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ものづくり人材の採用①〜シルバー人材について〜

こんにちは!松本です。

今回のテーマはズバリ!
「ものづくり人材の採用」です。
こちら、全4回のシリーズものとなっております!

私たちは普段、製造業の企業様に向けて技術/製造系の人材(以下、ものづくり人材)をご紹介しております。
少子化や理系人材の減少によって、人手不足が深刻化している製造業。そんな中でも、最近企業様からよく聞くものづくり人材の採用方法として、以下の4点が挙げられます。

①シルバー人材を採用している
②文系人材に技術を教え込んでものづくり人材に育て上げる
③学校から直接紹介してもらう(産学提携)
④外国人を採用する

今回は「①シルバー人材を採用している」という点について、導入のポイントや事例を含めてご説明いたします。
非製造業の企業様でも、何かヒントになるような記事になると嬉しいです!

そもそも「シルバー人材」とは?

「シルバー人材の採用」とは、65歳~75歳の定年退職したシニア世代の採用を指します。厚生労働省によると、各事業所には以下の2点が望まれています。

1.65歳以降についても、年齢にかかわらず意欲と能力に応じていつまでも働き続けられる制度の導入
2.高年齢者の働きやすい職場づくり

厚生労働省ホームページ「高年齢者の雇用」
https://onl.la/4qNXQVj

シルバー人材に頼らざるを得ない現状

シルバー人材に頼らざるを得ない社会になっているのは、本記事を読んでいるみなさんも肌で感じられているのではないでしょうか。

帝国データバンクの「人手不足倒産の動向調査」によれば、2019年には人手不足倒産件数が185件に上り、4年連続で最高値を更新した。前年比20%増と留まることを知らない。
同機関の「人手不足に対する企業の動向調査(2019年10月)」によると、2019年時点で正社員不足を感じている企業は全体の50%に達し、中でも情報サービス業と建設業では7割を超えた。

THE OWNER「高齢者雇用のメリットは?課題や役立つ助成金、成功事例も解説」
https://the-owner.jp/archives/3413

人材不足が顕著になってきている今、シルバー人材の採用を改めて真剣に取り組んでいく必要があるのではないかと思います。

実際にどれだけの企業が制度化できているのか


厚生労働省が発表した調査結果によると、シルバー人材採用の現状は次のようになっています。

31人以上規模企業における常用労働者数(約3,234万人)のうち、60歳以上の常用労働者数は約409万人で12.7%を占めている。
年齢階級別に見ると、60~64歳が約224万人、65~69歳が約117万人、70歳以上が約68万人となっている。

Ⅰ 65歳までの高年齢者雇用確保措置のある企業の状況

① 65歳までの雇用確保措置のある企業は99.9%(対前年0.1ポイント増) 
② 65歳定年企業は18.4%(対前年1.2ポイント増) 

Ⅱ 66歳以上働ける企業の状況
① 66歳以上働ける制度のある企業は33.4%(対前年2.6ポイント増) 
② 70歳以上働ける制度のある企業は31.5%(対前年2.6ポイント増) 
③ 定年制廃止企業は2.7%(変動なし)

厚生労働省プレスリリース「令和2年「高年齢者の雇用状況」集計結果」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15880.html

人口の約30%を65歳以上が占め、その割合は世界第1位です。これからも日本の高齢化が進んでいく上で、高齢者の活用は確実に選択肢に入ってくるはずです。

シルバー人材採用のポイント

【シルバー人材採用のメリット】


・人材不足の改善につながる
人材不足が叫ばれている今、まずシルバー人材の採用によってカバーできる問題点は「人材不足の改善」なのではないでしょうか。

・その人の経験値や人脈を共有することができる
経験と知恵を積んだ人々は企業や産業の大きな遺産になり得ます。そんな人々を雇用し続けることは企業にとって大きなメリットになるでしょう。

・助成金や税制の優遇がある
シルバー人材を採用することによって得られる助成金や税制の優遇措置もあります。これについては、また別の機会に記事化します!

【シルバー人材採用の注意点】


・体力や健康面での不安
シルバー人材の方々は、健康面での不安がつきものです。過重労働をさせないというような業務内容の調整や、会社のバリアフリー化に取り組むといったような対策が必要でしょう。

・給与や評価制度の見直し
上記のような業務調整が必要になると、給与や評価精度の見直しが必然的になるでしょう。また勤務年数も限られることがあるため、日本の「年功序列」のように長く働けば評価され給与も上がるということが難しくなるのではないでしょうか。ただ人員不足のために働いてもらうのではなく、活躍してもらうことが重要であるため、これらの見直しが必要になってきます。

製造業における導入事例

 東京都八王子市にある、30〜99名規模の製造業の企業様の例です。

・65歳までの継続雇用制度
・本人が希望し健康面でも支障がなく、会社が必要とすれば6ヵ月ごとの契約を更新、65歳を超える雇用も実施
・処遇は契約社員、同一の職場で同職務、賃金は公的給付などの受給にも配慮し、定年到達時点の賃金の65%の水準
・賞与は年間2回支給、加えて直近2年間は決算賞与も支給

契約社員(70代前半、旋盤加工)
ーーー現在の仕事とその満足度は
52年間、旋盤加工に携わってきた。職場では、若い人のバックアップや工具研磨、測定機器などの周辺整備、機械修理などへの対応や相談に応じている。技術は、旋盤の命とされる「刃物」をつくることから学び取り組んできたという経験、自負がある。それを今後も積極的に生かしたい。また、研修なども担当し、自分としては、まだ伝えるべきノウハウがあると思っていて、技術継承や熟練化に力を注ぎたいと考えている。 自動車部品の試作品開発という他にはない「ものづくり」の面白さがあることや周囲から、自分たちができない仕事をやり遂げてくれていると評価されていること、これまで一つの会社に「働き続けられたこと」に感謝したい。

東京都産業労働局「『現場をのぞいてみたら未来が見えた』”高年齢者雇用本格化の中で”」
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/sodan/chousa/kourei_jirei.pdf

まとめ

今回は「シルバー人材の採用」についてご説明しました。
少子化がますます加速していく中、身近にいる人で人材不足を解決し、その人たちが持っている知恵や経験をフル活用することで企業のさらなる発展を狙うことが可能になります。

私は普段、シルバー人材の方々ではなく、外国人の方々をご紹介するという別のアプローチで製造業の企業様のお手伝いをしておりますが、企業様それぞれがそれぞれに合った方法で、今後も発展していくことができればいいなと思います。

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