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ちゃんと忘れてる。そのことを忘れてるだけよ。

 嫌な考えや記憶が頭にこびりついて離れない。
 しかも、それを考えたくない!って強く思うほど、考えてしまう。
 頭脳の構造的欠陥だぁ……しくしく。


シャル
主人公
〈ロミルダ〉
妖精


〈そういうのって、危険を忘れないようにする生存戦略の副産物なのかしらね〉
 「嫌なこと=危険」ってこと?
〈そうそう。で、次から回避するために、危険を忘れないようにする〉

 そうかもしれないけどさぁ…。
 でも、嫌なことが頭を埋め尽くすのって、精神衛生上よろしくないよ。

 そこで、自分なりの対策をいま試してる最中。
〈そうなの?どんな対策?〉

 「とにかくスルー」作戦!

 嫌だ!と「感じる」から、頭の中で反復してしまう。
 だから、感情を動かさないようにする。

 具体的には、「嫌なこと」を思い出した時、その思考ごと、感情から隔離するイメージ。
 このとき、嫌な考えは封じ込めようとせず、ただただ流す。
 感情に触れさせず、スルーする。

 そんなイメージを粘り強く持ち続ける。
 思い出すたびに、丁寧に。

〈それ、うまくいってる?〉
 うーーーーーーーーーーん、手応えは、悪くない、気がする。
 少なくとも、ひどく落ち込んだりしていなければ、スルーできるようになってきた。
 そのたびに、嫌な気持ちも薄くなっていった。

 ただ、ひとつ、どうしても不安なことがある。
〈どんなこと?〉

 これだけがんばっても、結局、忘れられないんじゃないかって。
 いまやってるこれは、無駄なあがきに過ぎないんじゃないかって。

 それがすっごく不安。

〈そうねぇ……そんなこと、ないんじゃないかな?〉
 えっ?

〈たとえば、忘れたことって「忘れた!」って認識しないでしょ?〉
 そんな認識したら思い出しちゃうじゃん。
〈そうなの。だから、「忘れられない!」って経験だけがどんどん積み重なっていくわけ〉
 つまり?
〈「嫌なことは忘れられない!」って思い込んでいても、実際は、嫌なこともちゃんと忘れてるんじゃないかしら〉

 赤信号ばかり記憶に残るから、本当は青信号のときもちゃんとあるのに、「いつも信号にかかってる!」って誤解してしまうようなもの?
〈そうそう〉

〈ただ、「忘れてる」ことを、ちゃんと、忘れてるだけなのよ〉


 今回はこのぐらいで。
 実は、今回のテキストは、以前のつぶやきを拡張したもの。

 もともと、この話はテキストでするつもりはなかった。
 だから、つぶやきで書いた。

〈どうしてテキストにするつもりがなかったの?〉
 だって、「嫌なことを忘れられなくて大変!」って話をしたら、その嫌なことそのものも思い出しそうじゃん!

 だから、つぶやきでさらっと流す感じにしようって、思ってた。

 でも、やっぱりいい話だとも思ったの。
 だから、テキストで、ちゃんと書いた。

 ……新鮮味に欠けるかなぁ?
〈いいんじゃない?ほら、いつもの標語よ〉
 「こんな記事があってもいいじゃない」?
〈そうそれ〉
 便利だねぇ、これ。
〈シャルが決めたんでしょ?〉
 ま、そうなんだけど。

 それでは、またあした。
〈ばいばい!!〉

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