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しんどいことを「しんどい」と言わせてくれたあなたへ。

「感謝を伝えたい女性」と言われて一番に思い浮かんだのは、石川優実さん。
実際お手紙を送ろうとしたが宛先が見つからず、石川さんは度々twitterで嫌がらせを受けているのを見ていたのでDMを送る気にもなれず、そのままになっていた。

3月8日は「ミモザの日」。女性に感謝を伝える日だそうな。
なので、石川優実さんへの感謝の気持ちを、私のkutoo体験と併せて綴ろうと思う。

大学3年生になった私は、周りが「就活準備ムード」に染まっていくのを感じながら、インターンに応募してみたりSPIを買ったりしていた。新しく買ったリクルートスーツに身を包み、慣れないながらも説明会やら職場体験やらをうろちょろしていた。

ここで、思わぬストレスが襲ってきた。
足が痛い。
幼いころに習っていたクラシックバレエの影響で、左足だけ外反母趾になってしまった私には、幅が狭いパンプスが窮屈だった。ボコッと飛び出た親指の付け根の骨をパンプスが容赦なく圧迫して、土ふまずがズキズキと痛む。靴擦れで皮がむけ、湯船につかると痛みが突き刺さる。反対に、外反母趾がひどくない右足はかかとが脱げそうになるありさまだった。何度紳士服店で試着をしても、「幅広」と書かれているものを選んでもダメだった。
もう、パンプスを見るのも嫌になった。

「インターン行ってきます!」などとSNSに投稿している同期を見れば、「皆足痛くないのかな……パンプスも我慢できない自分は就活生失格なのかな……」と落ち込んだ。

業界研究を重ねてもやりたいことがわからない、SPIが難しい、何度面接を受けてもお祈りメールが来るばかり……。ただでさえ就活はストレスが多いのに、足の痛みまでついてくるとは。肉体的にも精神的にもボロボロになりながら何とか就活を終わらせ、卒業を控えたある日、twitterでバンドエイドの広告を見かけた。


えええええええ?!

靴ずれのためのキズパワーパッド™を販売しているジョンソン・エンド・ジョンソンがこんな広告を出すとは。確かに私もめちゃめちゃお世話になったけど、靴ずれが減ったら商品の売上が落ちるかもしれないのに。いやかっこいいな。
衝撃を受けたが、一気に好きになった。

その流れで、 #kutoo というハッシュタグを見つけた。
当時世界中で起こっていた #metoo 運動に引っ掛けてるのかな、と字面を見てなんとなく思ったが、change.orgの署名にこれまた目を奪われた。

職場でのパンプス・ヒールのある靴の着用の強制。
辛い思いをしている女性は少なくないのではないでしょうか?


私だけじゃなかったんだ……。

厳密にいえば、就活においてパンプスは「強制」されてはいない。リクルートスーツもしかり。
けれど就活って、「受かる」「落ちる」は明確にあるにも関わらず、その基準は曖昧で、「暗黙の了解」や「こうした方がいいと言われている」が大きく影響する。「みんなスーツ着るよね……」「髪は黒の方が印象いいよね……」「先輩もこうだったし……」と思いながら、高いお金を出して“就活スタイル”を身に着けているはず。

私は就活生だったとき、足の悩みを誰にも話さなかった。
外反母趾は自然には治らないし、「パンプス履かなかったせいで落ちるのは嫌だ」とどこかで思ってる以上、嘆いても現状は変わらない。結論「履くしかない」のだから、話したところで意味がないと、思いを閉じ込めていた。

けれど #kutoo の署名ページを見て、自分が解放された気がした。その場ですぐに署名して、facebookで拡散した。
きっと、一緒に就活していた同期にもパンプスに苦しめられた人がいたはずだから。

痛みは必ずしも受け入れなければいけないものではないんだ、しんどかったら「しんどい」と声を上げてもいいんだと思えた。
だから私も、理不尽な苦痛には声を上げていこうと思う。

そしてこの「ミモザの日」に、石川さんに心からの感謝を伝えよう。
大切なことに気づかせてくれて、本当にありがとうございました。

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