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アホウドリの真理子さんに聞いてみた3/4「アホウドリの企画が生まれる時」

こんにちは。「ちょど研」研究員の巣内です。
前回はアホウドリとユーザーの距離感について、ちょうどいい関係や、実際に試している施策などを通して色々と探っていきました。

ここからは、ユニークな施策の多いアホウドリの企画づくりのお話。どんな発想やプロセスで企画づくりをしているのか、具体例をもとに探っていきたいと思います。

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アホウドリのお弁当の企画の仕方

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巣内 アホウドリのお弁当って、美味しいことはもちろん、見た目もの美しさや幸福感もありますよね。テレビ番組「セブンルール」に真理子さんが出演された時も、「弁当箱をワンルームに見立てる」とおっしゃっていて、発想もユニークだなと思うのですが、お弁当やフードメニューを企画する時に、気をつけていることはありますか?

大石 なるべく、その場の思いつきや、ムードのままいけるものを活かす、ということですね。この前、「chacechace」さんっていうお菓子職人の方に研修をしてもらったんですけど、お菓子って、小麦粉とバターと砂糖に「空気をまとわせて」食べさせてるんだなと思ったんです。ということは、空気が良くないと美味しくないとだろうなって。料理の仕事も、同じようにその場の空気とか、ムードを大事にしてます(笑)。

巣内 昔、アホウドリが南池袋公園のイベントでポップアップのお店を出した時に、一日でスタッフのエプロンを作っていたことがありましたよね? 真理子さんは、思いつきからアウトプットするまでのスピードがいつも早いですよね。「これいいじゃん」と思ったことを、一気に形にする力があるというか。

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(※南池袋公演のイベントで手作りのエプロンを着用する真理子さん)

大石 ムードとフィジカルを大事にしてますね。思ったとおりに、身体を動かす。身体が動かなかったら、それはやらない方がいい!

巣内 ムードとか空気で動くというのは、僕も参考にさせてもらいたいです…。結構、考え込んでしまう方なので。

大石 誰かにアイデアを話した時に、相手が「それ面白いですね!」と言ってくれたとか、そういう反応があると身体が動きますね。それでいうと、私は自分ひとりで独走することってあんまりなくて、今いるスタッフの反応を大事にしてますね。「どう思う?」と聞いてみて、「面白そう」って言ってもらえたら乗り越えられる気がするんですけど、「それってどうかな」という空気だったら、その時点でやめておくことが多いかも。

巣内 相談できる人がたくさんいて、身体が動くきっかけが生まれるのも、チームのいいところですね。アホウドリの企画が生まれる場では、ムードが大事なんですね。

大石 大事、大事。ムードが良ければ、たとえ厳しい局面にいても不思議とアイデアが出るんですよね。でもそこが悪いと、全部が悪い方向にしか考えられなくて、「もうこんなのだめだ!」って抜け出せなくなる。

アホウドリの社歌が生まれた背景

_巣内 3月にアホウドリの社歌がリリースされましたが、僕は労働歌って、現場にリズムをつくる上でも機能するものだなと思っています。アホウドリの社歌はゆったりとしたおしゃれなトーンですが、「社歌」という言い方が、昭和の企業のようで面白いなと感じました。社歌が生まれた背景を教えてくれますか?

大石 私が、社歌がほしかったんです。やっぱりそれも、ムードを大事にしたいなと思ったからで。ムードが悪い時に、「流せば何とかなる!」という存在として。社歌を歌ったりするのって、実はめっちゃ面白いんじゃないかなと前から思っていて。小学校時代の友だちに相談したら、「知り合いに社歌作れる人いるよ。紹介するわ」って言われて、すぐに動いたんです。お会いして、アホウドリの話をして、そうしたら「できました!」って。

巣内 スピーディーですね! やりたいことを言葉にして人に伝えるのは、大事ですね。

大石 でもその時に、友だちに「社歌なんてダサいからやめときなよ」って言われたら、多分やってなかったと思うんです。形になったのは、その場の反応とムードが良かったからですね。今度は、社歌のPVを作りたいんです。

巣内 なんかね、真理子さんはやっぱり昭和っぽいですよね。人との繋がり方も。令和が今コロナでこんな状況だからこそ、余計にそう感じるというか。これから時代がどうなってくかわからないですけど。

大石 SFみたいですよね、今。何かが一度壊れたら、また新しく何かが生まれるんでしょうけど。

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巣内 コロナでみんなが分断されてますからね。昭和の最初も、こんな感じだったのかなーと思ったりしています。最近、映画『風立ちぬ』の予告動画をYouTubeで観たんですけど、あれは大正から昭和にかけての物語なんですよね。貧乏と不景気と病と戦争と…って、今は戦争はないけど、あとは全部あるなと思いました。

大石 シンガポールの動画とかを観たら、東京って貧乏なんだなと思いますよね。だから、私、「お弁当も海外進出しないと!」と思ってるんです。

巣内 お弁当も海外に! どうやってですか?

大石 レイチェル・クーという、パリ在中の料理研究家の『レイチェルのパリの小さなキッチン』という人気シリーズがあるんです。あの番組の、お弁当版みたいなのがどうかなって。お弁当作りを通して家族の悩みを解決します、みたいな内容なんですけど。

巣内 海外のリアリティ番組って、家族の悩みを解決していくようなシリーズが人気ありますよね。

大石 それを、お弁当で解決したらいいんじゃない?って思うんです。

巣内 『美味しんぼ』もそうですもんね。料理で解決してくという。そういうの、Netflixとかで観たいですね。ぜひ、Netflixさんにお声がけいただきたいですね!

大石 こんまり(片付けコンサルタントの近藤麻理恵)的なやつ、頑張りたいですよ!


駄菓子屋構想

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巣内 最近、真理子さんはSNSで「駄菓子屋をやりたい」とコメントされていましたよね。「ケータリング」「社食」「お弁当販売」の後に、「駄菓子屋」というのが面白いなと思いました。もともとアホウドリって、カフェが出発だったのもあって、懐かしい気持ちにもなったのと、あとは人が集まって場が生まれていく感じが、アホウドリっぽいなと思いました。

大石 アホウドリの昔の良かったところって、近所の小学生が立ち寄っていたことなんですよね。だから、私がもうちょっと事業をちゃんとできて、稼げるようになったら、セントラルキッチンを別の場所に移して、今の建物を駄菓子屋にしちゃえばいいんじゃないの?って思うんです(笑)。

巣内 似合いそうですよね、駄菓子屋の店主。

大石 駄菓子屋そのものでは儲からないと思うから、家賃を何か他のものでペイしないとなぁ。昔、アホウドリに小学生が来てた頃、ジュースを出して一緒にしゃべったりして、すごく楽しかったんですよね。でも、今はそういう機会がなくなっちゃって。今の子どもたちが何を考えてるか、私はすごく知りたいんですよね。そこから見えることもいろいろあって、子どもたちと話すの結構好きなんです。

巣内 駄菓子を介して、アホウドリに子どもたちを呼びたいという思いもあるんですね。

大石 はい。でも、駄菓子だけだと子どもしか来ないから、大人のお客さまにも来てもらうために、その隙間に焼き菓子とかも詰めて、「美味しいフィナンシェも焼いておきました!」みたいなお店にしたい。そんな妄想をしてます。ただ、駄菓子だと、身体にいいとか、健康であるとか、そういうアホウドリのコンセプトからずれてしまう、というのが難点ですけど。

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巣内 お菓子は別腹ということで(笑)。先程の、産後の女性を食でケアしていく、みたいな話でいうと、お菓子とかも参入しやすいかもしれないですね。賞味期限が長いから。あとは、配送オペレーションをどう考えるかと、どこに備蓄しておくかですよね。

大石 あとは、共感してくれるスタッフをどう見つけるか、とかね。

巣内 アホウドリのお菓子部門、面白そうですねー。

大石 ふふふ(笑)。でも、うちのスタッフは今みんな、海外に向けて何かするのが面白そうだと思ってるから。動画コンテンツとか、料理教室とか。あとは、スタッフのキャラクターをもっと認知させたいんですよね。料理上手なだけじゃなくて、実はめっちゃ面白いキャラクターがたくさんいるんですよ! だから紹介したいんです。

巣内 面白そうな方が多いですよね、アホウドリのスタッフさん。働いてる風景を撮るだけでも、コンテンツになるかもしれません。

大石 見せたいですよ、職場の風景! 面白いだけじゃなくて、スタッフみんなの性格もすごくいいんです。

巣内 先程の、社食のエピソードでも思いました。北野武の映画に出てくる主人公の妻とか妹って、主人公の良心を表していると聞いたことがあるんですけど、社食のスタッフが悩んでいた「どうやったら食べてくれるのかな」というエピソードが、アホウドリの良心を表してるのかなと思いました。今日はいいお話をたくさん聞かせていただいて、ありがとうございました!

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