ECの顧客満足と顧客ロイヤルティ
数回にわたって私の卒業論文を砕いたものを書いていきます。
まず自己紹介します!
2015年中央大学商学部に入学し、現在4年生です。
2015年の秋(大学1年)にキュレーションメディアのライターを始め、2016年秋〜2019年冬(2〜4年)にかけて(日本一インターンの多い?)ベンチャー企業でインターンをしていました。(UXをかじっていました)
こんな感じでずっとIT業界にいた私ですが、まぁ色々あり内定先は某金融機関です。のちのちFinTechに関わりたいなって思ってます!
ざっくりこんな感じです。今までそこそこに文章は書いてきたつもりですがブログ初めてだし、私個人で発信することはなかったので勉強しながら続けていきたいと思います。
そして、卒論のテーマは「アパレルECサイトの顧客ロイヤルティに関する実証研究」です。
UXをちょっとかじった人間として、ゼミで勉強していたマーケティングとサイト上でのユーザー体験を絡めた論文を書きたくて、このテーマにしました。サイトのUXと顧客ロイヤルティって因果関係あるよねってことを示していきます。
目次はこんな感じになってます↓
簡単にまとめると、顧客満足UPによって、顧客ロイヤルティもUPするよ。(顧客ロイヤルティがあるとたくさんいいことが起こるよ。ということも踏まえています)顧客満足UPはサイト設計とサービス水準によって変化するよっていうことを言っています。
そんなこんなの論文ですが、今回は第1章の問題意識と2章の先行研究の紹介を掲載します。noteでは堅苦しくないように文章を変えています!
第1章 問題意識
ご存知の通りだと思いますが、現在のアパレルEC市場の規模はものすごく上昇しています。数字で見ると、2014年度の1兆2,822億円から2017年度の1兆6,454億円、EC化率(EC取引総額/全商取引総額)は2014年度の6.11%から2017年度の11.54%とハンパない伸び率となってます。
2017年度衣類・服飾雑貨等BtoC-EC市場規模 単位(百万)
(出所)経済産業省2017「商業動態統計」、「電子商取引に関する市場調査」を基に作成
しかし、この現状をふまえ以下のような指摘もあるのです。
「成長を続けるアパレルEC 市場であるが、他方で大量の選択肢が溢れることによる商品選択の困難が生じている。アパレルEC各社の戦略も独自に差別化されているとはいえず、アパレルECサイトの構成も企業によって大きな違いは見られない。」宮本(2016)
このような実態から、それぞれのアパレルECサイトは差別化のため、新たな戦略を打ち出す必要があることがわかります。
アメリカやヨーロッパではEビジネスの研究が実際のビジネスの世界のみならず、学問としても急速に進んでいます。(残念なことに日本ではこの分野の研究はなかなか進んでいません。)Peterson&Wilson(1992)のEビジネスモデルの研究によると、
「電子商取引において顧客基盤を構築するためには、顧客との長期的な関係を築くことが必須であり、顧客のロイヤルティを向上する必要がある」と説いています。
つまりEビジネスにおいても、「顧客満足度の向上によって顧客ロイヤリティも向上する」とゆうことです!
さらにFornell(1992)は
「顧客ロイヤルティの獲得、顧客との好意的かつ長期的な関係性を維持するための最も基本的な手段は、既存顧客の満足度を最大化すること」と述べている。
さらにDay (1969)は顧客ロイヤルティを構築する企業側のメリットとして大きく4つあげています。↓
①低いコストで済む
②購買の増大
③価格に対する敏感度が鈍い
④望ましい口コミをする
という4点を挙げている。Day (1969)
① 低いコストで済む
製品やサービスの内容を熟知しているため、それほど 疑いを抱かずに、トラブルを起こすようなこともほとんどなく、その行動を供給業者との関係を単純化するために順応されている。
② 購買の増大
時間の経過と共に購買量が増す傾向にある。よってさらなる商品やサービスに関して学習する。
③ 価格に対する敏感度が鈍い
価格に対してそれほど敏感ではない傾向にあり、プレミアムを支払う可能性が高くなる。さらに競合へのスイッチングコストの障壁が高くなり、現在使っている商品やサービスの価値を高く評価する。
④ 望ましい口コミをする
有望な潜在顧客になりそうな他の買い手に取引を進めてくれる。
ここまでで顧客ロイヤルティの向上によって企業にとっていいことがいっぱい!ということが理解できました。(まぁ当たり前ですけど)
そこで私の論文では、アパレルECサイトにおける
①顧客ロイヤルティと顧客満足の関係性を示した上で、
②顧客満足の向上要因を明らかにすることを目的とします。(しました)
「顧客ロイヤルティと顧客満足ってなんだ?」という疑問がでてくるので、この辺でしっかり定義づけていきましょう!
2章 先行研究
顧客ロイヤルティに関する先行研究
顧客ロイヤルティの定義に関して、従来から行動的変数としてアプローチするか態度的変数としてアプローチするかが議論されている(らしい)。
行動的変数のアプローチが同じ製品・サービスのリピート購買行動の潜在的態度を無視していると指摘し、
※「(ティッシュとか牛乳とかって)その商品サービスが好きだから買ってるわけではないでしょ」ということ。
態度的変数としてアプローチの面でも製品・サービスに対して好感を持っていれば、必ず同じ製品・サービスを再購買するということはまだ検証されていません。
※「ユニクロが好きでもたまにはGUに浮気するでしょ」ということ。
Dick and Basu(1994)の研究では
①行動面としてのロイヤルティはリピート購買
②態度面としてのロイヤルティは心理的愛着(以降、愛着とする)
と定義し、顧客ロイヤルティを行動面と態度面の両方からアプローチしています。
この手法により、顧客がなぜ同じ製品・サービスを繰り返し購買するかということが解釈できるため、ロイヤルティ研究において幅広く使われています。
行動面、態度面2つの側面から、Dick and Basu(1994)は図表のように4つに分類しています。行動面、態度面両方とも伴っている「真のロイヤルティ」、行動面は高水準だが、態度面が伴わない「偽(見せかけと訳されることもある)のロイヤルティ」、行動面は伴わず、態度面が高水準な「潜在的ロイヤルティ」、両方とも伴わない「ノーロイヤルティ」です。↓
顧客ロイヤルティの分類 (出所) Dick and Basu(1994)を基に作成
真のロイヤルティと偽のロイヤルティの共通点はリピート購買回数が多いところです。
でも偽のロイヤルティの場合は、高いスイッチングコスト(商品やサービスを他と切り替えるめんどさ)を避けるため(※電気やガスとかね)あるいは習慣的に購買しているために同じ製品・サービスを繰り返し購買する傾向があると指摘されています(※ティッシュとか牛乳みたいに)。だから偽のロイヤリティに属する顧客は自身にとってさらに良いと思われる製品サービスに出会った時に容易に離れていってしまう。
よって、それぞれの企業は真のロイヤルティに分類される顧客を増やすことを目的にしています。
顧客満足に関する先行研究
顧客満足は、製品・サービスを経験した上で形成された顧客の感情と強く関連します。ここでは、アパレルECサイトはサービスかつ製品を提供しているという点を踏まえ、Oliverの顧客満足の定義を使います。↓
製品あるいはサービスの何回かの使用経験に基づいて形成される満足。今までの利用経験に基づいた、製品サービスの好き、嫌いなどの感情を含めた顧客の知覚する全体的な総合評価。
Oliver(1997)
これからの流れ
今回は疲れたのでとりあえずここまでにします。この論文で研究するのは、
アパレルECサイトにおける
①顧客ロイヤルティ(行動面&態度面)と顧客満足の関係性を示す。
②顧客満足の向上要因を明らかにする。
この2つです。
①顧客ロイヤルティ(行動面&態度面)と顧客満足の関係性
顧客ロイヤルティと顧客満足の関係性に関しては、まずDick and Basu(1994)の顧客ロイヤルティの4つの分類に基づき相関係数を用いて分析します。(①に関しては次回のせます!)
②顧客満足の向上要因
顧客満足の構成要素に関してはSymanski and Hise(2000)で提唱されたe-Satisfaciton(ECサイトの顧客満足)の指標を用いる。これは重回帰分析を用いて分析しました。(②に関しては第3回目でのせます!)
これからも引き続き読んでいただければ幸いです。
(ハートいただけたら嬉しいです)
ここまでの参考文献
統制局HP 家計調査 総務省統計
https://www.stat.go.jp/info/kenkyu/cpi/pdf/008-2.pdf
商業動態統計 経済産業省
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/index.html
総務省平成27年度版情報通信白書 インターネットショッピングの利用状況
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc112320.html
宮本麻紀子(2016)「アパレルECにおけるタグマーケティングの萌芽」マーケティングジャーナルカンファレンスプロシーディングvol.5。
Day, George S.(1969)“A two-dimensional concept of brand loyalty”, Journal of Advertising Research, Vol.9, pp.29−35.
Fornell, C. (1992)” A National Customer Satisfaction Barometer: The Swedish Experience.” Journal of Marketing, 56, pp.6-21.
Dick, A.S. and Basu, K. (1994)” Customer Loyalty: Toward an Integrated Conceptual Framework. “Journal of the Academy of Marketing Science, 22, pp. 99-113.
Szymanski, D.M. and Hise, R.T. (2000)” E-Satisfaction: An Initial Examination. ”Journal of Retailing“, 76, pp.309-322.
Peterson, R.A., Balasubramanian, S. and Bronnenberg, B.J. (1997) “Exploring the Implications of the Internet for Consumer Marketing. “Journal of the Academy of Marketing Science, 25, pp.329-346.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?