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なんですかその会社

この前、大変な虚無に襲われ
体の中で心臓だけが前向きで
あとの場所はみんな「もうよくね。」といって
なにもしたがらない感じがあって
いきなりスマホで調べてやってた
異業種交流会に行ったら
たくさんのサラリーマンが
疲れきった体に
もう一つの頑張りをプラスすることで
一日をかっこよくしめくくりたいんだと
いわんばかりの無理した熱を持って
会場に押し寄せていた。

彼らが欲しいのは人脈であったのか
それとも自己肯定感だったのか
どっちだったのか関心のある私もまた
代表取締役という名刺を
ぎこちない感じで渡し続け
今日という、虚無を追い払う祈祷師になった。

「この会社はどんなことをする会社なんですか?」と
サラリーマンたちはこぞって聞いてきた。
私が、日本中からNEETを集めた社会実験的な会社です。というと
「ほおお」と、「はああ?」をまぜたような反応が返ってくる。

この会社に入ると、ニートが取締役になるんです。というと
「ほおお」よりも「はああ?」が優勢になってくる。

私は小さい頃から嘘をつくなと教わってきた反動でか
自分が詐欺師みたいな役になることに憧れがあったのかもしれない。

サラリーマンのきりっとした顔が、とぼけた顔になってしまう
その一瞬は、たまらなくて
もっと、いろんなものを、見失ってくれと思う。

ニートが、取締役になれるわけがないだろう、という反応でもいいし、
こんな会社が6年も続いてるの?すごい、でもいい。

どっちだって構わない。なぜかというと、
私は日本一努力しないで代表取締役になってしまった
嘘つきな代表だぞ。

怪しい会社がいくつかあって、怪しい商品を見せられ、怪しい人にもあったけど見てみろ、
私より怪しいやつはいない。

私以外の人は、みんな怪しくない、真面目な素晴らしい人たちだ。

謎の快感を得た私は、勢いにのった。

「風変わりな変な人が周りにいたら、ぜひ、ウチに繋げてください」

初めて行った六本木の交流会で
私は他社には絶対に負けない気持ちになった。
それはあきらかに、実体のない、ニセの自信だった。
私の中の、ニセの自信は、会場中を羽ばたいて
気がつけば2時間もそこにいた。
会場は、エアコンが全然ついてないみたいな蒸し風呂状態になっていて
みんなが汗まみれの運動会みたく喋って
もうなにを喋っているのかわからない。
私は、NEETというものに共感をしてくれた、
学生時代に押入れに1年半こもったことがあるおじさんから
熱いエールをもらい続けて
夏バテ状態になって終了した。


ああ、今日という日が終わったなと
ネオンや夜空を見上げながら思って
私は帰った。

私たちには、何が必要なのか。
会社という垣根を超えてみんなで考えることの方が
明日の社会につながるのにと
大量の名刺を抱え
電車に揺られながら思った。


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