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『元カレは天才詐欺師 38師機動隊』

2017年(韓国)
脚本:ハン・ジョンフン
演出:ハン・ドンファ
出演:マ・ドンソク、ソ・イングク、スヨン、ソン・オクスク、ホ・ジェホ、コ・ギュピル、イ・ソンビン

日本語のタイトルに入っている「元彼は天才詐欺師」という文言のせいで、ラブ要素の強いコメディかと思いきや、これはどちらかと言えば”職業ドラマ”でした。というかラブ要素はかなり低いです。
個人的には職業ドラマが好きなので、逆によかったです。

先頃日本で公開された映画『スタートアップ!』(2019年・韓国)で異様な存在感を見せているマ・ドンソクが、ここでは地味で真面目な公務員として、また別の存在感を示しています。

高額納税者、ならぬ、高額滞納者を相手に、詐欺という手段を使って納税させる、という荒唐無稽な話ですが、あり得ないファンタジーとしても面白かった。
韓国における政府や役所と財閥との癒着って本当にすごいんですね、と改めて感じました。もちろんこれはドラマですけど、様々なドラマでこうも毎度毎度、癒着や腐敗が描かれているのを見れば、話半分だとしても相当根深いものだなと、結構絶望的な気分になります。そりゃこっちだって(こっち、ってえーと、善良なる一般市民、でしょうかね)詐欺くらいしたくもなるわ、とも思いますね。彼らのように私腹を肥やすわけじゃないんだし。

見る前は、日本のドラマでよくあるような一話完結系の「毎回誰かに納税させる」みたいな構成なのかなとちらっと思いましたが、そうではなく、もっと大きな作りのものでした。

市役所の徴収課長の真面目なペク・ソンイル(マ・ドンソク)が、ヤン・ジョンド(ソ・イングク)の詐欺にあったのがきっかけで、詐欺で納税させるアイディアを思いつき、ジョンドを計画に引き込む。ジョンドは昔の仲間を集めて実行に及ぶ。真面目なソンイルもそこで一役買います。そしてソンイルの部下チョン・ソンヒ(スヨン)がジョンドの元カノであったことから、話が拗れていき……
裏切りがあったり、裏切りかと思えばそうじゃなかったりと、飽きさせない展開で楽しめました。

そしてなんともよかったのが、ソ・イングクの笑顔です。笑顔と言ってしまうとなんか違うんですが、こう、詐欺が失敗した時とかに見せる、「そう来たか」とか「やられたよ」みたいなセリフの代わりであるような笑みが、どこか遠くを見ているような眩しそうな目と、「フッ」って言ってそうな感じとで(それに直後に泣きそうな感じもある)、ちょっと何かを抱えてる所のある人、みたいな感じがあって、でも詐欺師っていう感じもとてもして、“訳あり詐欺師”的な魅力が滲み出ています。

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