世間知らずの起業物語 その11
O&Mチームの大きな課題が解決できるタイミングに来ていた。
引き継いだチームを、ここまで立て直し、ひとつの形が出来上がってきた流れを途絶えさせてはいけないと僕は感じていたのだ。
O&Mチーム
O&Mチームは女性リーダーの竹山さんを筆頭に、大中さん、海林さんの3名体制である。そして僕がそのチームの責任者。
去年までは、山田がO&Mの責任者で、竹山さん、外咲さんの3名の女性チームであった。
そして、サポートでグループの建設会社の技術者である大口さん。
元大手ゼネコンの出身の方で、定年退職した後にグループの建設会社に主任技術者としてきていただいている方なのだが、その方を含めて、4名のチームであった。
去年(2018年)の前半は、山田と外咲さんの2名体制であったが、転職してきた竹山さんが、山田の部下であり、リーダーとしてO&Mチームに入った。
その後、しばらくして、外咲さんが退職することになった。
僕は知らなかったのだが、随分前から、山田に退職の意向を伝えてきていたが、受け入れられず、ズルズルと長い間、引き止められていたらしいとのことだった。
外咲さんの直属の上司が竹山さんに変わったタイミングで、外咲さんから竹山さんに相談があった。これまでずっと山田に退職のことを話してきていたが、受け入れられずにここまで来たのでどうしたらいいか?という内容だった。
そして、困った竹山さんから僕にその相談があったのだった。
不都合な退職
小さな会社だから、ということでもないが、小さな不満などが積み重なり、それが会社を辞めたくなる原因となる人は少なくない。ただ、それを早くキャッチアップし、会社としてどう対応するか?ということを真剣に考えることで、これまで対処してきたのだ。
だから、誰かが「辞めたい」という話があれば、僕の耳に必ず入り、そして、すぐに会社の課題として川上会長と協議し、トップダウンで対策をしてきていた。僕の部下が僕に辞めたい、と相談してきてもだ。もちろん、成果も上がっていないのに給料をあげて欲しい、というような要望は受け入れられないこともあったが。
しかし、外咲さんのその意向は、ずっと闇に葬られてきたのだった。
だから、僕の耳に入ったタイミングでは、もう遅かった。
そして、僕に相談した竹山さんは、山田にこっぴどく怒られたらしい。
「どうして、佐藤さんに言うんだ?」と。
小さな会社なので、そこまで役職や上下関係が厳しいことはない。基本的にはだが。
しかも、役職的には、僕は山田より上である。
山田としては、自分だけ話を飛ばされた、と思ったのかもしれない。
しかし、山田の元部下である外咲さんが、山田に相談しても埒が明かないという相談を、上役の僕に伝えることで、竹山さんはそこまで怒られることになるとは思っていなかっただろう。
おかしなことではないと、僕も思っていたのだが、そう思わない山田だからこそ、外咲さんの件を隠蔽しつづけ、誰も気づかない状態で、ここまできてしまったのかもしれない。
こう言った体質が、会社のそこら中とは言わないが、僕が気づかないところで蔓延していたのは悲しいかな事実であった。
その件があったから、と言うわけでもないが、外咲さんが退職してしばらくした後、ぼくが正式にO&Mの責任者となり、竹山さん、大中さん、海林さんの3名のチームが始動したのだった。
竹山さんは、電気関連の業務に携わっていたが、大中さん、海林さんの2名は全く畑違いの業種からの転職組であった。だから、最初はどうなるものか?と不安だらけであったが、半年間の頑張りが実り、しっかりと自分で考えて、対処できるよにまでなってきていた。
だからこそ、このまま、成長すべく、チームの地力を育てる環境を続けたかったのだ。
それが個人の成長と会社の成長につながることだと思っていた。
でも今振り返ると、それは僕だけの勝手な思いだったのかもしれない。
つづく
※この物語はフィクションです。
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