見出し画像

県民限定クーポンを携えて家族旅行に行って、家族限定クーポンを発行しようと奮闘した話。

退職から転職までの間に設けた1ヶ月間の休息も終盤に差し掛かった今日この頃。昨日から私のTwitterは梅雨前線よりも活発で、雨雲を長崎から追い出してしまうくらいに荒れた。



何を隠そう、長崎県民限定の「ふるさと再発見の旅キャンペーン」を使って家族旅行に行ってきたからだ。



普段から仲の良い友だちが見るようなSNSで綴ってしまうと「家族との時間を満喫してきました~!」とか「子どもの成長に感動。可愛い、可愛すぎる…!」なんてキレッキレの文章でマウンティングマウンテンを登ってしまいそうなので、辺境でつらつらと書いていこうと思います…。(なんてことを言いながらタグをばんばん追加するし、TwitterでURLをぺたぺた貼り付けていくことになるんだけど…)

マウンティングマウンテンが気になる人は、こちらを見てほしい…!
(最近のマイブームです…2分くらいなのでぜひ!)


———————————————


「旅行と言えば少なくとも県外!」

このフレーズが脳内にインプットされている我が家では、高速道路を使うにしても、電車や飛行機を使うにしても、旅行期間中の時間を1秒たりとも無駄にしないよう計画を練る。早朝に出陣し、施設やお店の開店時間に討ち入り、達成感そのままに余暇を満喫するのだ。この無計画な時間、そして目的地までの移動時間も含めて楽しい。



しかし、今回の旅行は長崎県内。

いつものように計画を立ててみたものの、何度考えても余暇に次ぐ余暇が生まれる…。



移動距離が短い…!!
つまり朝からゆっくりできる…!!!



迎えた旅行当日。先鋒の私は運転席へ、そして副将の妻と大将の息子を後部座席に配置する布陣を取り、太陽がバッチリ顔を出した午前9時30分に出陣。(これでも長野家にしてはかなり遅い方)

果たしてこの旅の運命やいかに…!



———————————————




目的地へ向かう車内では、旅の前日に空き家を題材とした執筆の仕事をしていた私と、近ごろマイホームへの夢を膨らませている妻との会話がひたすら弾んだ。



マイホームを建てたい。

空き家のリノベもいいかも。

空き家バンクに載ってる土地が安い。

よく見たら実家から近い。

なんか畑やりたくなってきた。

畑シェアしたらみんなで野菜作れそう。

スーパーで買うより絶対おいしいよねぇ…。



え…。

0円の土地、マジで買う…?



いつの間にかマイホームからシェアガーデンの話に行きついてしまった。つい先日、新車を契約してきた私の頭の中はフォレスターのCMで埋め尽くされてしまい、旅が終わったいまも畑にできそうな土地をググっている。

畑、やりたいな…。


そんなこんなで到着した目的地は雲仙市愛野町にある、和泉屋のカステラランド。

カステラランドの製造工程を見学できたり、長崎や雲仙のグルメが味わえるレストランがあるのだが、立ち寄ったことのない気になるスポットだった。

施設内は撮影禁止だったものの、とにかくもうここから見える景色が絶景…。橘湾を綺麗に望める丘に位置しているので、はちみつ入りのソフトクリームを嗜みながら景色も楽しんだ。

画像1

カステラランドについてはこちら。

———————————————




それからランチを求めて、仁田峠を越えようと車を走らせた。峠を登り始めた車内で事件が起こる。息子が空腹を訴えて少しずつグズグズし始めたのだ。

しかし長崎に帰還して20日以上が経っている、私も何の対策も練らずに先鋒を務めているわけではない。



Hey, Siri~!
アンパンマンたいそう流して~!



運転中でも手を使わずにiPhoneを操作し、かつ息子がキャッキャ笑う大好きな曲を流せたら、妻の手も煩わせない。この旅はiPhoneが私の右腕となって大活躍の様相を呈するはずだと、せっせと前日に設定を済ませたiPhoneが反撃の狼煙をあげた。



決まった…!



そう思った矢先、グズグズで我慢していた息子が怒りの咆哮を上げたのだ。

慌ててSiriに「からだ☆ダンダン」「とんとんトマトちゃん」を立て続けにリクエストしたものの、大将の怒りで声はかき消され、やっとこさ聴き取ってもらえたときには峠の山頂でソフトバンクの電波がリタイヤ。結局、妻と息子に楽をさせてあげる作戦は見事に撃ち落とされ、お店に着くまで2人に楽をさせてあげることはできなかった。無念…。



曲がりくねった道を進んで到着したのが、山の寺邑居。

画像2


流しそうめんや旬菜を楽しむことができ、季節の趣を感じられるお店だ。注文している間に離乳食にありついた息子はすっかりご機嫌になり、右や左を向いては他のお客さんに愛想を振りまいている。油断も隙も無い。

画像3

私と妻は、島原名物の手延べそうめんと、

画像4

地野菜のてんぷらに舌鼓。絶品でした。

山の寺邑居については、昨年ボマイエの方に記事を寄稿させていただいているので、そちらもぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

この後、がまだすドームにある「こどもジオパーク」で存分に遊び、満足してチャイルドシートにふんぞり返った大将を連れて、一行は宿泊地を目指した。

こどもジオパークについての情報はこちら。雲仙岳災害記念館であるがまだすドーム、いつかこの自然災害について、息子を連れて勉強に訪れたいと思った。

———————————————




電波の届かない峠を避けるために有家経由で田畑を抜け、山の中腹に沿って車を走らせること1時間少々。この日私たちが選んだ宿は「つたや旅館」だった。

日本一長い足湯で有名なほっとふっと105の向かいにあるこの旅館は、海辺の宿として親しまれ、最上階にある貸切風呂からは橘湾を一望できる。そして、今回の旅で私が一番重要視したのが料理。半年間もの間、1人で子育てに奮闘してくれた妻の大好きな海の幸を食べさせたいとの一心だった。



旅館の外を散歩して、温泉たまごを食べて、橘湾を一望しながら温泉に浸かり、和室の畳でのんびり…。これが我が家の「無計画な時間」の楽しみ方だ。



ちなみに、窓際にあった洗面台がとても好きだった。蛇口には水垢ひとつなく、とても綺麗に保たれていたので、きめ細やかな手入れをされているのだと思う。おかげさまで、朝の洗顔はとても気持ち良いものでした。感謝…。

画像5

ほどなくして、待ちに待った食事の時間がやってきた。子ども用の椅子も事前に準備されていて、息子を見た仲居さんが「早かったかな~」と申し訳なさそうにデザートを早めに持ってきてくださった。たしかに食事が始まってすぐだったけれど、お心遣いがとてもありがたかった。完璧な接客も素晴らしいと思うけれど、人間くさいやり取りができる接客の方が個人的には嬉しい。

画像6

鮃のまわりに豪華なお刺身が並ぶ。このほかにも、蛸のお刺身やすき焼き、天ぷらなど…とてもおいしい、贅沢な料理を用意していただいた。

離乳食を食べさせようとした私に対し「朝食は食べさせてあげてね」と言って妻が制止した。その時は「分かった、朝食は任せて」と言って引き下がった。

それから夕食を食べながら「おいしい、おいしい」と言ってくれる妻の笑顔がとても嬉しかったけれど、部屋に戻ったあとに「急いで食べちゃった」とぽつり。もちろん、嫌味でそんなことを言う妻ではない。さっきのやり取りで「いやいや、今日はだめだよ」と引き下がらなかったことをとても後悔した。

今日一日がとても空回りしている気分になって、自分の不甲斐なさにうんざりして、しきりに「家族に満喫してもらうはずの旅なのに」と思った。



それから部屋でゆっくりしていると、カメラを構えた妻がこっちを見て手招きをしている。家族3人で布団に転がって写真を撮りたいらしい。カメラが好きな息子は、シャッターを構えるとすぐさまカメラ目線になり、とても楽しそうな笑顔をしていた。それにつられた妻も笑って、2人の笑顔を見ている私まで笑顔になった。



———————————————




「後部座席、揺れるから疲れただろうなぁ…」

帰り道、そんなことを思ってケーキ屋さんに立ち寄る。息子にはまだケーキを食べさせられないので、妻が大好きなチーズケーキを1つ、それと2番目に好きなクレープを1つ買って車に乗り込む。

冴えない男が映るルームミラーを覗き込むと、笑顔の天使たちがこっちを見ていた。

画像7

———————————————

▼今回の旅行で立ち寄った場所


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?