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著者の赤裸々な告白に力付けられる—『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』

ネット書店とリアル書店、デジタルなメモとアナログなメモ、物理書籍と電子書籍など、様々な戦術を組み合わせた読書術を紹介する一冊。

本読みならば言葉にしなくとも慣れ親しんだ手法が多く見られるので、その辺りでは新規の学びはそこまで多くなかった。また、2013年の本ということもあり、後半の「ソーシャル時代の」「デジタルな」読書に関する記述はちょっと古い。本書ではEvernoteを推奨しているが2022年ならばObsidianやRoam Researchなど別のツールのほうが良さそうに見えるし、ソーシャルメディアを使った読書会も現在ではどれくらい有効なのかは疑問符がつく。

本を読み慣れていない人、あるいは学生時代に課題としての読書ばかりさせられて嫌になっている人には福音となる情報も多いが、それも前半部だけと言って良いだろう。そして本書の内容で物足りなくなったら独学大全を読もう。ちょっとベクトルは違うが、「文献の読み方」においては独学大全のほうが手厚い。

新規の学びについては多くなかったが、納得する部分は多かった。たとえば本に触れるとき、自分の「面白そう」を重視すべきだというのは尤もである。その理由が正直すぎて励みになる。

極端なことをいえば、面白く感じない本は「読め」ないからです。苦痛にさいなまれながら本を読んでも、時間がかかるばかりで、頭には入ってきません。

自分の問題意識や興味から外れた本は読めない。これは恥ずかしいことだと思っていたが、他の人もそうだと言ってもらえると非常に心強い。プロになるならばそうも言ってられないだろうが、趣味の読書なら別にこれで良いのだ。

この態度で思想が偏るのが心配に感じる人もいるだろう。でも、よくよく考えてほしい。読書で思想が偏るような人間は読書をしていなくても思想が偏るはずだ。なので心配せず、好きな本を読もう。

ここ以外にも、著者の正直な気持ちが吐露されている部分は非常に良い。たとえば、書き込みに関するこの一節。

ある時期まで私は「本に書き込みをするなんてとんでもない」と考えていました。もったいなさと、恐れ多さが混じり合ったような気持ちです。しかし、あるノウハウ本を読んだとき、「ペンを持って書き込みしましょう。線を引きましょう」というアドバイスに遭遇しました。多少、気後れはあったものの、物は試しにとペンを入れて読んでみることにしました。

最近は物理書籍をあまり買わなくなったが、私はまさにこの「もったいなさと、恐れ多さ」によって書き込みをしていなかった。次に物理書籍を読む際はやってみよう。書き込み。


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