見出し画像

コロナ禍の調剤薬局はどうなっているのか?

こんにちは。薬剤師のいしまるです。
本日ははじめてのリクエスト記事になります。
リクエスト頂いた HOZONスガワラさんありがとうございます。

※個人的には、いくらでも世間と語らいたいと思っているので、薬剤師への質問としてはもちろんのこと、他愛のない質問やリクエストコメントもドシドシぶつけてください。

さて、表題の件ですが、4月21日時点でのお話をさせて頂きます。

はじめにお断りをしておきますが、現在私は地方勤務(山形県)となっており、首都圏の状況とは異なる場合があります。首都圏勤務の方の意見も踏まえて、多少溝を埋めておりますが差異があることご承知おきの上、以下の本文へお進みください。

まえがき

外出の自粛などにより、店舗を構えて客商売をしていた中小企業は、予想だにしない大打撃を受けていると聞いています。
最近では、コロナによる経営損失が個人事業主を死に追いやるとも言われ、「非感染死」を招く事態に発展してきました。

そんな中、医療機関やスーパーなどの営業継続を必要とされる業界では、何が起きているのでしょうか?

本日はそんなテーマで薬局の実情をお伝えします。

薬局のお客さんは減っている?

結論から申し上げます。
来客者数はやや減少しています
1〜2割減といったところでしょうか。

理由としては風邪や軽いケガなど、軽傷での受診者数が減ったためと考えています。

しかしながら、調剤薬局を利用する方は「いつもの薬をもらいに来る」方が圧倒的大多数です。

定期薬は一種のライフラインですので、外出規制だろうが、緊急事態宣言だろうが、薬局に受け取りに行く必要があり、この大多数の来客者が大幅に減ることはありません。

患者さんはどうしてる?

薬局に来た患者さんの流れはコロナ以前と変わりありません。ただ電話診療にて簡易的に診察を受けた患者さんが、普段では考えられないペースで続々と押し寄せる時間帯があり、薬局が3密空間になってしまうことがあります。
できれば薬局への訪問も、オフピークでお願いしたいです。午後なら比較的空いていることでしょう。

薬局に来ない患者さんもチラホラ見られるようになりました。電話診療を活用した患者さんで、薬の郵送を希望した方がこれに該当します。
薬剤師による指導を電話等で受け、オンライン決済または銀行振込によって支払いを済ませると後日薬が郵送されます。
これには、薬の到着までを見越した余裕のあるスケジュール管理が必要となります。(明日の分がないから…では間に合いません)
薬が急ぎ必要な場合は受け取りのみ薬局で行うこともできる他、薬局によっては配達してくれるところもあるようです。

薬剤師は仕事はどう変わった?

患者さんが分、余裕が生まれる!と思ったのですが、残念ながら仕事は忙しくなっています

理由は以下の3つです。
①電話診療(お薬受診)
②不安に支配された患者さん
③在庫管理

①電話診療(お薬受診)
上でも少し触れましたが、厚生労働省による特別措置として、電話診療が認められ、簡易診療による定期処方箋の発行(お薬受診)が多くなりました。

(お薬受診については、同業の方は色々言いたいことがあると思いますが、ここではグッと堪えてください!…本当にコロナのせい?ツライ)

薬剤師は毎回の処方箋に対して、その妥当性や必要性を問う仕事でもあります。
電話による簡易診療であれば、その分薬剤師はその妥当性について、普段よりも一段階上の慎重さが必要になってくるのです。
つまり診察が簡易化された分、薬剤師の確認事項は増えることになります。

例えば、前回薬を増やしたばかりの方が「体調少しいい気がします。」といって、「それなら同じ処方で」と処方箋を受けたとします。
この時、薬剤師は「前回と同じですね」では済まされないのです。
薬を変えていいことばかりではないので、副作用は起きなかったのか?見た目や錠数が変わったことで混乱はなかったのか?確認しなければなりません。(ただしどこまでやるかは薬剤師の裁量次第です。あくまでも「私の患者さんにはこのようにする」という私見ですので、あなたのかかりつけ薬剤師がどのような対応をするかは別のお話。)

②不安に支配された患者さん
薬剤師に許された時間はとても短いということをご存知でしょうか?病院では「ちゃんと診てくれ」と騒ぐ患者さんが、薬局では「早くよこせ」といったりします。これほど薬剤師を悲しませることはありません。

私たちは、日々この限られた時間(患者に「早くよこせ」と言われないギリギリの時間)をフルに使って、なんとか薬の妥当性や安全性、必要性などを評価しています。

しかし最近ではこの貴重な数分間を、コロナが奪っていくのです。
「コロナコロナで怖えのぉ。病院も恐ろしくて敵わん。祭りも中止だはけぇ…。なんちゃらなんちゃら〜…」これを全員から聞かされます。
「血圧は測るようになりましたか?」と聞いても「コロナのぉ!あれは怖くて…」
私たちは何をさせられているのでしょうか?
もちろん話は聞きます。でも私の話も聞いてほしい!泣
というわけで、患者一人当たりにかかる時間は長くなる傾向にあります。

③在庫管理
薬局にある薬を管理しているのも薬剤師です。
現在日本で承認されている医薬品は2万品目超にも及びます。薬局に合った薬を選び、そして1日に必要な数量を確保する。地味ですが大変な作業です。膨大な情報量を処理する必要があります。

昨今の自粛モードは薬の医薬品卸業にも影響を与え始めています。これまで頻回に配達してくださった卸さんは1日1便となり、在庫切れなどで急ぎ必要となったを届けてもらうことも難しくなってきました。

また頻回に病院に行かなくて良いようにと、これまて30日分ずつ処方されていた薬が90日分処方になったりします。医薬品は高価なものも多く、過剰に在庫することは容易でないため、1日に必要な在庫量を完璧に見積もるのは困難でしょう。在庫不足などにより患者さんには迷惑をかけることも多くなると思いますが、ご容赦いただけるようお願い申し上げます。

おわりに

いかがだったでしょうか?
最後の方は少し愚痴っぽくなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。現場の一薬剤師としての正直な思いが、これを見てくださったあなたに届けば幸いです。

本日は以上です。
リクエストに応えられているか、疑問に残るところも多いですが、不明点などコメント頂ければ追記していきます!

サポートありがとうございます! 栄養ドリンクに変えさせていただきます!!💪