【2023年12月25日】クリスマスに寄せる音楽余話
映画「ホーム・アローン」にも使われたクリスマスソングの名曲。
原曲はウクライナの旧い歌らしい。
ウクライナ系ユダヤ人の大音楽家レナード・バーンスタイン(1918-1990)の公式アカウントが昨年掲載した。
1989年12月25日、旧東ベルリンのシャウシュピールハウスにおけるライヴ。
ベルリンの壁崩壊の年のクリスマス、東西両陣営の音楽家が晩年のバーンスタインのもとに集った。
肉厚のサウンドで雄々しく進む。しばしば粗さを云々されるが往年のライヴ録音でこれより瑕疵の多いものはたくさんある。
第3楽章の寂寥感は異彩。
独唱陣ではテノールのケーニヒが性格俳優的歌唱。
下振りを務めたクラウス・ぺーター・フロールが読響客演時のインタビューで語ったところによれば、バーンスタインからファクシミリを確認するように指示されたそうだ。
第4楽章のいわゆる「歓喜の歌」の歌詞中のfreudeをfreiheitに変えている。
バーンスタインはシラーが草稿でfreudeをfreiheitにしていたという挿話に言及し、おそらく作り話と断った上で「今こそこの歌詞がふさわしいと判断したから」と変更理由を説明した。
以前NHKは音楽番組で何の注釈もなく前述のシラーに関する挿話を取り上げた。バーンスタインとの知性の差に愕然とする。
2019年秋発売の30周年記念盤はリマスターされ、第4楽章のトラック割が細かくなった。
「世界のあらゆる地で 子供たちの声が聞こえる 全てを正しくと神に求めている声が 平和を願う今宵の祈りの中で」
「クリスマスの子供たちのために 戦いを止めなければならない
クリスマスの子供たちのために 戦争を平和に変えよう」
「どんな涙も笑顔に変わる
ほんの一時でも 愛の心を持つことができれば 怒りを忘れることができれば
苦しみのうちに世を去った人も みな希望の子どもとしてよみがえる
この世が上下さかさまになったなら それを元に戻すことができる」
『クリスマスの子供たち(Children of christmas)』(プラシド・ドミンゴJr.)より
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