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ついに全員バレた 韓国ドラマ『結婚作詞 離婚作曲』(シーズン2 第5話〜第8話視聴後)

シーズン2の第8話、ちょうど真ん中まで配信されました。早いといえば早いですね。

以下、内容に触れていますのでご注意ください。

とことん情けない、弁護士のパン・サヒョン

パン・サヒョン(ソンフン)は、妻でラジオDJのプ・へリョン(イ・ガリョン)から、愛人に会わせろと再三言われていたのをなんとかかわし、もう別れたと言って愛人のソン・ウォン(イ・ミニョン)を守ります。実際二人はもう会わないようにしていました。
その代わり、サヒョンの両親がウォンを気遣います。ウォンが孫を身ごもっているということもありますが、教養があり控えめで良識的なウォンに好感を抱き、世話をしたあげたくなるのでした。

サヒョンの両親が付き添ってウォンの妊婦健診に行った帰り、三人でレストランにいると、偶然サヒョンがやってきて合流、そこにさらなる偶然が重なりへリョンがやってきて、レストランの個室は修羅場と化します。

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愛するウォンがへリョンに侮辱されてもへリョンを抑えることができないサヒョン。まあ浮気した身なので偉そうなことは言えませんけど、ブチギレて何が何でもへリョンと別れてウォンと一緒になる! とはならないところが優しい坊ちゃんの情けないところで、見ていてイライラします。いやもちろん、ブチギレる資格なんてないわけですが…

サヒョンを叩いても罵り続けても気が済まないのに、へリョンはなぜ別れたくないのでしょう。サヒョンを愛しているから? 二人から馬鹿にされたような悔しさからでしょうか。
側から見ると、別れたほうがあなたの心も穏やかになるよ、と思いますが、そうはいかないのが人間の心の複雑さです。

あくまでも悪いのはサヒョンとウォンなのに、なぜかへリョンがひどい女に見えてくる。人としていい人かどうかということと、行いが正しいかどうかは別物ってことですよね。

年頃の娘から愛想を尽かされた、大学教授パク・へリュン

パク・へリュン(チョン・ノミン)のケースでも偶然が働き、愛人でミュージカル俳優のナム・ガビン(イム・ヘヨン)が、元妻イ・シウン(チョン・スギョン)が作家を務めるラジオ番組に出演します。シウンはその日たまたま事故に遭い、放送スタジオには行きませんでした。

ガビンのラジオ出演を知ったへリュンは、ガビンにはシウンがその番組の作家であることを、シウンには愛人がガビンであることをそれぞれ告げます。ガビンはシウンに会いたいと連絡し、二人はカフェで会います。そこへ偶然、娘のヒャンギ(チャン・へウォン)が、友達からそのカフェにガビンがいると聞いてやってきて、二人の話を聞いてしまいます。ヒャンギにとってガビンは憧れのミュージカル俳優で、サインをもらうおうとしてこのカフェに来たのでした。

父の不倫相手、というか再婚を予定している相手がガビンと知ったヒャンギは二人ともを軽蔑し、父が渡そうとしたお金や預金通帳を頑として受け取りませんでした。

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やはり父親が母親とよりむしろ自分の方に年が近い女性、しかも有名な俳優と再婚する、ということは、年頃の娘にとってかなりショッキングなことでしょう。
不倫や離婚の最大の被害者は子どもたちなんですよね。それでも離婚を避けられない/したほうがいい場合ももちろんあります。離婚する場合は、子どもたちへ最大限の配慮をしなければいけません。たとえ自分が傷ついていたとしても。

しかし、だからといって、不倫しておきながら表向き「長く一緒にいすぎた」なんていうぼんやりした理由で穏便に別れようなんて、それはちょっと虫が良すぎましたよね教授。年頃の娘は父親のその所業を、今は許せません。

シン・ユシン院長、見られてますよ

バレそうでバレない、バレそうでバレないを繰り返していた、最もタチの悪い病院長のシン・ユシン(イ・テゴン)の不貞が、ついにラジオプロデューサーで完璧な妻サ・ピヨン(パク・ジュミ)にバレました。

はーもう、これまでどれだけ気分悪かったか… 笑

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乗馬クラブでピヨンと愛人のアミ(ソン・ジイン)がニアミスしたことで、抜け目ないユシンは潮時を感じてアミに別れを切り出しますが、その理由として、女優として忙しくなるであろう君のためだよ、とアミに言うんですよ。どこまでもズルいこと…

別れの記念(?)あるいはお詫びとしてアミに車をプレゼントしたユシンは、他方でピヨンに一流ホテルのゴージャスな部屋で二人で過ごす夜をプレゼントします。
こんなことするから女たちの傷は余計に深くなるんですよ、あーもう。

こんなにほうぼうで嘘つきまくってて、見てるこっちがヒヤヒヤしますが、嘘つきは自分が嘘をついている自覚ないですからね、平気なんですね。

そして、満を持して、ついに、その時がやって来ました。
いくつもの偶然が重なって。
それも、最も悪いタイミングで。
この部分は書かないでおきますね。あーひどい。

次回以降、大荒れの予感です。

不倫が悪いというより、結婚が無理

言うまでもなく、物事にはいろんな側面があります。どのような視座からどのような視点でどこを見るのかによって、物事は違って見えてくるものです。

例えばサヒョンとへリョンのカップルのケースでは、客観的に見ると、二人は合わない、さっさと別れてサヒョンはウォンと一緒になればいいのに、と言いたくなるような状況です。サヒョンから見ると、ほとんど自分の世話をしてくれないし、ああ言えばこう言う、気の強い妻へリョンに疲れて、穏やかで優しいウォンに惹かれるのは当然のようにも見えます。

でも実際、サヒョンとへリョンは結婚前に「へリョンはサヒョンの世話をする」ということを話し合ったり約束したりしたのでしょうか。結婚前にこういったことを細かく話し合うカップルはほとんどいないのではないかと思います。
おそらく多くの男性たちが、結婚したら自動的に妻が自分の世話を(多かれ少なかれ)してくれると、ぼんやりと思い描いているでしょう。昔の妻たちほど至れり尽くせりではないにしても。

例えば、ゴミ出しと風呂掃除は俺がやってる、そのほかのあれやこれやの家事もだ、と思う夫たち、そもそも家事をどうしようかなんて、妻から言われない限り考えたこともなかったんじゃないでしょうか。何も言わずに放っておいても、それらの家事に気がついて、それをやらなければ、と思ったりしたでしょうか。例えば食事の時間が近づいたら自動的に台所に立ったりしますか? 多くの女性がそうするように。

サヒョンはきっと、DJとして生き生きと仕事をする、綺麗で気の強いへリョンに惹かれて、そんな彼女と一緒にいたいと思ったから結婚したはずです。なのに結婚してしばらく経ったら、朝早く起きない、ご飯を作ってくれないへリョンへの不満がもやもやと溜まってくるのです。

他方で、わがまま放題のように見えるへリョンは、サヒョンに何を望んだでしょうか。見た目もスマートな弁護士でとにかく優しいサヒョンに引かれ、一緒に幸せな日々を送りたいと思って結婚したことでしょう。そしてサヒョンが優しく素敵なままでいてくれれば概ね満足だったのです。

結局、どちらが悪いということはないんですよね。

結婚していなければ二人の関係は取り立てて問題はなかったはずです(だからこそ結婚した)。つまり問題は、価値観が合わないことに気づかずに結婚してしまったことにあるのです。(そして結婚とはだいたいそういうものなのです)

本当に結婚って不思議です。
周囲に認められた関係として二人で生活を始めた途端に、それまでの恋人同士の関係は違うものへと変わります。突然一変する場合もあるし、じわじわと変わって行く場合もある。いずれにしても、前と同じ関係ではいられなくなるのです。
なぜか、相手への様々な期待が生まれてきて、それが叶えられるのが当然のように思えてくるんですよね。しかも本人は自分が期待しているということに無自覚だったりします。

洗面台を使った後に周囲に飛び散った水を拭き取ることを当然と思う人は、水くらい汚くないしいいじゃん、と放置する相手に「どうして拭いてくれないの」と不満を募らせて行きます。これは相手に期待しているということなのですが、水を拭き取るのはその人にとって当然のことなので、自分が期待しているということには気づきにくい。こういう、お互いの感覚の小さな相違をどうして行くかが結婚生活の大きな課題なのです。

こういったことについてはドラマ『最高の離婚』にも描かれていますね。

離婚したら結婚していた時より良い関係になったりするのは、日々の小さな相違が積もって行くストレスがなくなり、お互いがお互いのままでいられるからでしょう。どういう形であれ、他人が一緒に何かをするということはやっぱり大変なことなのです。

不倫関係が甘美なのは、人に言えない背徳感もあるでしょうが、お互い良い部分しか見せていない/見ていないからでしょう。結婚生活を長く続けて行きたいなら、それと同じように、相手のいいところを見る努力、相手にいい自分を見せる努力、が欠かせないのだと思います。
そんなのなんか嘘っぽくて嫌な感じ?
でも全てをさらけ出すことが必ずしも誠実とは言えないのかもしれません。

そうは言っても、四六時中そんな風にはしていられない… でしょうか。
だとしたら、そもそも無理なのが結婚というものなのです。
不倫して離婚し、不倫相手と再婚しても、そのことがわかっていなかったら、おそらくまた同じことになるでしょう。


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