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『シカゴ・タイプライター』

2017年韓国
脚本:チン・スワン
演出:キム・チョルギュ
出演:ユ・アイン、イム・スジョン、コ・ギョンピョ、クァク・シヤン、ヤン・ジンソン、チョン・スギョン、チョン・ホジン、チョ・ギョンスク

あらすじは、こちらの公式ページをどうぞ。

「時を超えてきみを想う」というサブタイトルから、甘ったるい話かな、と思って、なんとなく観るのを躊躇したのですが、観はじめたらそういうトーンではないのだとわかりました。幽霊が出て来たり、前世を思い出したりするファンタジーなんですね。異世界もの、タイムスリップものの一種ということになるでしょうか。

日本統治下の朝鮮がどんな風なのか勉強不足で全然知らないため、その点でも興味深かったのですが、そちらの方は深入りする感じではなく、街並みや服装などの風俗に少し触れられる程度で、革命運動にしても、そこがストーリーの焦点ではないため、さほど詳しくは描かれません。

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ユ・ジノと名乗る、80年の時を経てやって来たシン・ユル(コ・ギョンピョ)の幽霊、ベストセラー作家、ハン・セギュ(ユ・アイン)とその熱狂的ファン、チョン・ソル(イム・スジョン)が、現世と前世の記憶を行き来し、『シカゴ・タイプライター』という小説を完成させる… それはハン・セギュの前世ソ・フィヨンからタイプライターとともにその願いを託されたシン・ユルの悲願だった。
(名前が多くてわかりにくい…)

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その大筋とは別にサイドストーリーには、韓国ドラマでは欠かせない、家族の問題も出て来ます。
ハン・セギュは子どもの頃に両親を亡くし、親の友人に引き取られる。その人物は作家であり、同年代の息子ペク・テミン(クァク・シヤン)がいる。テミンも現在は作家だが、文壇デビューとなった作品はセギュの書いたものだった。
このテミンの母親が問題ありで、うーん、また子どもがおかしくなるのは母親のせいってやつか… などと思ったりしますが、ここでは父親もはっきりしなくてなんだかな、だったりするので、そうでもないのかもしれません。
現に、ソルは過去に前世の記憶によるおかしな言動で母親から捨てられる(あとで少し事情があることがわかるのですが)経験をしていますが、立派にまともに育ってますしね。

この作品は過去(前世)と現在(現世)を絡め合わせることで、それぞれ単独では良くある類の話を、複雑化し、面白くしていて、掛け合わせの妙、みたいなものを感じさせてくれます。

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セギュ役のユ・アインは台詞の発し方にとても幅があり、声に魅力のある俳優だなと感じました。前世の最後の見せ場のシーンの表情なんかもよかったです。
あと、登場するどこの家にもたくさん本があって、本好きな人にはその風景が萌えるポイントになるかも。



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