【外資系うさぎの雑感】その7.鬼滅の刃で学ぶPMO
どうも、外資系うさぎのちょこさんです。
最近、ちょこさんが担当している案件で立て続けに中途未経験アナリスト的な方がアサインされるのがマイブームです。
ちょこさん案件スターターキットとして、ちょこさんnote一式のURLをお伝えしたいのはやまやまなのですが、やっぱり身バレは怖いのですんでのところで思いとどまっています。
人生って難しいですね。ちょこさんうさぎだけど。
というわけでこれを読んでいる若手の各位、とりあえず議事録の書き方だけしっかり抑えてから案件にアサインされると現場で任せてもらえるお仕事がひとつできるので、生存確率があがります。
たぶん我流で鍛えて鬼と戦うより高確率で生き残れると思うので、これを読んでおきましょう。
さて、ちょこさんときおりTwitterでPMOについて呟くんですけど、物珍しさからなのかそこそこ奇異の目を向けていただけるんですよね。
というわけで、今日はちょっとそのPMOとやらについて語っていきたいと思います。
なおこのシリーズ、基本的に全文無料でお届けしますが、もしいいねと思っていただけましたら、おやつのチョコレート代としてカンパをいただけるととても嬉しいです。
あとちょこさん最近、どうやら鬼滅の刃を題材にビジネスnoteを書くと読んでもらいやすいようだと学習したので、今回も鬼滅人気に全力であやかります。
◆いきなり結論ですが、鬼殺隊におけるPMOはこの人(?)たち
いきなり、「え、何?」って感じになってしまった各位もいるかもしれませんが、このnoteを最後まで読んでいただければなんとなくPMOってこういうものってわかるようになると思います。
あー、そうそう、そうだよね、って思った玄人の各位もせっかくなのでゆっくりしていっていただけると嬉しいです。
このあたりの方々が何者かよく分からない各位、ぜひ一度原作を履修してみてください。
Amazonプライムでも全話見放題になってます。
というわけで、本格的な解説に移る前にまずは基礎知識編をお送りします。
何事も基礎が大事です。
きっと鱗滝さんだってそう言うはずです。
◆基礎知識編〜そもそもPMOって?〜
PMOの定義とその役割
何事もまずは言葉の定義から入りましょう。日本語がハイコンテクストな言葉だからと言ってこのあたりを疎かにしてはいけません。
毎度おなじみWikipedia先生に聞いてみましょう。
何やら分かりづらい横文字が並んでいますが、要は「プロジェクトが円滑に進むようにプロジェクトマネジメントの支援機能を提供する」のがPMOの目的であり責任です。
具体的にはこんなことをするようです。
なお、PMOはプロジェクトごとに個別に設置されているケースもあれば、PMO専門チームが常設されていて必要に応じて各プロジェクトを支援するケースもあります。
わかりやすい図があったので正々堂々と引用します。
出典は同じく日本PMO協会です。
プロジェクトマネージャ(PM)との違いは、PMはプロジェクトのために活動するのに対し、PMOはプロジェクトマネジメントのために活動します。
基本的にPMOはプロジェクト内の実作業は担当しないのです。
このあたり、似ていてややこしいのですが、鬼滅を例に解説すると、PMは鬼をやっつけるための活動を行う、PMOはその鬼をやっつける人たちのマネジメントを支援する、と言えます。
もしかしたら、芸能人の方のマネージャなんかもイメージ近いかもしれません。
このあたりも真面目に解説しだすと本が一冊書けてしまうので、断腸の思いで説明を切り上げることにします。
興味ある方は先ほどの出典であげたこちらのサイトがなかなか分かりやすくて詳しいので読んでみるとよいかと思います。
ものすごく余談すぎるのですが、PMO協会のロゴ(↓)がちょこさん的には某AAに見えて仕方ないんですよね。
…話を本筋に戻しましょう。
PMOについての基礎的なところを分かっていただいたところで、本編に入りましょう。
そうなんです、まだ本編始まってなかったんです。
ここまででだいたい2,000字くらい消費してしまったので、ぜひ読み疲れた方はお茶とお菓子でも持ってきてから続きを読むとよいのではないでしょうか。
あ、ちょこさんはチョコレートが食べたいのでおいしいチョコレートをお待ちしております。
◆鬼殺隊とは
さて、↑までで鬼殺隊におけるPMOがどんな人(?)たちで、そもそもPMOとは何者なのか、というお話をしてきましたので、ここからはいよいよ鬼滅の刃におけるPMOについて解説していきます。
※本noteは世にも珍しい鬼滅の刃をPMBOK準拠で解説する記事です。
鬼殺隊の目的・目標
まず、鬼殺隊はどのような組織なのか見ていきましょう。
公式ファンブックによると以下のように解説されています。
ソースはこちら(↓)
要は鬼の殲滅を目的としたNGO(非政府組織)ということですね。
さらに解説すると、鬼殺隊の最終的な目標は鬼のいない平和な世界をつくることです。
それを実現するために、隊士を鍛え、日々鬼を狩っています。
このあたりも図解してみました。
せっかくのPMBOK準拠の解説noteなので、ポートフォリオ、プログラム、プロジェクトの概念に沿ってまとめてみました。
それぞれの用語の定義はこちらです。
まとめると、鬼殺隊は
①組織の戦略目標である"鬼のいない平和な世界を実現する"を達成するため
②"鬼の討伐"、”隊士の教育訓練”といったプログラムを設定し
③プログラムの個別要素として”特定の鬼の討伐”、”柱稽古”
を業務として日々遂行している、と言えます。
これを読んでいる各位も、自分が所属している組織のポートフォリオ、プログラム、プロジェクトってなんだっけって考えてみるとなかなかおもしろいかもしれません。
あと、ちょこさん個人的には、まさかPMIも鬼滅の刃を事例としてPMBOKの解説をされるだなんて思うまい、って思ってます。
鬼殺隊の組織図
そして、ちょこさんの見立てでは鬼殺隊の組織図はこんな感じです。
※公式設定集とかとやや違った書き方になりますが、ビジネス目的の解説の場だとこっちの方がわかりやすいかな、と…。
階級としては一般隊士の上に柱が来るようですが、いわゆるレポートラインに相当するものではなく、一般隊士は鎹鴉の伝令を受け直接、個別の案件の対応に動く、というスタイルのようですね。
一方で、被害が大規模、十二鬼月の出現が想定される、など大型の案件は柱と一般隊士からなるチームが組成され、場合によっては辞令を受けた柱が一般隊士のアサイン選定を行うといったシーンもあるようです。
ついでなのでこのあたりも図解してみました。
◆鬼殺隊におけるPMO活動
さて、お気づきでしょうか。
前述のとおり、個別の鬼を狩りに行く案件はプロジェクトです。
そして、お館様から鎹鴉を通じて一般隊士にプロジェクトアサイン辞令が通達されます。
さらに、プロジェクトの遂行に必要な情報の提示、長期プロジェクトにおける休憩箇所の選定などもこの鎹鴉が行います。
最終的に、無事に鬼を狩ることができた、目標叶わず隊士が殉職した、などのプロジェクト結果も鎹鴉を通じてお館様に報告されます。
さきほど、「プロジェクトが円滑に進むようにプロジェクトマネジメントの支援機能を提供する」のがPMOの目的であり責任、と記載しましたが、まさにこの鎹鴉の任務はPMOそのものと言えるのではないでしょうか。
これに加えて、お館様のご子息ご息女の活躍も実にPMO的であると言えます。
その素晴らしいPMO活動の事例を挙げます。
プロジェクトアサイン候補者の選定
これは一般的なPMOの主な役割における2.プロジェクトマネジメントに関する研修など人材開発に該当しますね。
プロマネ(鬼狩り)の適性をもった要員を選別するためのアサイン会議を運営しているものと思われます。
ここのアサイン会議の選別通過は大変難しいようです。
プロジェクトアサイン後のロジ周り準備
これは4.プロジェクト間のリソースやコストの各種調整ですね。
プロジェクトへアサインされた人にPCを調達したりクライアント先の入館証の手配をしたりしているようです。
プロジェクトへのNew Joinerたちも刀の材料を選ばせてもらったり隊服を支給されたりしましたね。
ステコミ(柱合会議)の運営
これは3.プロジェクトマネジメント業務の支援ですね。
主要プロマネが集まって今後のプログラム、ポートフォリオの方向性を決める重要な会議の運営を行っています。
もちろん、この招集の伝達は鎹鴉の役目ですね。
その他
上記以外にもまだまだ活躍しています。
そのあたりはまだアニメ化されていないので詳細なネタバレは避けることにしておきますが、
・ポートフォリオ/プログラムのゴールを達成するための外部組織との連携方法の模索
・いざというときは自らが実行者となってのプロジェクトの遂行
・大規模プロジェクトが炎上したときのプロマネたちへの直接の陣頭指揮
など、鬼殺隊の全ての活動がスムースに執り行われるよう、ときには裏方で、時には前面にたって活動する、非常に存在感のあるPMOと言えるでしょう。
これらが実際にどんな活躍シーンだったのか気になる各位、続きはぜひ原作コミックスで履修してください。
◆一般的なコンサル案件におけるPMOの活動事例
一般的なPMOの活動もだいたい↑で解説した感じで相違ないと思います。
ただ、コンサルファームがPMOを受注した場合、プロジェクトの現場でコミュニケーションを取る必要がある人達が
①クライアントの意思決定層(役員など)
②クライアントのプロジェクトメンバー
③プロジェクトの実行部隊として委託されている別のコンサルファーム
④システム開発を請け負っているSIベンダー
と多岐にわたるため、難易度が高くなりがちです。
なぜわざわざ単価の高いコンサルファームにPMO案件を発注するかというと、
①スコープが複雑で
②利害関係者が社内外に複数いて
③限られた期間で大きな成果を出す必要がある
といったプロジェクトの管理機能を担うことは実はものすごく大変なことだからです。
特に金融機関の超大型プロジェクトなんかだと、
業務領域A:コンサルD社、アプリ開発N社、インフラF社
業務領域B:コンサルP社、アプリ開発H社、インフラI社
みたいな最強の委託先を決めるための生き残りをかけた戦いをやってるんじゃないかって案件も世の中にあるので、そういった現場を取り仕切って進捗を出させるなんてそれこそもうPMOの専門知識と経験を備えた大手コンサルファームにしかできない芸当でもあります。
※上記社名はあくまで架空のものです、いいね?
特に、”言った言わない”、”このタスクはあっちの会社がやると思ってた”なんてトラブルは日常茶飯事なので、そういった心労ごとを避けるためにも日頃のコミュニケーションの促進、アジェンダの打ち漏らしのない会議運営、責任分担をしっかり記載した議事録の作成、など、円滑なプロジェクトの運営のためにやることは本当に多いです。
その分、しっかりしたPMO案件を遂行できるようになれば、”大規模プロジェクトの運営なら任せとけ”って専門性を得ることができるので、ちょこさんはPMO案件は実は若いうちに担当しておくべきプロジェクトの上位に入ると思っています。
一方で、上記の例みたいな超巨大PMO案件とかでなければひたすら言われたことをやる事務屋さんに徹することもできてしまいます。
こういったPMOしかやってこなかった人はスキルもつきませんし、巷にあふれる”PMO案件ってつまんないんでしょ?”ってネガティブな意見もだいたいこういったところから発生してると思ってます。
そういった輩にはPMO案件がつまらないんじゃなくてあなたのその姿勢がつまらならいってことに早く気づいていただきたいですね。
◆今回のまとめ
と、いうわけで、今回はPMOについて鬼滅の刃を事例に解説する、いつも通りの謎の記事となりました。
もし鬼殺隊に鎹鴉とお館様のご子息ご息女がいなかったらどうなっていただでしょうか。
伝令の通達速度や新入隊員の選考のスピードがガタ落ちして、鬼のいない平和な世界をつくるなんてどころじゃなかったかもしれません。
PMOって地味なんですけど、実はプロジェクトにとって、そして組織にとってなくてはならない存在なんですよ。
地味なんですけど。
これを読んでいて今後コンサルファームの選考を受ける予定の各位、PMO案件について熱く語れると、採用側も"なんか渋いやつ来たな"ってよく覚えてもらえるかもしれませんよ。
何事も身近な事例に例えて学ぶって効果的だと思うので、これをきっかけにぜひPMO案件に興味をもっていただけるとちょこさんは嬉しいです。
◆オススメの一冊
プロジェクトマネジメント系の本は前回貼っているので、(再掲ではあるのですが)巨大プロジェクトを問題を起こさず進捗させるのがいかに大変か学べる本を紹介します。
日本のサグラダ・ファミリア、もしくはピラミッド。
ちょこさんも全ての炎上が駆逐された平和なプロジェクトに住みたいです。
今回も長い文を読んでいただいてありがとうございました。
ここまででだいたい6,000字でした。
読んでいただくのも疲れるかと思いますが書いてるちょこさんも結構疲れました。
取り上げてほしいトピックやご意見ご感想などありましたら是非コメントなどお寄せください。
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