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U35世代にいま、届けたいニュースや話題を集めました。広島や中国地方のリアルを発信できたらと。日々の暮らしに役立つ情報も盛り込みます。
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#若者

マルチ商法で50万円失った21歳、後悔深く SNSや街コン…身近に魔の手【連載㊤】

 会員が新たな会員を誘い込み、報酬を稼ぐ「マルチ商法」。もうけ話を持ちかけられて大金を失った若者の相談件数が、中国地方でも高止まりしています。目立つのは仮想通貨や副業といった「モノなしマルチ」。スマホアプリやSNS(交流サイト)を介して近づくのが特徴です。ごく身近に潜むワナに落ちた被害者の後悔は深いようです。(栾暁雨)  「受け身じゃダメ。変わりたいなら今だ!」。「僕も普通のサラリーマンだったけど、今はいい家に住み、高級車に乗っている。人脈があれば稼げる」。広島市中心部の会

マルチ商法に無防備な「SNS世代」 知らない人とのやりとりに抵抗なく【連載㊦】

 「日本の若者は無防備で取り込みやすい」と、マルチ商法で勧誘する側は言います。希望を持ちにくい社会だから「楽して稼げる」という甘言が響くとも。専門家は「知らない人とのやりとりに抵抗がないSNS世代が狙われやすい」と警鐘を鳴らします。(栾暁雨)  「もうけ話に興味を持ってもらうには、仕事の不満や悩みを刺激することです」。若者100人以上を勧誘した広島市の男性(24)は、そう振り返る。  ネット掲示板やチャットアプリを通じてやりとりし、ある程度の信頼関係を築いたところで喫茶店

「年収200万円、恋愛はぜいたく品」「一人が気楽」…広島の若者たちの本音

 20、30代の若者が恋愛・結婚から遠のいています。6月に内閣府が発表した男女共同参画白書によると「配偶者や恋人がいない」と答えた20代は、男性65・8%、女性51・4%。広島でも経済的な困窮やSNSの浸透が、他人と深く付き合うことのハードルを上げているよう。「結婚はぜいたく品」「恋愛が面倒」。そんな声が聞こえてきます。(栾暁雨) ■ギリギリの生活、癒やしは無料通話アプリ 「年収200万円では、恋愛しようという気にならない」。広島市の契約社員男性(31)は、恋人いない歴6年

森林で働くってかっこいい。島根の山で若者たちが思うこと ~連載「めぐる森林」から

 林業にチャレンジする若い人たちが増えつつあります。体力勝負でハードなイメージの仕事。人手不足が続いていますがなぜなのでしょう。どんな人たちが、何に魅力を感じながら働いているのか。面積の約8割が森林という島根県内の現場を巡りました。(鈴木大介、松島岳人、寺本菜摘) 渡辺和樹さん(29)かっこいい機械に魅せられ  島根、山口の県境に近い山林。伸共木材協同組合(益田市)の渡辺和樹さん(29)が手際よく操作しているのは、ハイテクの林業機械だ。スウェーデン製のハーベスタというアタ

ウクライナ情勢に不安を抱える若い世代。核戦争への恐怖など、気持ちを整理するには?

 ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領が核兵器を使う可能性をちらつかせています。核戦争が起きるのではないかと、不安を感じていませんか。核超大国の米国と旧ソ連がにらみ合った冷戦後の若い世代には、「核兵器が使われるかもしれないと初めて本気で不安になった」と受け止める人もいるようです。(宮野史康)  学生のころから知る友人からこんなメッセージが届いた。確かに広島の友人も最近、元気がない。聞けば不安から寝不足という。  安全保障を核兵器に依存する世界は「何かあれば核兵器を使

特定の家を持たず、全国を転々と‥。アドレスホッパーの日常とは

 特定の家を持たず、全国を転々としながら暮らす。そんな放浪生活を送る人々を「アドレスホッパー」と呼ぶらしい。アドレス(住所)をホッピング(渡り歩く)する人という意味。実践している人を探していたら、広島でも車中泊のアドレスホッパーに出会った。どんな日常なのだろう。(田中謙太郎) 日本一周を7万円の軽で 7万円で買った中古軽自動車に乗って移動するアドレスホッパーは、山田竜兵さん(30)と嶋田瞳ステファニーさん(28)だ。昨年7月に山田さんの地元埼玉県をスタートし、広島県には11

被爆者の足取りをたどりたい。東京の学生2人が広島へ【前編】歩いて感じたあの日

 2021年10月に96歳で亡くなった前広島県被団協理事長、坪井直さんの被爆当時の足取りをたどってみたい。そう思った東京の20代2人が11月、広島を訪れました。2人は何を感じたのでしょう。そもそも2人が広島に来たいと思ったワケとは? 記者も一緒に歩き、話を聞きました。(湯浅梨奈) 2人が広島を訪れた理由 広島にやってきたのは、核兵器廃絶を目指す活動に取り組む若者グループ「KNOW NUKES TOKYO(ノーニュークストーキョー、KNT)」の共同代表の慶応大3年高橋悠太さん

被爆者の足取りをたどりたい。東京の学生2人が広島へ【後編】「意識高い系」と言われても

 坪井直さんの被爆当時の足取りをたどった慶応大3年の高橋悠太さん(21)と上智大2年徳田悠希さん(20)。2人は、核兵器廃絶を目指す活動に取り組む若者グループ「KNOW NUKES TOKYO(ノーニュークストーキョー)」(東京)のメンバーです。キラキラな東京でキャンパスライフを送る2人が、どうして平和活動に取り組んでいるのか、その理由を聞きました。(湯浅梨奈) 徳田さんの場合。きっかけは中学の修学旅行 東京都練馬区出身の徳田さんは、広島と縁もゆかりもありません。それでも今

市販薬を大量に飲むオーバードーズ。広島の20代女性が、自身の苦い体験を振り返りました。

 市販の風邪薬などを大量に飲むことで気分を楽にさせ、心の悩みから逃避する「オーバードーズ」。いま、若い世代を中心に増えているようです。なぜ薬に依存するのか。その結果、どんな危険にさらされるのでしょう。広島で暮らす28歳の女性、アライ(仮称・敬称略)は、3年にわたる薬物乱用から抜け出したばかり。「もう薬には逃げない。自分を失いたくないから」と、自らの体験を振り返ります。(小林旦地) バイトに行くため 薬を20錠 早朝、化粧ポーチに入れてあるせき止め薬のビンから手のひらに流し出

市販薬に依存するオーバードーズ。体への負担や広がる背景を専門家に聞きました

 市販薬などを大量に飲む「オーバードーズ」は若い世代にどのくらい広がっているのでしょう。体にどんな負担があり、防止のためにどんな対策が必要なのでしょうか。専門家は背景に若い世代の生きづらさがあるといいます。詳しく聞きました。(小林旦地) 相次ぐ相談 広島県内の診療所でも  依存症に詳しい広島市安佐北区のこころの健康クリニック可部の倉田健一院長によると、広島県内の診療所でもオーバードーズの相談が相次いでいるといいます。コロナ禍の中でストレスや悩みをため込み、依存症に陥る患者

政治に縁遠かった20代妻が島で立候補した夫を応援した8日間。日々の思いをスマホ日記につづりました

 まさか夫が立候補するなんて―。10月3日投開票の江田島市議選に挑んだ宮下成美(なるみ)さん(33)と一緒に、選挙戦を初体験した妻綾華さんさん(29)。遠くにあった政治が突然近くにやってきて見えてきたのは「人生は、私たちがつくっていくんだって」という実感でした。「まじかけぬけた」戦いの8日間を、スマホの日記にリアルにつづっています。 初の選挙活動 手ふりふり疲れた■1日目(告示日)  選挙活動すたーと!すんげー疲れた。緊張が、なる君も、私もすごかった。笑。街頭演説、ウグイス

「ネット界の文春砲」人気ユーチューバーのコレコレさん(32)って何者? 自称・コミュ障。実は広島出身なんです。

 人気のユーチューバーの中に「ネット界の文春砲」と呼ばれる人がいます。広島市出身のコレコレさん(32)。視聴者から寄せられた著名人のスキャンダルやネットの闇をネタに生配信し、チャンネル登録者は150万人以上。10月に初の著書「告発」(宝島社)を出版しました。ネットの闇に接して感じることや、広島への愛着について語ってもらいました。(栾暁雨) 若い子たちはネットで危険にさらされている ―投稿動画の再生回数は軒並み100万回超えですね。若者を中心に悩み相談が持ち込まれていますが、

U35世代が足を運ぶバンクシー展。 その魅力について考えてみた。

 何という光景でしょう。広島市中区のひろしま美術館の前に行列ができています。最近はコロナ禍でひっそりしていたのに―。美術担当になって2年の私・福田(30)は感激ひとしおです。人気を集めているのは「バンクシー展 天才か反逆者か」。とりわけU35世代の姿が目立ちます。バンクシーの何が心に「刺さる」のでしょう。来場した若者を中心に聞きました。どうやらポイントは三つあるようです。(文・福田彩乃、写真・山田太一) 1.その自由さ 「なんか、自由っすね」。こんなふうに第一印象を語る人が