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大火に遭ったエキニシの再生へ 街を訪れる人たちからのエール

 大規模火災があったJR広島駅西側の飲食店街、通称「エキニシ」(広島市南区)で11月26日夜、市民がエリア再生への応援メッセージを伝える写真の撮影会がありました。タウン情報誌「TJ Hiroshima」編集部(中区)が企画。撮影に同行し、この地区への熱い思いをメッセージボードにつづった人たちに迫りました。
(文・石井雄一、江頭香暖、写真・山田太一)


U35・エキニシ応援撮影会③

「手助けできることなら何なりと」蒲池清士さん(52)
 この日一番乗りで駆け付けたのは、東区の団体職員蒲池清士さんです。観光関連の仕事に就いている蒲池さんは「広島の街中の個性的な場所として、県外の方にもエキニシを案内してきた」と語ります。「火災に心を痛め、何か力になりたい」という率直な思いをメッセージに記しました。


U35・エキニシ応援撮影会④

「エキニシは屈っしない!」井上龍也さん(44)
 会社員井上龍也さんは、会員制交流サイト(SNS)で企画を知り「全力で応援したい」と駆け付けました。被災した鉄板焼き店「広島赤焼えん」の常連だった井上さん。火災があった日は、なじみの店や地区の状況が分からず、仕事が手に付かなかったといいます。
 その日の勤務を終え、目にしたのは変わり果てたエキニシの姿。「復活待ってます」と店主に連絡しました。「人との距離感が近い、この地区の魅力を残してほしい」。被災を免れ、明かりのともった通りを見つめながら、そう願います。


U35・エキニシ応援撮影会⑤

「エキニシは絶対!大丈夫!!」中井久美さん(51)
 7年ほど前からエキニシに通う安佐北区の中井久美さんが選んだメッセージは、今年、プロ野球でチームを2年連続の最下位から日本一に導いた、南区出身でヤクルトの高津臣吾監督(53)がチームを結束させた言葉「絶対大丈夫」にあやかりました。
 火災が起きたのは、新型コロナウイルスの新規感染者数がようやく落ち着き、年末に向けてという時期でした。中井さんは被災当日、心配でエキニシを訪れ、言葉を失ったといいます。それでも、みんなが助け合って片付けをしている姿に感銘を受けました。「そんな地区の良さが残るような復興を遂げてほしいですね」

エキニシ東京人Edit

「エキニシ ファイト」木村洋さん(58)
 「東京人」を自称する木村洋さんは、6年前から広島で働く会社員です。実は、夜のエキニシに来るのはこの日が初めて。前から立ち寄ってみたいと思っていたみたいです。SNSで企画を知り、会社仲間3人と訪れました。「好きですね。思ったよりも路地が広いし、とても風情があって。これは残しておきたい」と話します。「できることがあったら協力したい」と力を込めました。


エキニシ3人

「わしらのエキニシじゃけえ」サンガー智子さん(46)たち3人
 SNSで知り合った知人と3人で「わしらのエキニシじゃけえ」と掲げたのは、安佐南区の英会話教室経営サンガー智子さん。「このネオンを見るたびにお祭り気分が味わえる。広島にとって大切な場所」。そんな思いをメッセージに込めていました。


メッセージと写真は「TJ Hiroshima」1月号で
 広島の飲食店の魅力を紹介してきたタウン情報誌「TJ Hiroshima」。被災店舗やエリア全体を元気づけようと、今回の企画を考えました。フォトグラファーの中野一行さん(44)が撮影し、個人やグループなど計12組が協力しました。

U35・エキニシ応援撮影会①


 編集部の企画編集長、平谷尚子さん(45)は「皆さんがエキニシに対して何かしたい、という気持ちがひしひしと伝わってきた」と喜びます。
 メッセージと一緒に撮影した写真は、12月25日に発売される「TJ Hiroshima」1月号のエキニシ応援企画の中で紹介されます。このほか、広島の著名人が寄せた応援メッセージや支援の取り組みも取り上げる予定だそうです。平谷さんは力を込めて言います。「エキニシを応援している方がたくさんいることを、誌面を通して届けたい」