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『マッシュル』2クール途中まで見た時点での「魔法とは何ぞや」考察(雑)

はじめに

原作未履修です。
原作未履修です!!
(大事なことなので)

友人に勧められて、「ちょうど今見るものないしな〜」と『マッシュル』アニメを見始めました。
いま2クール目の途中でこれからマカロンと戦います。
マカロン、子安かよ。
とりあえず今回の最大の敵なことだけはよくわかった。

んで、1クールの1話目から、
「いや、ハリポタ」
とずっとツッコミ続けていたのと、『マッシュル』の世界線における「魔法」のあり方にいろいろ考えることがありまして、最近ぐるぐると考えていたことを言語化しようと思います。

その前に、これだけ言っておきますね。

ほうきに!
その乗り方で!
乗るな!!
どう考えても痛いじゃん!!

最適解として、「鞍をつかう」または「束ねたところに乗る」にしてくれ。
痛くないんだったらほうきの上で浮いてるってことだから、もうほうきはいらない。

もうひとつ。

第1話の大変雑な(失礼)世界の描写を見ていてどうしても思ってしまうんだけど、もともとこの世界、
「魔法を使えない人間が大多数の世界」
でしたよね?
そうでなきゃ
「ティーポット」だの「ほうき」だの、「手で持つこと」が前提とされている道具があんなにあるわけがない。
マッシュが言っているように、「手でやればいいのに」の一言に尽きる。

これが実はめちゃくちゃ伏線だったりしたら面白いな、と思う一方で、「作者はそこまで考えてないよ」も全然ありだとおもう。
ギャグ漫画なので。

考察対象の「魔法」

「魔法」が登場する作品はよくあるが、今回は「特性があれば習得可能な技術」として存在する世界だけを考察の対象とします。
そうしないと、例えば大御所でいえば『ナルニア』に出てくる魔法とか、けっこうどうしようもなくなるからです。
ナルニアをはじめ、昔から英国にある児童文学に出てくる「魔法」は、ジャンルとしては「エブリデイ・マジック(日常的な魔法)」と呼ばれるもので、今回の「技術としての魔法」とは性質が異なります。

この魔法はもともと「妖精物語」(日本でいうところのお伽話)を元にしているもので、これをぎりぎり「技術」の域まで近づけたのが『指輪物語』かなと思っています。
とりあえずガンダルフの使う「魔法」は今回の考察対象の「魔法」とみなします。

さて、わたしがこれまで読んだ本で、かつきちんと言語化できる程度まで記憶にある作品として今回挙げるのは、以下のとおり。
『スレイヤーズ』シリーズ
『指輪物語』
『ゲド戦記』シリーズ
『ハリー・ポッター』シリーズ
以上の4作です。

『ハリー・ポッター』と『マッシュル』

『マッシュル』はあからさまにハリポタパロをしているので、まあ全体的にハリポタっぽいものを我々は見せつけられます。
ところどころ◯◯だろ、とか思ったりしなくもないけどとりあえずメインはハリポタなので、ハリポタベースで考えます。

『ハリー・ポッター』と『マッシュル』の魔法に共通しているのは、「魔法技術は学校で習うことができる」という点です。
これには、「学年」(進級していずれ卒業できる)、「科目」(分野が確立しており全てが義務教育である)あたりが共通項のように見えます。
実際のところ、『マッシュル』では「薬草学」という科目があることと、様子のおかしいマンドラゴラが出てきたことから、そういうタイプの薬草があることもわかります。
また、「空を飛ぶ」には「ほうき」を使うことも共通していて、なんなら一番はじめの練習、ほうきをうかすところまでがハリポタのパクリです。

でもさ、授業風景このくらいなんだよね。

このあと、クィディッチみたいな雑なラグビーみたいのがあり、それで寮対抗になっていることがわかり、それから「なんか嫌な寮」と共同の実技授業があり、そこでマッシュがなんだかんだ友達を得るんですがその辺はとりあえずよろしい。

問題は、「別に授業風景出てきてないけど、”基本魔法”と”固有魔法”があって”固有魔法”はどうやら自力で習得するっぽい」ことです。
ちょっと待て。
マッシュは基本魔法の授業風景すら出ていないんだが、どうやって誤魔化した。
そしてなんで全部「攻撃」用魔法なんだ。
お前らはどこぞのどらまたか。

はい、ここから次の考察に参りましょう。

『スレイヤーズ』と『マッシュル』

わたしが現代作品の「魔法」を考えるときに、ベースとするのが『スレイヤーズ』です。
これが初めは多少の設定揺らぎがあるものの、実に緻密な「魔法とは」という構造を持っているんですよ。
んで、「スレイヤーズ」界における魔法とは:

・術者の魔力量
・術者の魔道知識
・術者の魔道練度
・術者の魔道適性

あたりが基準となります。
魔力を持っていても知識がなければ使えず、また知識はあっても魔力量が足りないか、練度/適性がなければ使えない、というのがスレイヤーズ界の魔法です。
この世界で5本の指に入るであろう魔力量を誇る主人公リナ=インバースは、黒魔術最強呪文の連発は余裕、精霊魔法も相当に使いこなせる技術を持っています。
が、リナより魔力量が劣るであろうアメリアが使える精霊魔術最強呪文はリナには使えません。
「イメージコントロールができない」というのが、リナ自身の言う理由です。
ついでに、精霊魔法のうち白魔術に属する最高回復呪文も、リナは使えません。
これは「適性」と「練度」の問題で、リナが黒魔法と精霊魔法のうちでも特に攻撃系の呪文に特化しているため、それ以外の練度や知識を高める余裕がなかった、と見ることができます。

んでだな。
『マッシュル』における魔法は、

・術者の魔力量
・術者の魔法練度

は基準としてあるっぽいんだけど、「魔道知識」が実質出てこないのよね。
『スレイヤーズ』魔法は、前提として「力の源となる何か大きな力(魔族、精霊)」があり、その力を借りるための手続きとして「呪文」を唱え、「力あることば(技名)」をいうことで発動する、という手順があります。
『マッシュル』の方はというと、とりあえず「技名」は確認できるのだけど、なんというか、魔法のバリエーション、少なくね?
というか、一人ひとつの「特性」があり、それ以外の魔法は使えないというイメージ。
これはあれかな、『ONE PEICE』の悪魔の実の能力に近いイメージ。
つまり自分の力を分析していかにバリエーションを増やすか、ということだと思うんだけど、現時点ほとんどの魔法が「攻撃」に特化していることが問題なんだが。
だって練習必要でしょ?
どこでするの?
学校のグラウンド?
体育館??
みんなに技がバレちゃうじゃん???

リナみたいに、「呪文を試したら入り江をいっこ死の海に変えた」みたいなちゃんとしたやらかしエピソードが欲しい。

これに関してはハリポタもなんだけど、君たちその魔法は「自分の魔力だけ」なの?
それとも「何か」の力を借りてるの???
ねえどうなの???

『指輪物語』と『マッシュル』

「何か」の力を借りているのか、という点について、『マッシュル』では「神」という概念が存在します。
「魔法は神に与えられた力である」
「神に選ばれたものが神覚者となる」
という感じに。

では「力の源」が神なのか、というとそうではないらしくて、やっぱりいわゆる「個性」あるいは「特性」という感じがするんだよな。
まれに「天才」が生まれて、そういう人が「神覚者」になるんでしょう。
ちなみに、一芸に秀でる人はえてして他の方面で人間終わってる説があるので、多分いまの神覚者たち全員頭のネジが外れてるし、神覚者を目指していなかったマカロンのほうが常識人まである。

それはともかく。

「神」という概念が加わると、一応『指輪物語』に触れるべきかなと思ったり思わなかったりするんですよ。
『指輪物語』に登場する「魔法使」は、「魔法が使える人間」ではなく「魔法使」という種族です。
対バルログ戦で魔法使ガンダルフは「わしはアノールの焰の使い手だ」(うろおぼえ)と言うシーンがありますが、これは「神々」のうちのひとりの力を行使している、ということで、明確に「神の力」を使う種族だということになっています。

とはいえ、ガンダルフがわかりやすく「神の力」を使うのはここだけで、他の場面ではいわゆる「技名のついた魔法」は使いません。

んで『マッシュル』に戻りますが、この世界にいわゆるキリスト教的な「神」概念はなさそうなんだよね。
もっと日本的な、ふわっとした「神」という超常的で絶対的な力、みたいな。
それなのに、魔法が使えない者を「神に選ばれない」として排除しようとするのが、どうも過激派原理主義なんだよ……
はじめにも書いたけど、これ有史以前に絶対何かあったやつじゃん。

そんなわけで「神」概念の違い。

ちなみに『ハリポタ』は現代っ子なのでめちゃくちゃ無神論者な気がする。
『スレイヤーズ』は「魔王がいるなら神もいるっしょ」というノリなので、神様もいます。
が、第2部時点では神様の力を使った魔法は使えない、ということになっています。

そして『指輪物語』までくると考えなければいけないのが『ゲド戦記』なんですよ。

『ゲド戦記』と『マッシュル』、その他の魔法使いたち

正直ね、『ゲド戦記』と『マッシュル』に共通項があるかと言ったらない気がしています。
相違点と言っても、もうすでに話し尽くした気がする。

とはいえ一応似ているところはあります。
『ゲド戦記』にも、一応「魔法を学ぶ場所」がある、という点。
これは『スレイヤーズ』もそうなのだけど、ちゃんと施設としては「魔法を学ぶ場所」はある。
ただし、教えられるのは初歩も初歩の「考え方」と「基礎知識」だけで、いわば小学校低学年〜高学年程度。
それ以上は「自力で学ぶ」のが魔法使いです。
この辺、「学習制度がどの程度整っているか」、ランキングをつけると、

学校制度:「ハリポタ」(国際ネットワークあり)
研修所:「スレイヤーズ」(世界ネットワークあり)
寺子屋:「ゲド戦記」
なし:「指輪物語」

と、おおざっぱにこうなります(中身はともかく)。

そして、『指輪物語』『ゲド戦記』に顕著なのは、魔法使いはレベルが上がるほどに(世界の真理に近づくほどに)、「魔法を使わなくなる」という現象がおきるのです。

『ゲド戦記』では「真の名前」「真の姿」を知ることが魔法を使うことだとされているため、むやみに魔法を使うと「この世の調和、理」を崩してしまう、ということを知るようになる。
だから、魔法使いとして実力を積むのと反比例して、魔法を使わなくなっていきます。
この辺りは『指輪物語』もそうかな。
ガンダルフはできるだけ魔法を使おうとしない。
そうすることによって、相手に自分の存在を曝け出してしまうからです。
『スレイヤーズ』のリナですら、「金色の魔王」の正体を知ってからは、その力を使った最強呪文を使わなくなります。
世界が滅びるので。

と、ここまで高尚(?)な「魔法とは」議論を繰り広げましたが、基本『スレイヤーズ』にも『ハリポタ』にもそういった性質はあまりないなと思います。
ただ、どちらも「賢者の石」という錬金術最強アイテムを作中に持ってくるあたり、やはり「道を極めた人」は「賢者である」という一定の理解があるのでしょう。
(とりあえず一番有名なアイテムだから、とかいうメタ知識は置いておく。)
んで、この「賢者の石」なのだが。

『マッシュル』と賢者の石

『ハリポタ』『スレイヤーズ』には「賢者の石」が登場しますが、扱いがかなり違います。
『ハリポタ』では元々の由来通り、不老不死の薬の材料になり、石を金に変える力があるとされています。
『スレイヤーズ』では「絶大なる魔力を得る」だったかな?
いわゆる錬金術の「賢者の石」とは設定がかわっています。

そして、いずれにしても「賢者の石」は、
”じぶんが かんがえる さいきょうの あいてむ”
である、という点で一致しています。

この流れを無理やり当てはめると、『指輪物語』の「滅びの指輪」はダークサイド「賢者の石」になるわけです。
持ち主の器量に合わせて、「最強の自分」になる夢を見させるという、魔法のアイテムなので。

『ゲド戦記』では……
うーん、なかったような気がするんだよなぁ。

以上が「賢者の石」に関する雑な考察ですが、ハリポタを堂々とパロっている『マッシュル』で「賢者の石」が出ないわけはない、と思うのですよ。
(何度も言いますが原作未履修です。)
いまアニメ2クール目で、「神覚者選抜試験」でしょ?
このあと「杖」の人たちと戦うか、共闘して悪の組織と戦うんでしょ?
悪の組織が狙っているだか持っているのが、「賢者の石」に相当するアイテムなんだろうな、と。

ここで考察が大外れしていたらとりあえず笑ってやってください。
でも『マッシュル』はきちんと王道の手順を踏んでいく作品なので、出ると思うんですよねぇ、相当する最強アイテムが。

おわりに

以上がアニメ『マッシュル』2クール目を途中まで見た人間がこれまでの読書歴をベースにこねくり回した、「魔法とは」考察です。
『マッシュル』の魔法は「悪魔の実」のほうが性質として近くね?
と思いつつ、それでは能力を持たないマッシュの立場はどうなのか、というのが今後の展開ですよねぇ。

これはほんと今思いついたんですが、『ヒロアカ』の主人公も、「誰もが個性を持つ世界で個性を持たない」人なんですよね(ヒロアカミリしらです)。
マッシュの「誰もが魔法を使える世界で魔法を使えない」人、というのと似ている気がするんですが。
最近のはやりはあれなんですかね、プラスではなく「マイナス方面に特出した主人公」が流行っているんですかね。
ある種の「アンチ・ヒーロー」ものだな。

それにしても、「魔法が使えない者」が視覚的に認知でき、「魔法が使えない者」は生まれたときに排除=◯す、という法律?がある世界、どう考えてもやばい。
現実に引き寄せると、身体障害者(視覚的に認知できる)は生まれたら◯せ、と言ってるわけでしょ。
やばくない?そんな世界。
そんな前世紀の負の遺産を前面に出してくるとは……
ギャグ漫画だから成立するあれだね。
ギャグ漫画でよかった。

逆にこの辺が今後深掘りされると、一気にどシリアス鬱展開になりそうなんですが。

とりあえずマッシュ君が脳筋のいい子なのが幸いですね。
脳筋が無双するのをキャッキャと楽しむはずの作品で、ここまで考え込んでしまいました。
こわやこわや。

とりあえず2クール目は最後まで見るとして、原作はなぁ…… どうしようかな。
今のところわたしの癖にぶっささるキャラがいないので、そういう人が出てきたら考えます。

やめて、出てこないで。
これ以上新しいコンテンツを追う元気がないの。

アニメ3クール目、楽しみにしてます。

おしまい。

蛇足:約6000字とか書いてるの、普通に狂っててすいませんでした。


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