見出し画像

『歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡』岩波ホール最後の上映に行って参りました。

『歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの足跡』7月29日、19時の回。
岩波ホールのスクリーンに映る最後の灯を目に焼き付けました。

岩波律子さんの上映前のご挨拶。
「今も上映を続ける映画館にも足をお運びください」とのお言葉。
秘かにエールとして受け取り、我々の劇場も色を持ち、映画を届けていけるように、邁進して参ります。


そして、満席の劇場で観る映画!
益々美しさを極めるヘルツォークの自己表出を、220名の観客と共に一つのスクリーンで見つめる体験!

「映画は文化である。」
構想から観賞まで、更にその後も編まれる映画体験。
岩波ホールは人が創る時間の尊さを、最後まで伝えてくださいました。

上映作品、特集上映のフライヤーがずらりと並んだ岩波ホールの壁。
錚々たる映画群。54年間の歩み。
映画館がつくった映画史に、圧倒されます。


岩波律子さんが壇上でおっしゃっていたことから思い巡らし、
戦争が起き環境問題が騒がれる今、
ネットを介し、取ってつけた「自論」を浴びてしまう今、
作り手達の表現に触れ内省する、それでいて観客達各々の視線が交わる劇場での映画体験は、
作り手/被写体/観客/創造や観賞の過程で思い出す人々と、自己と他者を行き来する映画体験は、
無くしてはならないものなのだと、改めて、強く強く思います。
我々の小さな劇場でも、誇りと責任を持って映画を届けていこうと。

ミニシアターの先駆け的存在である岩波ホール閉館のニュースは、確かに映画文化、映画館文化の一つの時代の終わりを表しているかもしれません。
まだまだ映画界は課題の一角が見え始めたに過ぎず、まだ表れていない問題も山積みでしょう。「あらゆる人」と共に映画を観るユニバーサル上映の普及という当館の目標もまだまだこれからです。劇場スタッフである私は、試行錯誤しながら、しどろもどろで劇場に立ってしまっています。
ですが、このニュースを美化するようでもありますが、悲観するよりも映画館・ミニシアターとしての決意を抱いてしまうのです。

今一度、感謝を申し上げます。
岩波ホール、配給会社の方々、友の会の皆様
ありがとうございます。
(シネマ・チュプキ・タバタ スタッフ柴田)

エレベーターでなく階段派でした。
観賞後映画のことをぼんやりと考えて、降りるのがあっという間でした。


この記事が参加している募集

映画館の思い出

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?