顧客理解から生まれるCS活動

hachidori株式会社のShimohiと申します。今回はCS HACK Advent Calendar 2021、20日の投稿で本記事を投稿しています。

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CSに関わり始めて3年ほどですが、直近1年間は本当に何でも屋で、CS界隈からは足も遠のきつつありました😇

初めましての方も多いので、簡単に経歴・現在のご紹介を行わせていただいてから、本題に入ります。

現在何をしているか

hachidori株式会社で飲食店さん向けのシフト管理アプリ「CAST」のCS立ち上げ〜オンボーディング設計・改善を担いました。コロナ禍でリード数などが減ってきたためISとしての活動を経て、新規事業の検証をいくつか行い、何でも屋に転身。現在は2021年5月に本リリースした動画メッセージツール「recit」のマーケティング・IS・カスタマーサクセス(深堀営業を前提とした、オンボーディング + アップセルの業務設計)をメインで行っています。

直近の仕事はリード獲得のためのWEBマーケ・ISがメインですが、LTVを上げるため、CS業務も1月〜は注力予定です。

それでは、本題の「顧客理解」の話に入ります。

CSのミッションは、顧客理解をすること。

これはCS職として仕事を始めたばかりの頃に「CSのミッションって何なんですか?」と当時の上司さんに聞いてみたところ、言われた言葉です。正直当時は「じゃあ具体的に何を理解して、どうすればいいんだ...」という感想でした。

そこから2年半ほど経って、顧客理解を業務に落とし込んだ経験を経て、確かにそうだなと思える言葉として現在は受け止めています。

それでは、まずCSにとっての顧客理解とは何を指すのか、紐解いていきましょう。

CSにとっての顧客理解とは

顧客理解は、B2Bのサービス提供(課題解決)においては「どんな状況に置かれた、どんな人が、何を解決するために、どういう解決策を取るのか」を理解することを指します。顧客理解自体は主にマーケティングの文脈で語られることが多く、特にSmartNewsUSJなどの例が有名です。

上記に基づけば、CSにとっての顧客理解は、CSの業務領域において「どんな状況に置かれた、どんな人が、何を解決するために、どうしたいのか」を理解することです。

ここでは内容の単純化のため小さくCS業務を捉えて、いくつかの業務例で顧客について理解したいことを考えてみます。

プロダクト・フィードバック

・顧客業務のワークフロー理解、整理
・利用シーン/デバイスなどの理解(飲食店は近年タブレットでシステムを運用しているetc. )

オンボーディング、トライアル

・トライアル時、組織攻略を行うためのキーマンや組織構造理解
・サービスの利用者同士の関係性
(e.g. 労務管理SaaSなら、導入担当者は人事・総務で利用者は社員全般)
・ユーザーにとって都合が良い連絡チャネル(e.g. 飲食店は電話連絡が多い等)

それではこれから、実際に役に立った顧客理解の内容を紹介します。

顧客理解をオンボーディングにどう生かしたか

前提として、今回紹介する例は飲食店向けのシフト管理アプリ「CAST」事業で行ったことです。飲食業界・組織構造の理解、そして店舗の状況・オペレーションの理解は、オンボーディングの効率化に繋がりました。

業界・組織構造の理解
社内への影響力が強く、新しいものの導入に熱心な「スター店長」をトライアルやオンボーディングの導入責任者としてアサインしてもらうことで、オンボーディングの成功率が85%から93%程度にまで向上しました。

飲食業界は、店舗ビジネスの特徴上「本部→エリアマネージャー→店長→スタッフ」という指揮系統があります。一方で完全な上位下達ではなく、1. 新しい取り組みが好きで影響力があるスター店長が存在し、また2. 横のつながりも強いため、システムの導入時は店長陣の協力が不可欠です。

シフト管理アプリ「CAST」を導入すると、「シフト管理」という飲食店の人の動きの管理・実務を全て変えることになります。そのため、全店舗導入が一気に進むことは少なく、数店舗(エリア単位)で利用して感触を確かめ、成功を確信してもらってから別エリアに展開する流れがメジャーでした。

この流れで生じるリスクは、オンボーディングやトライアルで運用している店舗での利用が進まないことで「使えていない」と判断されることです。導入担当者(システム部門等)に店舗を指定してもらい、単に利用してもらうだけでは、いくらハイタッチをしても木こりのジレンマのように利用が進まない状況が、当時発生していました。

木こりのジレンマ

こうした事情があることから、利用開始時には導入担当者に「スター店長」が誰かヒアリングし、導入責任者として協力をお願いし、ハイタッチ対応を行うことにしました。

スター店長はサービスを熱心に試してくれるほか、新しい取り組みに熱心なため、単純にオンボーディングが進みやすくなった上、良いと感じてくれれば他店舗にも宣伝してもらえ、オンボーディング後の利用店舗拡大が進みやすくなりました。

店舗の状況・オペレーションの理解
店長、店舗スタッフの状況を理解することで、オンボーディング期間を1週間強短縮
できました。

シフト管理はスタッフにも関わる業務なため、システムを導入するにはスタッフへの説明も必要です。飲食店の店長は忙しく、朝礼・終礼以外ではスタッフ全員と顔を合わせ、話す機会は多くありません。

そのため、一人一人時間を見つけて説明するか、終礼などの際に何回かに分けて説明するなど、「効率化のためのシステム導入で、逆に忙しくなる時期がある」状態でした。こういった状況が発生するとシステム導入を面倒に感じてしまう店長もおり、CASTの利用開始までラグタイムが発生していました。

店長に導入のための負荷をかけにくい状況となると、スタッフが自走して導入を進められる仕組みを整備する必要があります。

スタッフがどこで店舗の新しい動きをキャッチアップするかを、実店舗への訪問、そして店長へのヒアリングを通して確認したところ、1. マニュアルや共有事項は必ずバックヤードへの貼り出しを行っている、2. 共有事項はおおむねLINEで全体に周知している、ことが分かりました。

バックヤード


(画像はイメージです)

こうした内容を受け、ヘルプサイトやPDFマニュアルの提供にとどまっていたオンボーディングサポートを、バックヤードへの張り出しで効率化することに決め、今日に至るまで以下2つを実践しています。

・シフト作成方法切り替えのお知らせ(バックヤードへの張り出し用)
・紙のマニュアルの送付(PDFで送付後、印刷・設置依頼)

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これらを設置することで、店長が「紙を見ておいて」と指示するだけでスタッフが自走できるため、説明も不要になります。

また、LINEで全体連絡を行うこともわかったため、店長→スタッフへの説明例文を共有して、タスク依頼を行ってもらう流れも実践しています。

顧客理解はCS活動に活きる!

ここまで紹介してきたように、顧客がどんな状況に置かれているのか、そしてどういう特徴を持っているのかを理解することで、新たな施策を生み、実行することができます。

今回はオンボーディングに絞った紹介でしたが、顧客の理解はプロダクトづくりの前提となる業務理解(SIerのように、業務とステークホルダー整理は必須)、顧客がCSに求めるフォロー、そしてアップセル等の元になるサービス連携など、更に幅広く活用できるものです。

フォローの例では、ベーシックさん・ferret oneのもくもく会が、ユーザー理解に基づいた例として秀逸です。「忙しく、別業務で仕事が中断される」WEBマーケターの方向けに「もくもく会」の場を設けることで、マーケティング担当は時間の確保・実業務の進行がしやすくなります。更に、すぐに質問・解消ができることでプロダクトの活用度・ferret one CSへの信用度が高まるなど、良い循環が生まれる施策と言えるでしょう。
(WEBマーケ担当として、まさにそういう時間が欲しいなと感じています😇)

結びに代えて

現在携わっているrecit事業では改めてCSとしてチャレンジするタイミング(アップセルなどなど)を迎えています。この記事をお読みいただいたCSの方、営業の方は、顧客理解に関してでも、アップセルに関してでも、ぜひお話しさせてください!

こちらへのご連絡、お待ちしております!

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