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【開催レポート】KATARI-BAR in下関

皆さんこんにちは!山口県中小企業団体中央会です。
私たちは事業者の方の連携を支援している経済団体です。

2023年2月に山口市にて開催した「ソーシャルデザインKATARI-BAR」は多くの方にご視聴頂き、本会としても今まで関わることがなかった事業者の皆様と繋がりができたイベントとなりました。
そこで、今年度は舞台を下関市に移し、新たな登壇者をお迎えして「KATARI-BAR in下関」を2023年1月24日に開催しました!

早速、その様子をレポートします!(一部改編しています)

なお前回のレポートはこちらのnoteをご覧ください。

イベント概要

◆テーマ:「KATARI-BAR in下関」
 ~仲間とつながり・巻き込みビジネスの力で地域を面白く輝かせる~
◆日時:2024年1月24日(木)18:00~19:30
◆参加者:リアル参加(JOIN083)45名+オンライン(zoom)約30名
◆参加料:無料
◆主催:山口県中小企業団体中央会
◆登壇者:
  前田 誠一郎氏(中小企業連携協同組合Shingari 理事長)
 北尾 洋二氏(株式会社リージョナルマネジメント 代表取締役)
 植野 暢之氏(アシストプラス株式会社 代表取締役)
◆進行役:
和田 健資氏(割烹旅館寿美礼 代表取締役社長)

イベントチラシ

今年度も会場参加とオンライン視聴を組み合わせたのですが、
会場となったJOIN083には、なんと45名もの方にお集まりいただきました!
熱気あふれる中、トークセッションがスタート!

会場となった「JOIN083」は大丸下関店7階にあり、日本初のデパート・百貨店に立地するスタートアップ支援拠点です。

導入

はじめに進行役の和田さんより、主催者である中央会とは?中央会が支援する組合とは?について、配布していたパンフレットに基づき説明がありました。
和田さんは下関市で割烹旅館寿美礼を経営されており、旅館関係の組合に所属されていることから中央会や組合制度についても理解が深い方です。

  • 中央会は各県に1つずつ設置されている、組合支援が専門の経済団体

  • 一口で組合と言っても様々な組織があるが、ここでは、事業者同士でつくる「事業協同組合」と、個人でつくる「企業組合」を紹介する

  • 県知事認可法人、0円設立、ひとり1票で平等な組織運営ができるなど様々なメリットがある

  • 異業種でも同業種でも組めるのが組合

中央会や組合制度をご存じない方は、ぜひホームページをご覧くださいね。配布したパンフレットも掲載しています。

なぜ組合の話から始まったのかと言うと、今回登壇頂いた皆様で、「中小企業連携協同組合Shingari」という組合を立ち上げられたからなんです!

皆様の個々の活動は、実は組合の活動にも深く関わっているとのこと。

そこで、組合を立ち上げられた想いについて、代表理事の前田さんからお話し頂きました。

「中小企業連携協同組合Shingari」の構想

前田さんは下関市彦島でカイロプラクティック 彦島整体院を経営されており、自社の経営に活かすため様々な異業種交流会に参加されていました。
しかし近年は、勉強ではなく交流(いわゆる飲み会やゴルフなど)を中心としたところが多すぎると感じていました。

元々知り合いだった和田さん達も同じ意識で課題を感じており、
「事業に直接訴求できるための情報を得る場所が欲しい!ないのであれば、自分達で作りたい!」
という想いに至りました。
具体的な構想を練る中で、どうせ作るなら任意団体ではなく信頼される法人で作りたいと考え、事業協同組合を選択されました。そうして、2023年7月に「中小企業連携協同組合Shingari」が誕生したのです。(以下、シンガリ組合と書かせていただきます)

シンガリ組合の定款には「組合員の行う経営等に関する勉強会・交流会等の共同開催」が実施する事業として掲げられています。
カタリバ、イクサバなどのテーマを決めた勉強会を開催し、そこに様々な事業者の方を呼び込み、経営者同士が互いに学び合い、研鑽し合い、交流し合うための場を創出することで、人的交流を促すとともに、地域経済の活性化にも貢献していきたいという構想が紹介されました。

また、勉強会交流会の開催だけに留まらず、シンガリ組合としてできそうな事業はどんどん実施していきたいとのこと!

進行役の和田さん(左)と、中小企業連携協同組合Shingari 理事長の前田さん

続いて、登壇者ごとのテーマトークに移りました。

「スポーツトレーナー」でスタートアップ
前田 誠一郎氏(中小企業連携協同組合Shingari 理事長)

前田さんは、スキー選手のトレーナーとして冬季オリンピックにも帯同した経験をお持ちの方です。整体師やスポーツトレーナーを目指す方が通う専門学校の講師でもあります。

前田 誠一郎氏(中小企業連携協同組合Shingari 理事長)

そんな前田さんだからこそ、スポーツトレーナーになるために学校を卒業しても働く場がない現状、所得が低い現状に強い危機感がありました。また、地方にあるスポーツチームの下部組織においても資金難で専属トレーナーを雇うことが難しいという現状があるようです。
これを打破するための事業プランが発表されました。

まず、組合を立ち上げ、地方にあるスポーツチームと組合が契約(もしくは組合員となる?)。さらに、活躍の場がないトレーナーの卵と組合が提携。組合が、トレーナーを目指している若手に現場の知識と実践で使えるコミュニケーションの取り方等を伝授・教育していき、育ったトレーナーをスポーツチームに対して送り出すという事業プランです。将来的には、組合がチームと交渉していきトレーナーの所得向上に努めていきたい、また、スポーツ選手のセカンドキャリアの場としていきたいとの構想も語られました。
ちなみに、この事業構想は共感を得られやすくするため、様々な方が関わっているという所が見せやすい事業協同組合で法人化して実施していきたいとのことでした。

こういった事業化プランについてもシンガリ組合の定例会の中で議題として挙げられ、皆さんの意見をもとにブラッシュアップしていっているようです。

プロジェクト型のワークスタイルが面白い!
北尾 洋二氏(株式会社リージョナルマネジメント 代表取締役)

北尾さんは今回のイベント会場となったJOIN083の運営を行う株式会社リージョナルマネジメントの代表取締役。
コワーキングスペースの運営や学生等に対する就職・採用支援事業などを手掛けるなど、地域活性化のために様々な仕掛けを行っている、下関市内の経営者としてはとても有名な方です。

北尾 洋二氏(株式会社リージョナルマネジメント 代表取締役)


特徴的な事業スタイルとして、これまで「プロジェクト型のワークスタイル」を実践されてきました。具体的には、いくつものプロジェクトが平行する中で、プロジェクトごとに仲間を集めて組織を作り、実施するというものです。
メンバーが増えれば増えるほど持っているリソースが掛け合わされ仕事が広がっていくという点が、協同組合の事業スタイルにも似ている、と北尾さんは仰います。

「コロナ禍を経て、広告代理店がどんどん倒産していることから分かるように、代理が世の中に必要とされなくなってきている。そのような中で、協同組合が個々を繋ぐプラットフォームになるのではないか。
ベンチャーが流行った時代もあったが、今はそこまで大きな会社にしなくても良いと考える人が増えた。そのような方々で、同じ目的を持つ個が集まって信用力を得るために協同組合を作る。信用や実績は目に見えないけれど、協同組合は組合員の持っているリソースや実績を掛け合わせることができる。協同組合はプロジェクト型のビジネスに向いている。」

連続起業家が伝授「稼げる仕組み」づくり
植野 暢之氏(アシストプラス株式会社 代表取締役)

植野さんからは、これまでの経歴と、稼げる仕組みづくりのポイントが紹介されました。

植野 暢之氏(アシストプラス株式会社 代表取締役)

植野さんはおしぼり屋の2代目として誕生。学生時代に多くのアルバイトを経験した中で営業・マーケティングが得意ということがわかり、事業承継した家業の経営にも生かしました(飲食店のよろず屋となるべく取扱い品種を増やして経営を多角化)。

その後順調に進んだようにも見えましたが、リーマンショックや東日本大震災を経て売り上げが減少したこともあり、改めて経営学を学ばれました。
学んだことをそのまま自社の会社で実践し、晴れてV字回復。
しかし、その経営ノウハウを従業員に教育していくと次々に従業員が辞めていき、また危機に陥られました。

そこで、自分は本当は何がやりたいのか、という根本を突き詰めて考え抜かれたといいます。
自分の本当のやりたいこと〈マーケティングがやりたい!〉に立ち返り、コンサルティング会社を立ち上げ、家業と分社化しました。
このような経験の中で、自分は本当はなにをしたいのか、が最も重要であることを学ばれたといいます。

続いて、経験に基づく「3つの稼げる仕組み」のポイントが紹介されました。

  1. 商品と販売に分けて考える。多くの経営者は売上が下がったら商品をよくしようと注力するが、そうではなく、集客販売(マーケティング)を変えることが重要。

  2. 物事を分解して考える。10憶円の売り上げは1億円×10個に分ける。大きなカテゴリー単位で考えず、AがだめてもBがある、というふうに多角化すること。

  3. 連携する。社員10名以下の社長は、他人(他人の知恵や他人のリソース)を活用すること。手段にはこだわらないこと。

植野さんについても、3.で述べた「連携する」場としてシンガリ組合に参加されており、シンガリの仲間から多くの気づきを得ているとのことでした。

今回は時間の関係で簡単なポイントのみのご紹介でしたが、もっと詳しいお話しはシンガリ組合に参加すれば伺えるそうです。

質疑応答

続いて、事前に届いた質疑応答に登壇者から回答がありました。

質問:協働とは?まちづくり協議会に若者を呼び込むには?

人口が減ってきている中で若者を呼び込むには、協働(連携)して一体何をしていくのか、情報発信がまずは必要。
そもそも若者とは、どの世代に訴求するのか?
若者と一言で言っても、どの若者に訴求するのか、分けて考えることが必要。
若者が返ってこれるような街づくりになってるのか?

進行役の和田さんには皆さんの意図を分かりやすく解説いただきました

前田さんからは、例えばまちづくり協議会の中に青年部をつくって、青年部の意見が聞ける人がトップにする。
もしくは青年部をトップにして高齢者はそれを支える仕組みに変えるなどが必要だと、事例を踏まえてお話がありました。

和田さんからは、旅館のある地域は平均年齢が70歳を超えているということが紹介され、
「これまでコミュニティを担ってきた高齢者と若者が意見を交わす場が必要。どちらか一方が勝手に進めてはいけない。なぜ、高齢者しか残ってないかを若者は知らないので、それを伝える必要がある。」とのお話がありました。

これ以外にも質問が寄せられていたのですが、時間の都合でいったんここで終了となりました。

終了後、会場の皆さんと写真撮影

会場ではイベント終了後、懇親会が開催され、皆様の貴重な交流の場となりました。
ご登壇頂いた中小企業連携協同組合Shingariの皆様、イベントにご参加頂いた皆様、ありがとうございました。

主催者から見た感想

「中小企業連携協同組合Shingari」さんの取り組み自体は
山口県内の組合の中でも特徴的で、あまり例がありません。

しかし、今回のイベントを通じて、以下のような協同組合の新しい一面もご紹介できたのではないでしょうか。

  • 個々が集まることで持っているリソースが合わさり合い、大きな活動が可能となること。

  • 昔からある同業種同士の組合だけでなく、異業種でも、規模が小さなフリーランス同士でも組合を作ることができること。

  • 本業から少し角度を変えた新しいチャレンジをするにあたって、1社で行うよりも周りからの共感が得られやすく、たとえ失敗しても本業への影響が少なく辞めやすいこと。

イベント開催後のアンケートでも、「これまで知っていた協同組合の概念が変わった」「稼いでいくためにみんなで助け合う組合を作る点が印象的」といった感想を頂きました。

アンケートで「組合について詳しく話を聞きたい」とご回答頂いた方には後日事務所までご訪問頂き、
組合制度の説明やNPO法人との違いについてもじっくりとお話しさせていたきました。

このように、中央会ではいつでも皆様からのご質問にお答えしています。
訪問してのご相談も可能ですので、お気軽にご連絡ください!
(山口県外の方は地元の中央会にご連絡くださいね)

【山口県中小企業団体中央会】
住所 〒753-0074山口県山口市中央四丁目5番16号 山口県商工会館6階
電話番号083-922-2606 
FAX083-925-1860
代表メール ycdc@axis.or.jp
営業時間 8:30~17:15(※土日祝日除く)


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