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前職の特定郵便局長時代、欠かせないトークスキル、営業話法の一つに‘老後の安心’という文句がありました。この文句は金融関係、金融商品を取り扱っている人には必須なアイテムです。そこを起点に様々契約に繋げる道筋となります。
自分自身が奨めるモノとして、有用性や実益を理解しなければ当然、説得力も生まれてきません。その理解はどの媒体に於いても同様だと思います。
ただ精神構造まで‘老後の安心’が全てと捉えるマインドに若い時分から慣れていく考え方、安心とは寄らば大樹の陰に居続ける事への忍耐…みたいなチャレンジする動機を見出だせない環境では、これでは時代は変わらないと、ふと思います。

昇給に仕事のモチベーションが移行するのは決して悪い事ではないのですが、それがすべてになるのは何処か時間について深く考える必要はないと感じる要素をみます。多分にその理由が家族のためなのか、自身の欲望消費のためなのか、凡そその二通りではないかと推察します。

自分がそうだからと言って多分に当て嵌まる訳ではありませんが、私が所属していた郵政含めて、とかく公務員系のルーティンは仕事のための仕事に従事しているケースが多く、例えば営業なるノルマがあるとしても結果を出せばそれでよしと、プロセスは問われるものではありません。時間が事故なく流れていく事に期待する、一日の捉え方は希薄にならざるを得ないものでした。
だからこそ、私の当時のスタッフには創意工夫が大切で、有意義な時間にするにはと仕事をより深く理解する等、何か理念みたく話す事には極力努めていました。

しかし、総じて‘老後の安心’が人生の目標のように思考シフトした世界観において、管理職にあった自分自身の限界は引退する何年も前から感じていたのは当然と言えば当然で、そもそも一番思考力と体力が充実していて、アクティブに行動できる時間を老後への投資に尽きると、ひたすらのそのための貯蓄を奨めたり、自分もそうである事の何とも言えなさに、その時一つの答えに辿り着いたのです。

老後をどう生きるか、生きているかは、それまでをどう生きているかで既に答えが出ているのでないか。

私の局長時代に、定年退職した局長が何度か訪ねて来た事がありました。
開口するなり「ヒマやのぉ…」を連発します。概してこうした業界における流れそのものなのだと理解できる反面、こうなりたくないなと覚らしめてもらえた瞬間でもありました。

私の経営価値観の支えでもある松下幸之助のダム経営理論があります。
これは砕いて解説すると、自己資金を元手に堅実に増やして使っていく、いわばリスクマネジメントにおける安定基盤の根拠が必要である。安易な大型融資から始める事業については慎重と精査は必要で、身の丈から発展できる事業イメージを明確に想定できる…そうした考え方をいいます。

その方針で小さな歩みではありますが、私の一念発起で興したcineposは前を向いて遅々とは言えど進んでいる確信はあります。
ある意味では郵便局長的な軸が私の中で作用している所為でしょう。

今年も後二週間で終わりますが、日頃からの悔いのない一日を終える事、これの連続に尽きると思います。

【インフォメーション】
イベント司会を務めさせていただきます。

ご興味お有りの方、ぜひご参集いただけましたら幸いです。

下関市立美術館

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