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中国で人気のマーダーミステリー

「人狼ゲーム」をご存知でしょうか?

人狼と村人の2チームに分かれ、数名で行うゲームです。物語は、平和な村に紛れ込み、夜な夜な村人を襲う人狼を見つけ、追放するというもの。人狼側は自分が人狼と悟られないように振る舞い、村人は人狼を見破ります。お互いのことを探る糸口は、会話のみ。相手にどんなことを聞くか、どんな態度を示すかなど全てがヒントになります。

元々は、ロシアで楽しまれていた伝統的なパーティーゲームでした。日本では2000年代初頭から一部で流行し始め、2013年にテレビ番組で取り上げられたことから、人気と知名度が上がったといわれています。役割分担や進行を助けるカードゲームやアプリも登場し、身近な遊びとなりました。

意外にも古い歴史を持つ人狼ゲームですが、人狼ゲームに限らず、様々なゲームが近年新たな遊び方で楽しまれていることがわかりました。今回は、“体験型”ゲームについてご紹介します。

“体験型”ゲーム マーダーミステリー

冒頭で説明したように、人狼ゲームは数名で遊ぶゲームです。明確な人数規定はありませんが、5名以上で遊ばれることが多いです。メンバーが集まって直接会話しながら楽しむこともありますが、チャットなどを利用すれば遠隔地にいても遊ぶことができます。人数を集めること自体難しいということもあり、アプリを利用している方も少なくありません。

それらのゲームを実際に“体験”しながら遊ぼうというのが、体験型型ゲームです。実際に参加者が会場に集まり遊ぶことが多く、それらは「マーダーミステリー」と呼ばれています。
(一部にはアプリを通じて参加する方法もあります。)

会場はこのような広い館であることが多く、建物だけでなく庭や周辺施設も作り込まれています。ここが物語のステージです。

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集まった参加者は、それぞれ「役」を与えられます。そして、その役に沿った衣装やヘアセット、メイクなどをします。

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セット、衣装、メイク・・・ここまでくると、どれだけ物語の中に入り込むゲームなのかが伝わっているのではないでしょうか。この画像は、病院を題材にした物語で、白衣を着た男性や看護師姿の女性などが見受けられます。(中国語での募集サイト:http://www.xiaohongshu.com/discovery/item/5f30d09800000000010009d9 )
みなさん管理人や主催側ではなく、参加者です。

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物語には脚本が必要です。参加者には、台本が配られます。まず、自分の配役や物語のシナリオを確認し、自分のセリフを把握します。物語のゴールに向かうためにどのような振る舞いをすれば良いか、どんな行動を起こすかの指示やヒントが記載されていることもあります。
また、ゲーム内で使用できる通貨が配布されることもあり、体験中売店で購入することもできます。

参加者は物語の世界に入り込み、ゲームを楽しむのです。ただ遊ぶだけではなく、自ら役になりきることでゲームへの没入感が増し、好奇心が刺激されます。

中国ではこういった「マーダーミステリー」と呼ばれる体験型ゲームが人気なのです。(参考資料:http://www.xiaohongshu.com/discovery/item/5f30d09800000000010009d9 )


「マーダーミステリー」とは?

日本語で簡単に説明すると、架空の事件や謎に対して、参加者の1人(ないし複数名)が犯人役になり、残りの複数人が推理し犯人を見つけていくというゲームです。一般的にはこのような形式ですが、演劇として楽しまれていたり、企業のチームビルディングなどで利用されていたりと、様々あります。物語の内容も多様化しています。

パーティー形式で行われるマーダーミステリーは、参加者が平等にゲームを楽しめるように工夫されています。プレイ時間は2、3時間から、宿泊込みで行われることもあります。参加料金は、2000円程度で楽しめるものから、1万円近くするものまで様々です。

中国ではこのマーダーミステリーが、若者の間で大人気です。中国語では「剧本杀」という言葉で表記されます。

新型コロナウイルスが拡大していた時期はオンラインで楽しまれることが多かったですが、収束が近づいてきた2021年にはリアル店舗の利用者が急増しました。2021年上半期だけで、2,500社近くの関連企業が設立されたといいます。


体験型の人気

体験型といっても、広く見ればテーマパークや遊園地など、体を動かして体験できる施設は数多く存在します。遊びに行く施設を考える際、テーマパークなどを思い浮かべる人も少なくないように思います。
そんな中でマーダーミステリーはどのくらい人気を集めているのでしょうか。人気度を測る一つの方法として、baidu数値を利用し、1年間の検索指数を調べてみました。

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項目は、以下の5つです。

青:体験型人狼ゲーム
緑:人狼ゲーム (オンライン)
オレンジ:脱出ゲーム
ピンク:ディズニーランド
紫:ユニバーサルスタジオ北京

上のグラフは、それぞれの項目がどの時期にどのくらい検索されているかを示したものです。検索数全体を見ると、中国の大型連休がある2月、5月、10月の時期は全体的に検索数が多いことがわかります。

更にグラフに注目すると、体験型人狼ゲームが、他の項目よりも全体的によく検索されていることがわかります。ディズニーランドやユニバーサルスタジオ北京よりも検索されていることに、驚く方も多いのではないでしょうか。

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更に、各項目が検索されている地域をマップ化したデータをみると、体験型人狼ゲームの検索が多い地域は、広東省でした。調べてみると広東省には、体験型人狼ゲーム施設が多くあることがわかりました。同様の理由で、ユニバーサルスタジオ北京の検索数は北京が多く、ディズニーランドは上海での検索が多くみられます。

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比較のため、日本での検索数を調査してみると、ディズニーと検索する人が圧倒的に多いことがわかりました。脱出ゲームや人狼ゲームなどのマーダーミステリーはまだ日本での知名度は低いようです。


今回は中国で人気のマーダーミステリー、体験型人狼ゲームについてご紹介いたしました。中国と日本のカルチャーや流行は似ているものもありますが、流行時期などは異なることも多くあります。一部の流行に敏感なユーザーによって、各国にトレンドが持ち込まれることも少なくありません。

今回ご紹介したマーダーミステリーは、日本ではまだそれほど流行している様子はありません。しかし、脱出ゲームなどの流行は日本でも起こっており、それを更に進化させたマーダーミステリーは、この先日本で知名度を上げていくことが推測されます。

こういった流行は、SNSを利用している一般のユーザーによって発信され、拡散されていくことが多くあります。CHReportは、中国SNSユーザーの生の声を広い、分析することで、ビジネスに役立つ情報をご提供しています。

これからも、中国のトレンドをご紹介して参りますので、チェックしていただけますと嬉しいです♪最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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