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読書記録ログ

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私の読書記録です。
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記事一覧

『発達性トラウマ』を読んで、トラウマ観がアップデートされた

『発達性トラウマ「生きづらさ」の正体』を最近読んだ。 今でこそ普通に過ごしてはいるが、私…

chov
1年前
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『決戦!株主総会』には史書としての面白さがある

2018年から2019年にかけて世間を騒がせたリクシルのトップ人事をめぐる記録……と銘打っている…

chov
1年前

中世史に興味がなくても『喧嘩両成敗の誕生』は面白く読めると思う

ITに限らず、エンジニアと話していると人文系の学問が好きではない、何が面白いのか分からない…

chov
1年前
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『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう』はトンチキに見えてちゃんと推理小説している良作

「大江戸」に「科学捜査」という文字列は普通続かない。江戸時代には科学的捜査は存在しないの…

chov
1年前
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『メガバンク銀行員ぐだぐだ日記』と『ポストモーテム』をあわせて読むと味わいが深く…

薬の飲み合わせのように、世の中には読み合わせて効果の変わる本がある。最近だと『三体』と『…

chov
1年前
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『いのちの車窓から』を読んで、星野源は根本的に「作り」が違うんだよなと思った

インターネットで見かけた一節を見て、まぁ読んでみるかと思った。 正直なところ、この一節を…

chov
1年前
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考えることの多い本は良い本だと思う―『ジョブ理論』

「ビジネス書」というジャンルは範囲が広い。個人的には「ビジネスに役立つ洞察を与えてくれる書物」のつもりでビジネス書という定義をしている。本書のオビには「21世紀のベスト・オブ・ビジネス書!」という派手なコピーが躍っているが、この定義に従えばベストかどうかはともかく良いビジネス書であると思う。 ただそれは本書の内容を鵜呑みにせよというわけではなく、議論のとっかかりにしていく土台として、ではある。 ジョブ理論については様々な人が引用している。自分も本書を読むまでは「顧客が解決

大胆な創作で新たな松永久秀像を描く意欲作—『じんかん』

戦国時代に多少知識があれば、松永久秀の名前くらいは聞いたことがあるだろう。東大寺大仏殿を…

chov
1年前
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他人に興味がない理由は分かったが—『2度目の会話が続きません』

会話が苦手だ。とはいえ結婚式場で映像カメラマンのアルバイトをやっていた時期もあるので、初…

chov
1年前
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これは能力主義に対する信仰だ—『PEAK 超一流になるのは才能か努力か』

才能と努力を対比させつつ描くエンタメは多い。最近だと『はねバド!』はとても好きだ。本書は…

chov
1年前
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実務面と歴史面のチグハグが気になる—『脱税の世界史』

確かKindle月替わりセールで購入。読み物としては面白いが、歴史を語る書籍としては新書という…

chov
1年前
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著者の赤裸々な告白に力付けられる—『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』

ネット書店とリアル書店、デジタルなメモとアナログなメモ、物理書籍と電子書籍など、様々な戦…

chov
1年前
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同時代の文章からしか味わえない趣き、それだけじゃない—『地方の王国』

55年体制における日本政治には恩顧主義(clientlism)という重要な側面がある。詳細は武内和人先…

chov
1年前
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ユニークな宇宙論への招待で、SF作家の凄さがわかる—『宇宙人と出会う前に読む本』

様々な宇宙人が集う宇宙ステーションで、様々な宇宙人と話しつつ宇宙論を紹介するユニークな構成の一冊。通底するのは「物理は宇宙のどこでも共通」という思想で、それは正しいと思う。 しかし、扱っているトピックに偏りを感じるのも事実で、たとえば「宇宙人が左右対称とは限らない」「炭素生命体とは限らない」というところは言いながらも、「宇宙人が視覚に頼っているとは限らない」とは書いていない。説明が面倒になるからだと思うが、みな地球人の可視光に合わせてくれている。という前提で話が進む。 と