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【韓国ドラマ】『D.P.ー脱走兵追跡官ー』

配信ドラマについて書くのが久しぶりで、タイトルの付け方を忘れてしまいました。笑

兵役義務により入隊した青年が、軍の脱走兵を追跡する部隊に配属されることに。任務にあたるなかで、脱走した兵士たちがそれぞれ抱える過酷な現実が見えてくる。

こんなこと言ってましたが、本作を見るのに相当ためらいがありまして。軍隊だし脱走っていうくらいだから、もう絶対パワハラ場面続出のはずで、見ていて絶対嫌な気分になる、って。

韓国ドラマでは普通のやつでもパワハラ場面結構あるし、暴力を伴うものも多くて、前にもどこかの記事で書いたけど、あの脛を踏みつけるように蹴り下ろすやつとかほんと嫌なんですよ。(人をガンガンぶち殺すアクション物とか平気で見てるくせにね)

でも、一度チョン・ヘインさんの出演作を見たくて、かと言ってラブストーリーは今はめんどくさいな、というわけで本作を見ました。1時間足らずの6話と、韓国ドラマにしては短いですが、次のシーズンの配信も決定しているようです。

逮捕権のある専門職、脱走兵追跡官なるものが韓国軍にはいるのですね。憲兵隊の一部のようです(ドラマを見ていてわかった限り)。それだけ脱走する人がいるということでもあります。

脱走の原因は、きつい訓練に耐えられないか人間関係か、と想像がつきますが、本作ではもっぱら人間関係、というかいじめ、パワハラです。

いやもう、なんで? 集められて、共通の苦しい体験をしたら仲良くなりそうなものだけれど、同室の兵たちは入隊時期も違えば年齢も違い、階級も違うので、その差異を肥大化させて、上から下への、まったく意味のない、虐めるためだけのいじめが繰り広げられます。男性が自分の男性性を誇示しつつ、相手の男性性を貶める。いや、それを通り越して人間性を貶める行為が繰り返されます。いやもう、ほんっとに嫌でした。

チョン・ヘインさん演じるアン・ジュノは父親のDV経験などがあるためか、少し影のある人物です。寡黙で冷静で、観察力が鋭い。経験上、パワハラ行為は許し難いものと思っているはずですが、だからと言っていじめられている人を大っぴらにかばうことまでは出来ない。のちに大きな後悔を伴う苦い経験をします。その葛藤がうまく表現されていたと思います。

バディとなるハン・ホヨン(ク・ギョンファン)は育ちがよく、明るい性格で一見軽々しいのですが、実は意外と深みもある、というようなキャラクターで、この二人の取り合わせはいい感じでした。

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二人の上司のパク・ボムグ(キム・ソンギュン)は、長いものには巻かれろ的な面もありますが内心は上官たちのやり方に納得できないものを持っていて、ここぞという時には部下を守る気概のある男。それが一つの救いではあります。

ボムグの上官として赴任してきたイム・ジソプは完全に日和見のずる賢い男。演じるソン・ソックさんは『最高の離婚』の韓国版(2018)でチャラい浮気男(でも心にちょっと傷あり)を演じていました。最初同じ人だとわかりませんでした。

いじめられるチョ・ソクポンは、『調査官ク・ギョンイ』でNT生命の調査員としていい味を出していたチョ・ヒョンチョルさんが演じています。これ、役でも苦しかったんじゃないかしら。

本作は軍隊が舞台なので、結末も相当極端なところまで行ってしまいますが、同様なことはどんな集団の中でも起こっていると思います。軍隊内部の告発というよりも、いじめ・パワハラの構造自体を見せつけ、それが行き着く先を見せることで、社会のあらゆるところにはびこるいじめ・パワハラについて警告を発しているのではないかなと思いました。傍観者でいることの罪とかも含め。

テーマとしては社会派なのかもしれませんが、追跡劇ということもあってどちらかと言えばエンタテインメントで、堅苦しいものでは全然ありません。ただ、パワハラにトラウマがある人は見ないほうがいいかな。

チョン・ヘインが良かったので、彼の他の作品も見て行こうと思います。



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