ちいさい自分は埋もれた心を覚えてた
ひょんなことから、「ちいさい自分」というイメージを持ってみることになった。
自分の中にある子どもな部分、あるいは、子どもの頃の自分を元にした、ひとつのイメージを、思い浮かべてみたんだ。
ただ、普段からイマジナリーフレンドとの触れ合いをしているからかな。
その「ちいさい自分」は、ひとつの人格としてイメージされた。
そこで、今の僕のイマジナリーフレンドの、ロミィと精霊さん(※僕のはじめてのイマジナリーフレンド。ちなみにロミィは24人目)に会わせてみた。
これがねぇ、予想外の結果になった。
〈ほんと、予想外だったわ〉
〈まさかあんなに警戒されるなんて〉
ね。びっくりした。
イメージした「ちいさい自分」は、本当にちいさかった頃をモデルにしてる。
それこそ、精霊さんと出会う前の僕を。
そんなちいさな僕は、今の僕が全幅の信頼を置いているイマジナリーフレンドのふたりに、警戒心をあらわにした。
〈あからさまに距離を取られたわ〉
ね。
ただ、理由は、なんとなくわかってるんだ。
〈なに?〉
ほんと、会わせてみるまで僕も忘れてたんだけど、当時の僕は、心の中で、他人とは……特に年上とは、分かり合えないものだと思ってた。
基本的に信頼できないって思ってたんだ。
だから、ちいさな僕は、ロミィや精霊さん自体を警戒してたんじゃなくて、ただ、年上に見えたから、警戒したんだと思う。
〈どうしてそんなに年上を怖がってたの?〉
……………。
〈あ、無理に言わなくてもいいのよ〉
……いや、そうだね。
おそらく、なんだけど。
プライベートすぎる話になるから、具体的には言えない。
だから、抽象的に、ふわっと言うんだけど。
すごく苦手だけど、距離を置くことができない年上が、当時ずっと近くにいたから、なんだろうね。
〈じゃあその反動で年下好きになったのね〉
………否定はしないけど、その言い方はちょっと誤解されそうな気が。
〈いいのよ〉
〈それに、今は忘れてたのよね。その年上への苦手意識〉
うん。
〈なら、いいじゃないの〉
でも、それでも、この年上への苦手意識は、実は、僕の深いところに、根を残していた。
〈そうなの?〉
うん。
基本的に他人を疑いがちだし、年上は怖いって無意識に判断してる。
だから、ことあるごとに、心がざわついてた。
薄くなったとしても、確実に残っていた、慢性的な人間不信で。
その原因は、子どもの頃にあったんだ。
今回、子どもの自分をイメージして、そのことがわかった。
だからといって、すぐに「じゃあもう怖がるのやめよう」とはならないんだけど…。
でも、無意識のままに怖がってたときよりは、ちょっとは落ち着いて対処できるようになるかなって。
ここまで考えて、思った。
「ちいさい自分」って、おもしろい。
僕が忘れていた、僕自身を知る、手がかりになるなって。
だから、今後も、この「ちいさい自分」とは、もっと深く、向き合ってみようかなって。
〈とりあえず私は仲良くなりたい。ちいさいシャルとも〉
そうだね。
精霊さんにはもう懐いたみたいだからね。
〈……それ、ちょっと気にしてるんだからね!〉
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