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求めるって信頼の証

 僕は、基本的に求めることが多い。
 だから、たまには求められてみたいなぁって思ってた。

 そんなとき、親しい人に、ちょっとしたことを求められた。
 嬉しかった。
 けど、どこか身構えてる自分がいた。

〈身構えるって?〉
 なんだろう。
 焦りとか、不安とか、そういうのがちょっとずつ混ざったような。
 そんな感じ。

 こんな複雑な気持ちになるとは思わなかった。

〈どうしてかしらね〉
 たぶん、求められたとき、「期待された」って思ったのかもしれない。
 で、僕は期待されることにめっぽう弱くなってるからさ。

 その期待に僕は応えられるだろうか。
 今後も応え続けられるだろうか。

 そんな風に感じちゃったんだと思う。
〈なるほどね…〉


〈でもさ、求められるって、「これを求めてもいいんだ」って、信じてもらえたってことじゃない?〉
〈つまり、信頼の表現〉

〈シャルは信頼されてるのよ〉

〈だから、もっと堂々と、求められたことを喜べばいいと思うわ。「信頼された!懐かれた!」って〉
 ……「懐かれた!」ってのは、良い表現かも。
〈でしょう?〉

〈で、その喜びのまま、できる範囲で、求めに応えてあげればいい。きっとうまくいくわ〉
 そうかな。
〈そうよ〉

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