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勝ちたいけど定跡を勉強して勝つことに魅力を感じない人へ

以下の記事がモヤモヤ感の解決に近いと思います。

つまりどういうことなのかと言うと、

  1. 対人ゲームには技術と意思決定と研究の三要素がある

  2. 研究は技術に比べてコピーされやすいため、最も価値の高いもの以外価値が低い

  3. デジタル化によって研究の速度が加速した

ので、研究志向のプレイヤーの価値が10~20年前に比べてとても低くなった、つまり研究が勝利に繋がらなくなり、ゲームの研究要素を楽しめる余地も減ってしまった、ということだと思います。特に身体的な技術介入度が低いボードゲームやカードゲームにおいては、研究のゲームから作業のゲームになったと言い換えてもいいかもしれません。

作業のゲームと言うと言葉が強すぎるかもしれませんが、対戦ゲームの近くに身を置いている人ほどこれは肌で感じている部分ではないでしょうか。今ゲームが強い人を棄損する意味合いはまったくありませんが、近年で対戦ゲームの性質が変わったのは疑いようがないと思います。例に挙げられた将棋界でも、AIの発達で数十年前からは考えられないほど定跡の研究が進みました。角換わり腰掛け銀は70手くらいまで定跡があるとかなんとか。昔将棋をたしなんでいた身からすると、ちょっと意味がわかりません。

解決

これには解決の方法があります。それは『Merfight』を遊ぶことです。

この誰も知らない格闘ゲームはその激しい見た目から地球上にプレイヤーが数えるほどしか存在していませんし、当然まともな攻略情報もほとんどありません。自分が何か一つ研究すればそれがそのままゲーム内の価値に繋がります。実際やればやるほど理不尽な行動が見つかるので、研究が勝利に直結します。最高です。これほど研究志向のプレイヤーにとって理想的なゲームはありません。もっとも、人がいなさすぎて普通には対戦できないので、対戦相手犠牲者を用意する必要があります。

『Merfight』から学べることはいくつかあります。人口が極めて少ない対戦ゲームにおいては、自身の研究の価値が高くなるということです。なぜなら他に研究している人間がいないので、自分の研究が最も優れた研究になるからです。

同時に、ランクマッチのないクローズドな環境でゲームを遊ぶ面白さも発見できます。世界が開かれていないからこそ、研究が世界と相対化されないので、自分の研究の価値が維持されやすいことを感じることができます。

これだけ言ってもどうしても『Merfight』がやりたくない、あるいは魚人の顔を見るとアレルギーが出る体質、ということであればやむをえない選択もあります。新作対戦ゲームのリリースから一週間を狙って遊ぶことです。誰もまだ研究していないゲームは、自分の研究に価値があるゲームです。程度に差はあるでしょうが、どんな対戦ゲームでも疑似的な『Merfight』として遊ぶことができます。

余談

これは余計な話かもしれませんが、この新作ゲームを渡り歩く生き方はなんとなく息苦しさを感じるかもしれません。というのも、これは武士道精神の名残なのかわかりませんが、一つのこと、一つの大作ゲームを追求している人はかっこよく見えるし、言うことにも説得力があるように見える。逆に新作ゲームやマイナーなゲームを渡り歩くというのは、それとはまったく逆の立場を取ります。

『井の中の蛙大海を知らず』、『お山の大将』、そういう狭い世界で価値を見出すことを蔑むことわざや慣用句すらあり、よく我々が侮蔑される時に使われます。僕からすればすべてがネットワークで繋がってしまった世界で大将になれる奴なんかそっちが外れ値なんだから、『お山の大将』で十分凄いし何が悪いのか、と最近思っています。

新作ゲームをいちいち買ってさっさと退場するのはゲームメーカーにとっては本来良いお客さんでしかないはずで、胸を張っていいはずなのにも関わらず、何故か、ネガティブなイメージでとられてしまうことが多いし、自分でもついつい「一番になれない敗北者」的態度をとってしまう。

また、人の少ないゲームほど自分の研究の価値は高くなりますが、人が少ないゲームのプレイヤーは、例えばYoutubeやTwitchといった視聴者数がなんぼの世界でも価値が低くなりがちです。何故ならいない人間は集められず、人間を集められないと広告ありきの世界では評価されないからです。

新作対戦ゲームを渡り歩くというのは新たな研究の創出という点では一貫しているわけで、飽きっぽくもないしむしろかっこいいのではないかと思いますが、なんとなく世間の評価はついてこないので、なんとなく悲しい思いになりがちで、なんとなく卑屈になっていきがちです。これは僕の体験談です。

そういうところにもモヤモヤ感の一因はあるんじゃないかなー、とか思いました。参考になれば幸いです。


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