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心理的安全性ではイノベーションは生まれない!?信頼と心理的安全性の違いから、イノベーションに必要な力を考える

こんにちは!
株式会社シンギュレイトです。

「心理的安全性」

もはやこの言葉を知らない人事・組織開発担当者はほとんどいないでしょう。心理的安全性が高い環境には、コミュニケーションの活発化をはじめ様々なメリットがあります。どの組織も目指すべき、組織の状態の1つです。

しかし、シンギュレイトは「心理的安全性にはリスクが有る」ということをお伝えしたいと思います。

それは「イノベーションが生まれづらくなる」というリスクです。より正確に言うと、他部署や他社といった、心理的安全性が高い環境の外の人と起こすイノベーションが生まれづらくなるリスクがあると考えています。

では、このリスクを回避し、外の環境の人とイノベーションを起こすにはどうすればいいのでしょうか?

その答えが「信頼」です。

今回は、「心理的安全性」と「信頼」の違いから、心理的安全性ではイノベーションが生まれないリスクを解説します。

心理的安全性と信頼の違い

心理的安全性とは、「その環境において、自分の意見や気持ちを安心して発言できる状態」のことです。心理的安全性が高い組織では、質問や意見を恐れずに発言できるので、意見交換の活発化や生産性の向上が期待できます。

一方で信頼とは、「不安な状況でも、相手に任せようと思える気持ち・行動」という意味です。「不安な状況でも」という条件がついています。心理的に不安になる気持ち・ハードルを飛び越え、新しい関係を作っていく姿勢を「信頼」と呼んでいます。

信頼については、こちらの記事でより詳しく説明しています。ぜひ、ご覧ください。

違いをハードルで例えると

心理的安全性では、ハードルを低くし、質問や意見が飛び交いやすい環境を作ることで、コミュニケーションの活発化を狙います。

一方、信頼は、どんな質問や意見をしても相手は受け入れてくれるだろう、と相手を信頼することで、コミュニケーションを活発化させます。ハードルの高さは変わりません。ハードルが高い、安心とはいえない環境であったとしても、その高いハードルを飛び越えて質問や意見をする力こそが信頼です。

コミュニケーションを活発化させる、という結果は変わりませんが、そこに至るアプローチが異なるのが心理的安全性と信頼の違いです。

「結果が同じなら、どっちでもいいじゃないか」

と思われるかも知れません。しかし、そうではないのです。このアプローチの違いがイノベーションに届くかと届かないかの成否を分けます。

イノベーションを沈黙させる4つの危険

イノベーションに至る道には、障害となる壁があります。それが、イノベーションを沈黙させる4つの危険「無知・無能・否定・邪魔」です。

突然ですが、新社会人の頃を思い出してみてください。
「疑問はあるけれど、まだ知らないことも多いし黙っておこう……」
このようになったことはないでしょうか?これは、無知・無能による危険です。ただし、無知・無能であることが危険なのではなく、無知・無能を理由に話すことを躊躇する心理が危険なのです。

また、「誰かの意見に否定的な意見をいうこと」を躊躇したことはありませんか?これも、否定することが危険なのではありません。否定してしまうことを恐れて、意見を言うことを躊躇してしまう心理こそが危険です。

さらに、「下手に口出ししてしまうと邪魔だと思われないかな」と思ったことはありませんか?邪魔になることを恐れて、意見がいえないこともイノベーションにつながるかもしれない行動を阻害する危険の1つです。

「無知・無能・否定・邪魔」

これら4つが、イノベーションにつながる行動を沈黙させてしまう4つの危険です。これらの行動を抑制しないと、イノベーションにつながるアイデアは生まれてきません。

これらの危険を回避し、イノベーションに近づくために必要なことこそが、「心理的安全性」と「信頼」です。ただ、この2つは紹介したとおり、危険を回避する方法が異なります。

  • 「心理的安全性」は、危険を可能な限りなくすこと

  • 「信頼」は、危険を承知で乗り越えること

この違いが、イノベーションが生まれる可能性を大きく変えるのです。

心理的安全性ではイノベーションが生まれづらくなる理由

なぜ、心理的安全性では、イノベーションが生まれづらくなってしまうのでしょうか?それは、「イノベーションが生まれる環境は、心理的安全性が高いとは限らない」からです。

たしかに心理的安全性の高いチームは、4つの危険という無用なハードルを低くします。その結果、チーム内での生産性は向上するかもしません。しかし、低いハードルに適応してしまった結果、心理的安全性が高くない環境、つまり、高いハードルがある環境では活躍できない、というリスクが生じる可能性があるのです。

イノベーションは、新しい関係の中で生まれます。別の部署、さらには社外の人とのコミュニケーションは避けられないと言ってもいいでしょう。こういった新しい関係が生まれる環境は、心理的安全性が高い環境ではないことがほとんどです。

つまり、イノベーション創出においては、心理的安全性の高低、社内社外にかかわらず、コミュニケーションをしっかりとって新しい関係・多様な関係性を構築していかなければならないのです。

にも関わらず、ハードルの低い心理的安全性の高い環境に適応してしまうと、ハードルの高い環境での関係構築がうまくできず、イノベーションに必要な新しい関係・多様な関係性を生み出せない可能性があります。

そこで必要となるのが、もう1つの方法である「信頼」です。

高いハードルを超えるための信頼

想像してみてください。

知らない人、初めての相手と仕事をするとき、多少なりとも不安な気持ちが心の中に生まれないでしょうか?たとえば、他部署や取引先の知らない人を交えた会議で、積極的に発言できますか?新メンバーに仕事を初めてお願いする時、不安はないでしょうか?

このように不安な時でも、任せようという期待が「信頼」です。信頼される能力ではなく、相手を信頼する能力なのです。信頼が、新しい関係や多様な関係性を生みだすときに生じる、不安や危険という高いハードルを超える力になります。

信頼は、相手を選びません。たとえ心理的安全性のない組織外・社外の人が相手だったとしても、関係構築ができます。心理的安全性では作りづらかった、イノベーション創出に欠かせない新しい関係・多様な関係性を生み出せるのです。

心理的安全性だけでなく「信頼」も伸ばそう

心理的安全性はもちろん大切です。しかし、心理的安全性だけではイノベーションに届かない可能性があります。ハードルの低い環境に慣れてしまうと、ハードルの高い環境で動けなくなってしまうリスクが有るためです。

そこで、信頼の出番です。信頼には、新しい関係・関係性をつくりだす力があります。だからこそ私たちは「信頼」がイノベーションの鍵だと考えるに至りました。

日頃から、不安だとしても、どんな相手でも信頼し、関係構築をするという、高いハードルを超えることを意識しましょう。心理的安全性の低い、不安な環境だとしても、相手を「信頼」することで、イノベーションの扉が開きます。


シンギュレイトでは、組織の「信頼」を伸ばすための組織診断ツールを提供しています。

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