見出し画像

就労移行支援事業所グループワークに完全密着!「当事者主体を考える」【事例紹介02】

シエンシーは障害福祉事業所向けの「10分アニメ+障害福祉」オンライン研修サービスです。
今回はシエンシーを導入いただいた「就労移行支援事業所かがやく学び舎」のグループワークに密着しました!

就労移行支援事業所かがやく学び舎では、「働きたい」と思う様々なニーズのある方へ体験的・実践的なプログラムを通して、就職に必要な力を獲得していただくためのサポートをしています。(http://www.k-manabiya.co.jp/


1.グループワークの概要

・使用した動画

今回グループワークに使用いただいたのは「当事者主体」。障害福祉支援者の基本ともいうべき概念をまとめた動画です。

・進行の流れ

シエンシー事務局が発行している「グループワークガイドブック」の流れを参考に組み立てていただきました。「動画を見る+ディスカッション」を繰り返す進行です。橋本様のアイスブレイクはどんなトークが用意されているのか、とても楽しみです!


2.グループワーク本番。リアルな研修トークを公開!

参加メンバーはこちら。
ファシリテーター(ファ):橋本様自身が担当。
参加者(参A~E):5名。教育分野など他業種から入職された方も。
それではグループワーク密着、本番スタートです!

ーーーー

①アイスブレイク(10分)

【見どころ】
参加者にリラックスしてもらうため、就労移行支援に紐づけて「働く」に関連するアイスブレイクトークを行っています。喋りやすい雰囲気を見事に生みだしていました!

ファ:さて、皆さんにとって働くとはなんでしょう。「経済的自立・社会的な連帯・自己実現」に分けて考えた場合、働く意味をそれぞれの割合で表してみましょう。目が合ったAさんどうぞ!
参A:うーん…。自己実現が40、社会的な連帯が30、経済的な自立が30ですかね。
ファ:自己実現が一番ですね。こんなことって改めて問われるといやな気持ちになりませんか?(笑)
参A:ちょっと困惑しますね…。
ファ:もう1問いってみましょうか。「働くから連想される英語」を挙げていきましょう。Bさんどうですか?
参B:広い範囲でいうとEnjoy、Happyとかですね。
ファ:おっと!最初に当てちゃいけませんでした(笑)他はいかがですか?
参C:Moneyですかね…。
参A:Hard、忙しいとか?
参D:Partnership、Toolとか。
参E:Lifeですね。
ファ:皆さんありがとうございます。実はこれ、一番多く出せるのって高校生なんですよ。Work、Job、Professionalなどが多いらしいです。私たち社会人はBusy、Angryが出てきますよね(笑)

ファ:働くでいうと、ILO(国際労働機関)が出している「ディーセントワーク」という言葉がありますよね。尊厳ある働き方をしていこうという意味です。じゃあ本当にディーセントワークになっているの?という姿勢を、障害者支援を行う私たちは常に持っておく必要があります。それでは動画を見ていきましょうか。

ーーーー

②動画を3分見る&ディスカッション(20分)

【ポイント】
動画内容を現場に当てはめることで、参加者それぞれの体験、個人の気持ちを引き出しています。ファシリテーターが教えるのではなく意見を深堀りすることで、「自由」を見つめ直すきっかけにつなげる進行方法に注目です!

~動画を3分見る~

ファ:同様のケースが現場でもありましたね。○○さん(かがやく学び舎の利用者)が「お盆へ京都へ行きたい」と。担当者は「頼むから夜行バスはやめてくれ…」と思いましたよね(笑)
この当事者主体、つまり当事者にはチャレンジする自由がある。この場合の自由ってどういう意味なんだろうか?フリートークでここまで感じたことを挙げてみましょう。Eさんいかがですか?
参E:自由とは納得すること、失敗してあきらめるところまで…というイメージでしょうか。例えばプロ野球選手になりたいという人がいて、お金の事情で周りがあきらめさせる。自分であきらめることができないから納得できない。あきらめる機会を奪われている。それは酷だなと思います。
ファ:やれるとこまでやってごらんと?
参E:あの時やっていればと後悔するより、納得してもらえればその後が変わるのではないでしょうか。私自身の人生経験からの発想ですが。
ファ:だからEさんは「働く」からLifeを連想したのかな。Aさんどうですか?
参A:難しいところですよね。私もチャレンジしてほしいと思いつつ、例えば危ないからやめるよう言ったこともあります。なぜ失敗したか学べる、実のある失敗であればいいのかなと思いますね。
参B:子育ての経験から言うと「自分で決めて挑戦した失敗は良いが、大人が決めてやった失敗は嫌だ」ということがあります。ただ子育てと就労支援では違うので、話を聴くことが大事かなと思います。懸念することを話していって、役に立てる情報や今後の方針を話し合えればいいのではないでしょうか。あきらめることが選べることも重要で、そういう機会を与えることもあったほうがいいという印象です。

ファ:とはいえ最初から見えている失敗に、欲望のまま進ませてよいのかと悩みますよね。Cさんどうですか。
参C:自由という言葉から思い出す方がいて…。生きづらさを感じていたのかなと。自分の意見が通らない、機会を奪われたと感じることは私個人の経験からもあることで。あまりにもギャップがあると難しいですが、やはりチャレンジする自由はあってもいいのではないでしょうか。
ファ:本当に大変ですよね。支援者は自身の内面と向き合わなくてはならない。自分と照らし合わせてつらくなる瞬間がある。少なからず本人の経験から支援を行うことになります。Dさんいかがですか?
参D:枠組みがあるからこその自由という側面もありますよね。周りに人がいるから自由が成り立つ。「誰にも文句を言われないイコール自由」ではないと思いますね。
ファ:研修は思い通りにいかないですね(笑)当事者主体のみのワードといっても環境要因が入ってきますよね。時間もないので続きを見てみましょう。

ーーーー

③動画を最後まで見る&ディスカッション(25分)

【ポイント】
現場の事例と照らし合わせながら、「当事者主体」という角度から現場の事例、自分の支援姿勢を見つめなおす機会をつくりだしています!
あくまで支援を振り返るきっかけを作る、意見を引き出すという方針を強く感じました。

~動画を最後まで見る~

ファ:まぁそうだよなというまとめでありますね(笑)感想はいかがでしょうか。
参C:自由に、思い通りに行動できると、自分自身としても納得できると思います。人にああだよこうだよと言われるのは嫌かな。支援者が利用者に対してああだこうだと言いがちで、言い過ぎは良くないな、止めておかないとなと思います。
ファ:あの時、あの人への支援で良いプロセスを歩めたなということはありますか?
参C:就職されて長く続いている方を思い浮かべますね。自分で決めて自分で就職して成功しているので。
ファ:週3日勤務が良い!という頑ななこだわりを持つ利用者の方がいましたよね。悩んだ結果、本人の意思を尊重して就職。もう5年続いていることを今になって考えると、しっかり支援できてたのかなと思います。Aさんどうですか?
参A:誰というのはパッと出ないんですが、できるだけ失敗を次につなげさせる意識は持てていると思います。
ファ:Aさんは周りへの環境整備が本当に丁寧ですよね。Bさんいかがですか?
参B:事務職が良いという方がいて、私たちは向いているか不安でしたが、意思を尊重してサポートしましたよね。結果うまくいかなかったですが、ご本人が自分で選んで違う仕事をやりますという意思決定ができたので、良かったのかなと思います。

ファ:人間なので、結果はなかなか受けとめられないですよね。利用者からは、支援者がちゃんとやってくれなかったからだと思われることもある。それによって悩んだり、グッと胸を締め付けられたり。先ほどの事例でも、利用者が失敗の現実を受け止めきれない状況で、結果的に私たちは当事者主体を貫きとおすことができました。一体なぜできたのでしょうか?これからも貫き通すためには何が必要なのでしょうか?
参A:そうですね…。利用者の方の立場に立って、何を思っているのかを考えるのが大事だと思います。
参D :障害のある方の権利という視点はありますが、「当事者主体」って福祉に限らないですよね。あくまで人間の営みとしてとらえていくというか。そういう意味では支援者の権利も考えていかなければいけないのかなと思います。
ファ:感情労働ということでは、支援者の方も安定しなければいけないですよね。「利用者のために」「彼らは障害者なんだから」とか、「課題」という言葉も上から目線になっていくと思うので、気を付けていかなければいけないと思います。

ーーーー

④まとめ(5分)

ファ:今日はここまでです!明日から当事者主体を実現するためにも、私たちの心と体をしっかりケアしていきましょう。何か感想はありますか。
参A:自分たちの状態が思った以上に利用者に影響を与えていると思います。心身のケアの仕方をしっかり持っておいた方がいいと思います。
参C:普段何気なく言ったりしていることが影響を与えているので、気を付けたいです。
参B:虐待につながる可能性があることを考えると私たちのケアも大事だと思います。
参E:当事者主体というと思考が広がってしまうんですが、社会にいること自体がそもそも自由じゃない気もしてきますね(笑)
ファ:仕事のマッチングについても、自分で選んでも、社会に自分が合わせるのか、ということを考えると難しいですね。


3.参加者の感想

  • 動画として見るのが理解しやすく、10分で内容が入りやすくて良い勉強になりました。実際に動画を見てグループワークをするのは初めてだったんですが、個人のバックグラウンドや過去の経験を話す場所になり、支援をどうしていこうか話し合えたので良い機会になったと思います。

  • 講義を受けるよりは動画が苦にならなかったです。画面的にもわかりやすく具体的で、重要なことをきちんとシンプルに伝えているので、印象に残るというか入ってきやすいと思いました。講義形式の研修は眠くなってくることもありますが、今日のような研修は緊張感もあり、良い機会になりました。

  • 通常の講義と比べると、教材があるということで方向性が定まっていたので話題がぶれすぎず、ある程度の枠組みの中で議論を深めることができました。

  • まず教材があるというだけで非常に学習に入りやすいです。意図が分かりやすいので方向性がすっと入ってきやすいですね。ただ裏返しとして、一方的に決めつけてしまわないように、そして現場でどこまで使えるのかは気を付けるべきところです。

  • こういう教材をどう受け止めるかが非常に重要だと思います。マニュアルを作ってしまうことの怖さはあるので、現場と比べながら、どこまで相対的に考えられるかを意識したいです。


今回は「就労移行支援事業所かがやく学び舎」のグループワークに密着しました。
これからも導入いただいた事業所様の研修事例、そして「どこまで動画研修を活用できるか」をお伝えしていきます。

下記のリンクから無料ですぐに虐待研修アニメ動画4本を体験視聴できます。興味のある方はお気軽にお問い合わせください。