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日本テレビのドラマ「セクシー田中さん」社内特別調査チームの調査結果についてを読んで


https://www.ntv.co.jp/info/pressrelease/20240531.html


日本テレビのドラマ「セクシー田中さん」社内特別調査チームの調査結果が公開された。
https://www.ntv.co.jp/info/pressrelease/20240531.html


原作ありの映像化はいまやデフォ

原作ものはいまでは映画でもテレビドラマでも欠かせない。ゆえにオリジナル作品が珍しいものになり「完全オリジナル脚本」というワードがキャッチコピーに含まれていることも少なくない。

漫画であれ、小説であれ、アニメであれ、原作がある物語を実写映画化することに対しては賛否が出るのは当たり前だとも言える。文字情報やイラストで描かれた部分を実写にすることはとても難しい。
特に「間」をどのように演出するのか?によっては作品の世界観を壊してしまうことになりかねないからだ。

主要キャラクターの性別はもちろん性格を変えてしまったりするともう大変である。(それでも現代のコンプライアンスに配慮をしすぎるがゆえに変わってしまった作品も少なくない)


いままでイメージを変える勇気は評価する場合もある

またそれまでのイメージが強いがゆえに性別が変わったことで話題になった作品もある。例えばスパイ映画シリーズの名作「007」でMが女性が演じることになった。「007 ゴールデンアイ(95)」のとき。

それまでバーナード・リーやロバート・ブラウンが演じていたMi6の部長だが女性がMを演じるときには
「007の世界観が壊れる」
とまで言う人がいたのだが、1995年だと女性の社会進出が一般化され出した頃で古いファン(年配)のファンがそういった声を出していたのは覚えている。

とまあ話は戻して……

結局はリスペクト&コミュニティ不足

今回の「セクシー田中さん」は結果的に原作者の意向を全く無視された…と捉えてもおかしくないほどの流れが問題視されており、結局は「コミュニティ不足」から最悪の事態が発生してしまったことと言える。

原作者の思いを出版社もきちんと明文化もできていないし、ドラマ化を行った側も原作者の思いを汲み取ることができていなかった。

その原作者とTVドラマの制作側とのパイプラインがまったく役に立っていなかった…と言えるだろう。

これは小学館側にも日本テレビ側にも大きな問題があるとも言える。

端的に言うと
小学館は「原作者を守ろうとしてなかった」

日本テレビ側は「ドラマ化してやってる」
という上から目線であったと言われても仕方ないと思うのだ。

今回の報告書では当たり前のことがいろいろと書かれている。
というか、有識者のコメント部分は当たり前のことしか書かれていない。

・原作へのリスペクトを行う
・原作に愛情を持って欲しい
・決定権がどこにあるのかを明確にするべき
・契約書を巻くべき
・映像化には「売れている」「有名」ということでは選ぶべきではない
などなど(かなり要約してるのでぜひ原文を見て欲しい)

これらはドラマ化どころか日常的な仕事をするうえでトラブルなく進めるための基本中の基本だとも言える。

仕事相手にリスペクトをする
仕事に責任を持って取り組む
リスクマネージメントで責任者を配置する
お金が絡む場合は契約書を巻く
などなどだろう

出版社側ももっと自社コンテンツとして責任を持つべき

原作者が忙しすぎるゆえに時間が取れない場合もあるだろう。
だとしても映像化は原作にも大きな影響を与えることも少なくない。
映像化する場合には出版社、編集側も原作者が時間を取れるように締切や連載スケジュールを調整するなど協力が必要だろう。

脚本家も原作者の言葉を直接聞くことがあれば違った結果になったかもしれない。

ただしクリエイター同士ゆえに譲れない部分もあるだろう。
だからこそ間に入る人がとても大切でそれぞれの主張や希望を正確に相手に伝えられるかどうか…だともいえる。

脚本家が原作モノを担当する場合に、原作そのままに映像脚本するのがとても難しいのはよく分かる。漫画の場合コマとコマの「間」をどのようにするのか?に苦心するところがとても理解する。

その一方で原作にないファクターを追加する際にやりすぎると原作の世界観を壊してしまうことも理解すべきだとも言える(普通は理解しているだろう)。ただクリエイティブな部分で
「ここをこうすればこの作品はもっと良くなる」
という確信を持ってする場合もあるだろう。
ただオリジナルファクターを足した場合悪くなること(違和感がでること)が多いのも事実だが、100%悪いばかりでもなく良くなることもありえる。

これらは原作者と打ち合わせをして要素を足すことに対して相談をした…というエピソードがあったりするとプラスに成ることがある。


やはりコミュニケーションは大切

今回のレポートはどこまでも「常識的事案の再確認」でしかないが、個人的には
TV局側の制作スケジュールの都合で起きた事案
という感覚のほうが強い。

原作を大切にする…というのであれば、制作に関わった多くの人が納得できる状態にして取り掛かって欲しいとも思う。
もちろん俳優のスケジュールなどを考えると1年、2年の時間が必要だしその間に俳優のイメージが変化するなどのリスクも有るかもしれない。

ただ、いままでの映像化でリスペクトを感じられない作品が膨大にあり、それらが社会に出てきている結果、
「実写化=失敗/駄作」
というイメージを持ってしまうひとが多くいることも制作側(TV局側)も認識するべきだろう。

だからこそ、見事な実写化が印象的であり素晴らしい作品と感じるのかもしれないが……

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