では、現場の構成員が現況を把握して、上司に情報として伝え、上司が情報を認識し意思決定をして、現場の構成員が動きます。

このように「脳の組織」も「企業の組織」も繋がりによって動くのです。目にモノが映っていても、脳が「見えている」と認知しなければ、見えていないのと同じこと。企業組織に置き換えると、現場の構成員が何か情報を得ても、司令塔である上司に伝わらなければ、情報が無いのと同じことになります。(企業の上層部が、現場の不正を認識できていないように。)

そしてこのとき、個々の機能や能力が高性能か否かはあまり関係ありません。商品開発する組織を例にしてみましょう。これまで何度もヒット商品を生み出している商品開発のプロフェッショナルが、ベストな商品を考え出したとしても、「いまの市場環境はこうだから……ユーザーにはこういう機能が求められているだろう......であればこの商品を作ろう!」とならなければ、その商品は実現に至りません。つまり企画を実現させるためには、「ヒットする商品を生み出す知識」を動員したうえで、商品開発をおこなう「意思決定」ができないといけないのです。知識と意志決定がなければ、ヒットを生み出す商品開発の知識も、絵に描いた餅を作り出す無用の長物に成り果てます。

しかし、その知識を持ち、意思決定をできる人もいて、うまく連携できれば互いの強みを発揮し良い結果につながります。つまり、結果を出すためには、個々の能力よりも、人と人を繋げチームとして力を発揮できる方が大切なのです。

だからこそ僕は、個々の能力を伸ばす「人材開発」ではなく、組織の能力を伸ばす「組織開発」に着目しています。

組織の「つながり・ネットワーク」を解き明かす

脳と企業組織には共通点がある一方で異なる点もあります。それが「つながり方とパターン」です。

脳の神経細胞はDNAによって、つながり方が見事に設計されています。一方、組織では誰と誰がつながるかは特に設計されていません。人はランダムにつながるものなのです。そして、つながりを上手くデザインして設定してあげないと、うまく回らないことがあります。また、繋がりのパターンの数だけ、組織には力の発揮の仕方にパターンがあるとも言えるでしょう。これは組織の可能性です。

また、もう1つ特筆すべき、脳と組織の相違点があります。それは、構成員が枠から飛び出すか飛び出さないか?ということです。

神経細胞は、脳という枠から飛び出すことは当然ながらできません。一方、組織の構成員たる人は、1つの企業組織から飛び出し別の組織の人と繋がることができます。

そして僕は、この外部とのつながりにこそイノベーションが眠っている、と考えているのです。脳と違い、人と人はどう繋がっていくのか?どんなネットワークになっていくのか?僕の興味はつきません。

そこでシンギュレイトでは、「Ando-san」と「イノベーション・サーベイ」の2つのサービスを開発し、これらを通して「人と人とのつながり」を解き明かそうとしています。

1on1サポートツール「Ando-san」では、マネージャーとメンバーのコミュニケーションのデータを取りながら、上司部下の「つながり」を可視化。組織診断サーベイである「イノベーション・サーベイ」では、組織のメンバー同士・部署連携・社外の顧客やパートナーとの、「つながり」の可視化をしています。

これらのサービスを通じて企業に潜む「つながり」を解き明かし、その企業の組織力向上に貢献していくことが、僕そしてシンギュレイトの目指しているところです。


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本記事は、シンギュレイトが毎週配信しているメールマガジンに掲載している代表鹿内のコラムを、シンギュレイトnote編集部が加筆修正したものです。


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