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自然言語処理のプロたちの「テキストベース」を重んじた働き方/製品との近さがやりがいに

シェルパでは、2023年4月に「SmartESG AI事業部」を設立しました。

私たちの事業で取り扱う「サステナビリティ情報」「ESG情報」と呼ばれるデータは、人間が普段のコミュニケーションで使う言語、すなわち自然言語ベースとなっているので、それらを用いて高度な処理をおこなう人工知能(AI)、自然言語処理(NLP)、大規模言語モデル(LLM)などの技術開発を強化する必要があります。

中長期的な技術開発とプロダクトへの反映を行って進化させるミッションを担うAI事業部は、もうすぐ結成から一年を迎えます!

以下プレスリリース:

この記事では、そんなAI事業部のエンジニアのみなさんに普段の働き方やチームビルディングに関する考え方、技術やプロダクト開発への思いについて話を聞きました。


◆ AI事業部エンジニアチームにインタビュー

今回協力してくれたメンバーの皆さん

―― ここにいる皆さんはフルリモート&裁量労働制ですが、普段はどのように勤務されているのですか?

小田:事業部としてリモートワークを採用しています。オフィスで勤務するかどうかは個人が選択できますが、基本的に「リモートワークで働ける」ことが大前提となっています。勤務時間も自由に調整できます。


―― 働く場所も時間もそれぞれとなると、完全に非同期型でのコミュニケーションになりますね。

小田:はい、なのでチーム内のコミュニケーションは基本的にテキストベースです。あとで「言った言わない」がないよう、たとえリアルタイムの会話であってもすべてテキストでログを残すことを徹底しています。

チームの会議は週1~2回。メンバーが必要と認識している粒度でsyncミーティングをおこない、情報交換の場としています。

―― たしかに、小田さんは昨年のアドカレでもテキスト化の重要性について書いていましたね。人によっては苦労しそうですが……

小田:最初は厳しく感じる人もいると思います。リモートでのチーム運営に成功している会社は、やはり言語化やログを残す文化がしっかり根付いています。やっていくうちに慣れてくるものですし、我々もそこは追及してやっています。

木曽:私は以前の職場でもリモートワーク・テキストベースの働き方だったので、シェルパでも違和感なく対応できています。テキストに残さないと、あとで忘れてしまったり、仕事の引継ぎに困ったり。むしろ、ありがたい文化だと思ってます。

赤部:テキストで伝えるのは、会話に比べて伝わりにくいと感じることがあります。なので私は、できるだけ自分の意志や意図が明確に伝わるようハッキリ書くことを意識しています。
ただ、それが他の人にどう受け止められるかという相手の心象面まで鑑みた表現はなかなか難しい。あまりハッキリ書きすぎても相手によっては嫌な思いをさせるかもしれませんし、コントロールが必要ですよね。

―― 非同期かつテキストベースな職場環境で、みんなが気持ちよく働けるコツはありますか?

小田:人によって全然感性が違いますからね。そういうものだと思うしかなくて。この人はこういう書き方をする人で、それ以上の深い意味はない。傷つける意図はないんだと、お互いに時間をかけて性格を理解し合うしかないですね。

とはいえ、世の中には口調がすごく激しい人もいますので「さすがにそれはやりすぎ」というのを見つけたら注意します。

―― シェルパにそんな人はいないと信じたいですが(笑)当然、心理的安全性は担保されていると。
自由度の高い環境でチームが一丸となって業務に取り組むために、どんなことを心がけていますか?

小田:我々は全員言語処理技術の専門家なので、技術的に正しい選択をして製品に適用しようというのは、全員が持つ共通理念だと思います。

そのうえで、事業をしている以上、当然製品化のスケジュールに合うことも求められてくる。技術的な正しさと製品化の視点、ふたつのバランスをうまく取れるのが我々のチームの強みだと思っています。

―― 業務上のコミュニケ―ションツールや開発言語は、何を使用しているのですか?

木曽:ツールは、Slack、GitHub、Notion。会議はGoogle Meetでやっています。

赤部:言語は、メインはRust、Python、TypeScriptですね。Rustはバックエンドのアルゴリズム、Pythonは機械学習関連の簡単なスクリプトを書く時、TypeScriptはフロントエンド用と、使用場面が違います。

小田:我々の場合、この言語を強化したいという視点はあまりなくて、適切で持続性のある開発環境になるよう言語も含めて調整しています。
「Pythonエンジニア募集」といった言語ベースの採用枠を設けている会社もあると思うのですが、あくまでチームが開発する「何か」に軸足があるので、AI事業部ではそういった募集は行いません。

◆ 入社理由・「サステナビリティ」について

―― みなさんは、なぜシェルパで働くことにしたのですか?元々サステナビリティやESGに関心があったのでしょうか。

小田:
私は元々、新規事業かつ社会貢献に結び付く事業に取り組んでいる会社に参画したい気持ちが強いです。他にもお手伝いしている会社がありますが、どれも社会貢献意識の強い会社ばかりです。そのうえで、自分の専門分野である機械学習や自然言語処理を必要としている会社ですね。

赤部:去年の言語処理学会(NLP2023)でシェルパのことを知りました。自然言語処理技術を実務で使えることと、元々ESG投資やサステナビリティには知見があったので、社会的に必要なものだと認識していました。仕事が社会貢献に結び付くのは良いなと。

木曽:転職を考えていた時に、偶然シェルパの機械学習エンジニアの募集を見たことがきっかけです。特に、自身の専門分野である自然言語処理を役立てるポジションだったので興味を持ちました。サステナビリティについて深く理解していたわけではないのですが、コーポレートガバナンスが重要だなと思うきっかけもあって。

◆ エンジニアとしてのやりがい

―― このチームでプロダクト開発をするうえで、どこに一番やりがいを感じますか?

小田:いまAI事業部がやっていることって、いわゆる機械学習の文脈で語られる上流から下流まですべてを開発・管理する技術が必要とされるんです。データ収集から使用技術の選定、モデル作成、性能検証してプロダクトに提供するというところまで、すべて我々のチームでコントロールできる。
自分たちの自然言語処理の専門知識を、ここまでフルに製品力に活かせている組織は珍しいのではないかと思います。

赤部:まだ会社の規模が大きくないということもあると思いますが、自分たちのやっていることがすぐに製品に反映できる「近さ」はやりがいにつながっていると思います。

小田:いまのチームで作ったものは、早くて翌日には製品に反映されたりしますからね。

木曽:私も概ねおふたりと同じ考えです。特筆したいこととしては、意思決定が速いことと、失敗を咎めずチャレンジできる雰囲気です。

小田:最初のテキスト化の話もそうなのですけど、「合理的な判断をすること」がチーム運営にとって最も重要なことだと考えています。半年かけて完璧にするより、3回くらい失敗しながら修正して、完璧を目指した場合と似たようなクオリティのものを数週間でリリースしたほうが合理的ですよね。もちろん、絶対失敗できないものもあるのでバランスは必要ですが…。
チームの皆が普段から確度の高い判断をしてくれることで、ミスを最低限に運用できています。その信用があるから失敗を許容できるし、次のチャレンジのほうに集中できるのだと思います。

―― 結果、働きやすさにもつながっているのですね。
では最後に、今後AI事業部としてどのようなことに取り組んでいきたいですか?

小田:技術ベースではなく製品ベースで考え、必要なものを必要なだけ高いレベルでプロダクトに反映して顧客に提供することが我々のチームの使命だと考えています。そのうえで、今後取り組んでいきたいことは3つです。

まずは、先ほども製品と開発の近さが挙げられましたが、そのスピードをさらに加速させる仕組みをブラッシュアップすること。

機械学習の技術は一年経つと全然変わってしまう世界なのでしっかりキャッチアップし、適切なタイミングで適切なだけ製品に反映できるようにすること。最近は言語モデル系の話が増えていますが、特に私は言語モデルのプロなので、どうやって製品に適用するかチームとしっかり考えていきます。

そして最後に、学術方面も含めた対外発表の機会も活用していきたいですね。公開できるものは公開し、チームとしての成果物を発信し、成果を出した人がしっかり報われるような環境づくりをしていきます。

―― みなさん、ありがとうございました!

◆ NLP2024に参加します

2024年3月11日~3月15日に神戸市で開催される「言語処理学会 第30回年次大会(NLP2024)」にシェルパとして初めてスポンサー協賛をするなど、この領域には社として注力しています。

同学会では、学会発表論文へのスポンサー賞授与やブース出展もおこないます。AI事業部のメンバーも多数参加しますので、ご来場の方はぜひブースにお立ち寄りいただけたら幸いです!

◆ 積極採用中

シェルパでは、優れたスキルと情熱を持つメンバーを幅広く募集しています。事業の概要や募集職種の詳細については、カルチャーデックや採用ポジション一覧をご参照ください。

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