土木エンジニアがUnityを使ってARアプリを作ったら~その1~
土木エンジニアというには恥ずかしいですが、現場を3D化するという名目を持っている以上、xR領域に踏み込まないわけにはいきません。
そんな私に現場から「xRを使って現場説明がしたいのだけど・・・」という依頼が舞い込んできました。
これは良い機会だ!と思ってサクサクっとARアプリ開発しようじゃないの!
と意気込んでやってみたところ、3日かかってしまったというお話です。
現場でXRを使うとどうなるのだろう?という点を説明したうえで具体的な手順を説明出来たらよいと思っていますので、ぜひお付き合いください~!
1.そもそもXRってなんだ?
xRとはVR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)、SR(代替現実)など、現実世界と仮想世界を融合するさまざまな技術を総称する言葉です。
具体的にはKDDIさんが丁寧に記載してくれています。
2.xRができると良いことは何だろう?
土木業界に絞らせてお話をしますが、xRができるようになると次の点で効果があると思っています。
①設計照査の幅が広がる
②設計に対する理解度が深まる
③新規入場者教育での共有情報が多くなる
④住民説明への効果が高まる
①設計照査の幅が広がると思う理由
現場を担当する技術者は発注者から2D図面をもらうことになります。そこから「数量拾い出し」と言われる詳細チェックを行います。この間に頭の中で図面を3D化して、おかしなところがないか、これまでの経験と重ね合わせて課題となる点はないかを検証します。
しかし、技術者は図面のチェック以外に共に現場を作る企業を選定し、価格交渉、現場担当してもらえるかの交渉、技術的課題点の抽出等々多くのことで頭を使いますから、すぐに3D化した図面が薄れていきます。
そこで、ARアプリを使って現場を3D化すれば頭のキャパシティーを広げることができ、多角的な設計照査ができます。
②設計に対する理解度が深まる
①と似ているようですが、ちょっと違います。というのも、土木では不可視(見えない)部分の設計があります。そうした時に、地盤面がどうなのか、地下水域はどうなのか等一目でわかると、「なるほど」と合点がいきます。 そこから見える検証点も多くあるはずです。
③新規入場者教育での共有情報が多くなる
新規入場者教育(初めて現場に入る人たちへの教育)のうち、特に初日はバタバタします。車の駐車場所はどこか、今日の施工はどこまでするのか、資材はどこにあるのか、そしてどのように持っていけばよいのか、様々説明することがあります。
現状、現場では紙やホワイトボードを使って説明をしていますがやはり2Dなので皆さんそれぞれ考えがバラバラです。ARを使ってすれば全員が同じものを見ることができます。だからこそ、一目見ればわかることが多くなり現場従事者が共有すべき情報が多くなります。
④住民説明への効果が高まる
住民説明はチラシ及び挨拶で行います。とはいえ、どんなものができるのか住民の皆様にはわかりづらいところがあります。
ARアプリがあって、チラシにかざしたら構造物が出てくるという未来を見せることができたら、より住民の皆様への理解とご協力がいただけるのではないかと思います。
3.xRの事例は?
そんなxRですがどんな事例があるでしょうか?
有名なのは小柳建設とMicrosoftが共に進める建設MRがあげられると思います。
HoloLensとConstructionをかけてHolostructionという名称でMRを展開しています。
また、海外ではSHoP Architectsがあげられるでしょうか。
4.現場が喜ぶテクノロジーを
技術は進んでいますし、今後も進歩を続けます。しかし、どの技術がどれほど現場に役立つかという視点を忘れてはいけないと思っています。
勝手に最新機種を持ち込んでも、現場が使いこなせないだったり、部分最適を求めた結果全体の能率が下がってしまったりしては本末転倒です。
現場に従事しないからこそ、現場代理人の立場に立って何がベストなのかを常に考えたいのです。
それでは次回は具体的なARの手順をご紹介したいと思います!
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