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『推し文章』を書くために

「よく『発信には貢献意識が大切』と言われてます」
 そりゃあ、誰かの役に立たないと、誰にも読まれないもの。
〈それはちょっと寂しいね〉
「そこで質問なのですが、この場所であなたはどんな役に立とうとして発信しているのですか?」


本文:僕。誰かの役に立てればいいな。
「」:精霊さん。あなたの役に立てれば十分。
〈〉:妖精ちゃん。すでに役立ってるのよ私はどやあ。


 はあーーーーーーー難しい質問。
〈たしかに『〇〇に役立つ情報五選!』とか『〇〇するための3つの法則!』とか、そういう話はしないものね〉
 しないねえ。
 そういう話、嫌いじゃないけど、あまり書く気にはならない。
〈なんで?〉
 今のこのやり方で書くのが難しいから。

 僕は、この文章の内容が何かの役に立つというよりかは、この文章を読むことそのものを楽しんでもらいたい。
〈どういうこと?〉
 たとえば……小説みたいな。
 小説を読んでも、数学の問題が解けるようになったり、整理整頓のコツが学べたり、プログラミングがうまくなったりはしないでしょ。
「……そういう小説もありそうですが」
 まあそういう特殊なのは置いといて。
 小説を読むのって学びを得たいからって訳じゃない。
 そこに感動や共感やわくわくがあると期待して、読む。
〈そんな風な存在になりたい?〉
 物語を書いてるわけじゃないから、難しそうだけどね。

 でも、たとえば。
 読み返したくなる小説の一節、とかあるじゃない。
「あります」
 ああいうのになりたい。
 内容は覚えているのに、わざわざまた本を開いて、文字を読む。
「あれって不思議ですよね。頭に浮かべるだけじゃなくて、ちゃんと文字を読みたくなります」
 きっと、内容と一緒に、文章そのものが好きなんだと思う。文体とか、言葉選びとか、書式とか、形式とか。
「それらがまとまってひとつの雰囲気を出しているのでしょう」
 そうだね。その雰囲気を味わいたくて、もう一度読む。

 そんな、小説チックな楽しみ方をしてもらいたい。
 この場の雰囲気を楽しんでもらいたい。
〈それを目指した結果、三人でわちゃわちゃするこの方法になった、と〉
 そう。三人のキャラクターが、楽しそうに話してる雰囲気がいいよね。
 その中で、もしかしたら心に届くコトバがあるかもしれない。
 そしたら、満点。

 で、さっきの話だけど。
 このやり方だと、きちんと章立てしたり、完璧な起承転結を整えたり、丁寧な目次を作ったり、要素を箇条書したりってのが難しい。
〈テンポ悪くなりそう〉
 まさにそう。だから「〇〇に役立つ3箇条!」みたいなのは書きにくい。
 やってできないことはないだろうけど、その中でテンポを保つ方法がまだ分かってない。小説にはそんな要素は見かけないからね。
「それに、内容が役立つ系の文章は、色んな遊びが極力排除される傾向にあります」
 シンプル・イズ・ベスト。嫌いじゃない。
 でも、それってあまり楽しくなくてね。
 だから、今のこのやり方を貫こうと思ってる。楽しいのためにね。

〈……ねえ〉
 ん?
〈ここは小説なの?〉
 違う。イマジナリーフレンドは小説とは違う。
 その話はまたいずれ。

 今回はこのへんで。
「結局、この文章の貢献意識とは?」
 文章そのものを楽しんでもらおうってこと。
 まるで小説を読むみたいに、僕らの話を楽しんでもらいたい。
 その上で、心に残る内容もプラスできたら満点。
 そんな文章を積み上げていきたい。
〈高い理想ね〉
 ……………。
〈……なに?〉
 ……そこは『仕方がないから付き合ってあげる』とか言う場面じゃないの?
〈え、当たり前じゃんそんなこと。わざわざ言うようなこと?〉
 うわ眩しいたまに見せるピュア眩しい。
〈……私、バカにされてる?〉
 いやいやしてないしてない。ほんとしてない。

 それじゃあ、またね!
〈あ、逃げた!〉


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