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映画感想:感情の全てが。「かぐや姫の物語」

※ネタバレあります。

高畑勲監督のジブリ「かぐや姫の物語」が好きだ。あれほど見返して感動した作品はないだろう。最初に観た時は私がまだ幼かったのか、絵が好みでなく、そんなにといった感じだった。しかし、二回目に観た時の印象は全く異なり、生きることを伝える内容だと気づかされた。あの絵だからこそ作品に合っているし、それぞれのシーンが愛らしと感じたのだ。
姫を大切に育てる翁と媼に心打たれるし、姫の幸せを願って世の中の価値観で頑張る翁と、自分の心に素直に生きることや素朴な幸せ・自由を求める姫が、永遠にすれ違っていてずっと切ない。姫の考えに上手く現代の価値観を投影させており、竹取物語を現代に蘇らせている。言葉では語らない映画なので、解釈は人によってさまざまで、その分記憶に残るのだと思う。ずっと考えさせられる。誰もが心の根底に幸せを祈っているはずなのに、どうしても行き違ってしまう。

そしてまた、主題歌「いのちの記憶」を聴くと、涙が止まらない。

月に帰ると姫の記憶はなくなるのだけれども、

必ずまた会える懐かしい場所で
必ず覚えてるいのちの記憶で

に、そう願わずにいられない。

地球は煩悩に溢れているからこうしたいああしたいは罰なんだろう。でも、その楽しさも嬉しさも、悲しさも辛さも、姫は感じたくて地球にやってきた。(仏教的な考えとか、考察とか、読んでみようかと思う)
地球に生きる私は、どうか姫よ、かかさまの優しさや地球にいた喜びは忘れないでと、願ってしまう。記憶はなくなっても、姫は地球にいたし、きっとどこかに事実は残っていると信じたい。

生きるとは、酢いも甘いもあるけれど、それを感じることなのか。この嬉しい気持ちも辛い気持ちも、幸せなのか。この感情の全てが愛おしいと言われているような気分になる。

映画を観た時にも鼻水を垂らしながら嗚咽が出るほど泣いた気がする。それもあって、私にとって特別な映画だ。

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