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【コンサル業界研究】プロジェクトアサインってどうやって決まるの?あと拒否ってできるの?

どうも、外資系うさぎのちょこさんです。


突然ですけど、ちょくちょく質問箱でこんなお便りをいただくんですよね。

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で、ちょっと気になってこんなアンケートも取ってみたところ、なかなか反響がありまして。


細かいコメントは↑のリプや引用RTを見ていただくとして、今回はコンサルファームのアサインってどうやって決まるの?ってお話と、アサインを断ることってできるの?ってお話についてまとめていきたいと思います。

もちろん、プロジェクト単位で働く組織(SIerとか)全般にも同じような話があるのだとは思いますが、特にコンサルの場合はアベイラブル、カウンセリングアウト、といったちょっと不穏なカルチャーもあることにはあるので、そのあたりも踏まえて解説していきます。


…の前に、いつものコピペです。
この記事も有料設定していますが、全文無料で読むことができます。もしいいねと思っていただけた場合は、ちょこさんの大好物のおいしいチョコレートを一粒調達するための費用としてカンパいただけると大変うれしいです。

では本編どうぞ。



◆アサインの仕組みについて

- そもそもアサインって何?

アサインという文化に馴染みのない各位は、アサインとはプロジェクトへの配属を意味する辞令のようなものと認識しておくとだいたい問題ないです。

コンサルファームやSIerなど、プロジェクトとして働く組織においては、定常業務というものは基本的になく、プロジェクトにアサインされてようやく任されるお仕事が発生する、ということになります。

つまり、アサイン次第でその先数ヶ月や下手すると年単位の運命が決まってしまうってことですね。

というわけで、このnoteではこのアサインが決まる仕組みについて解説していきます。
会社側の視点、アサインされるスタッフ側の視点、色んな思惑が絡み合う混沌とした世界があなたを待っています。


あ、そうそう、プロジェクトとプロジェクトじゃないもの(定常業務)の違いについては↓で解説してますので、よかったら併せてどうぞ!


- 標準的なコンサルタントのアサイン例

まずはこちらの図解をご覧ください。

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実際は四半期ごとにプロジェクトの区切りがあるわけではなかったり、こんなに短期でプロジェクトがコロコロ変わったりすることは少ないのですが、まぁこんな感じだと思います。

この図では、このコンサルタントは1年を通じて3つのプロジェクトへのアサインがあり、合間に休暇もとり、残念ながらアベイラブルの期間もあったり、といった発生しそうな要素をとりあえず詰め込めんでみたものとなります。

コンサルタントの稼働は大きく3種類に分けることができ、ここではそれぞの赤、青、緑で色分けしてしてあります。

その中で一番大事なのは、クライアントチャージできる(売上が発生する)赤枠の稼働でです。
青枠は間接作業(売上が発生しない)なので、一定割合で必要な研修などを除き、なるべくこの時間は少ないほうが良いです。
緑は休暇ですが、休めるときはしっかり休むのも大事です。

補足
提案活動とか社内プロジェクト(技術調査とか)はクライアントチャージはできないのですが、便宜上これらも赤枠に入るものとしておきます。
ちゃんと会社のためになる稼働ができているかが大事です。


- 若手は1年を通して90%くらいはプロジェクトのお仕事をしていればだいたいOK

コンサルタントにとって最も大事な指標のひとつとして年間稼働率が挙げられます。

これは、1年間の総稼働予定時間のうち、何%が赤枠の稼働だったかを示すものです。
式で表すとこんな感じになります。

稼働率 = 年間稼働実績 / 総稼働予定時間

たぶんどのファームも、スタッフクラスは90%くらいの稼働率を目標にしているのではないでしょうか。
分子には残業した分も載っかってくるので、忙しいプロジェクトに入っていた場合は稼働率が100%を超えることも珍しくありません。


せっかくなので、さっきの図を例として、毎月の稼働予定時間は160H、休暇の処理はめんどくさいのでプロジェクトアサインと同等とみなすと仮定し、稼働率を計算してみましょう。
プロジェクトアサイン中の研修等もめんどくさいので考慮しないことにします。
どうせ誤差です。

稼働率 = (プロジェクトAの稼働実績 + プロジェクトBの稼働実績
       + プロジェクトCの稼働実績 + 休暇)
       / 総稼働予定時間
    
    = [{(160H/月)* 6ヶ月}+{(160H/月)* 2ヶ月}+
       {(160H/月)* 2ヶ月}+{(160H/月)* 1ヶ月}]
       / {(160H/月)* 12ヶ月)}

    = (960H+ 320H + 320H + 160H) / 1,920H

    = 1,760H / 1,920H

    = 0.917(91.7%)

こんな結果になりました。

残業を考慮しなくても稼働率は91.7%ということなので、このコンサルタントは1ヶ月間のアベイラブル期間があったとはいえ、年間の評価にはそんなに影響しなさそうですね。


- アベイラブルは避けたい

次にコンサルタントが恐れてやまないアベイラブルについて解説します。

利用可能という言葉の意味からも分かるとおり、アベイラブルとはプロジェクトにすぐにアサイン可能、つまり今はプロジェクトにアサインされていない状態を指します。

前のところで書いたように、プロジェクトにアサインされていないとお仕事がないのがコンサルなので、アベイラブル期間は本当に何もやることがない状態です。

アベイラブル中のコンサルタントは何をするかというと、オンライントレーニングなどで自己啓発を進めつつ、新規アサインに向けた面談の連絡をひたすら待ち続けることになります。

当然、その間は売上も発生せず、間接作業での社内貢献もないので、そのコンサルタントの評価はだだ下がりになります。

コンサルタントの評価は、各プロジェクトでの評価をアサイン期間の重み付けをしたうえで積み重ねる方式なので、一定以上のアベイラブル期間があると期末の人事考課でかなり不利になります。

そしてこの状態が長期間続き、人事考課で低評価が連続してついた場合、「あなたには他に向いている仕事があるのでは…」というルートに突入する場合もあります。
もちろん、そんなにたくさんあるケースではないですが、このあたりはやっぱり実力主義って感じですね。

補足
次のアサイン先は決まっているけど開始日の関係で一時的にやることがないとか、まとめて休暇を取りたいからアサインはその後で、などという場合はアベイラブルとは見なされないのが一般的だと思います。
特にそのような事情がなく単にアサイン先がない場合はやばたにえんです。


- アサインの決め方はマッチングアプリ方式?

ようやく本題のアサインの決め方のお話です。

採用セミナーや面接時の質疑応答などで、スタッフ側とプロジェクト側がそれぞれ希望を出しそれが合致したらアサインが決定する、というさながらマッチングアプリのような仕組みだと説明されるシーンがよく見られると思います。

実態はどうなんでしょうか。

ここも図解を見た方が分かりやすいと思うのでまずこちらをご覧ください。

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と、このように、アサイン会議の場で、部門のえらい人たちがリソースの一覧とアサインニーズの一覧を眺めつつ、どのコンサルタントがどのプロジェクトのアサイン面談を受けるかを決めているのです。

つまり、コンサルタントがリソースを求めているプロジェクトの一覧から希望するところを選ぶのでもなく、プロジェクト側も空いているコンサルタントの一覧から希望するメンバーを選ぶわけでもないのです。

結局、マッチングアプリ方式ではなかった、ということですね。


なお、全部が全部このような決まり方をするわけではなく、特定のコンサルタントをずっと囲っているマネージャーがいたり、場外の交渉でアサイン候補者を決めていたりとか、そういうのもあったりもします。


- リリース(アサインの終了)について

ついでに、リリースの流れについても説明しておきます。

リリースも読んで字の如く、プロジェクトから離れる、つまりアサインの終了を意味します。
なんか最近流行っている小説のジャンルと違って、このリリースという言葉自体には特にネガティブな意味はないので、そのあたりはご注意ください。

なお、リリースにもいくつかパターンがあります。

・プロジェクトの終了(全員リリース)
・フェーズの切り替わり(業務コンサルが抜けてITコンサルが入るなど)
・スタッフ側から(長い期間同じプロジェクトにいたからなど)
・プロジェクト側から(スタッフのパフォーマンスが悪いなど)

上2つは自然なリリース、スタッフ側からは裏に色んな事情がある場合もあり、プロジェクト側からはちょっとネガティブな要素もある感じですね。

例として挙げましたが、特にSI(システム開発)が絡むプロジェクトは年単位の稼働となることも少なくないので、ジョブローテーション的にスタッフ側から異動希望を出したり、プロジェクト側からも"そろそろ違う現場で経験を積んだほうがよいのではないか"と、双方合意のうえでリリースとなることもあります。

リリース時期が確定すると、リリース予定者リストに名前が載り、次のアサイン先探しに向けたプロセスが開始することになります。

アサインが終わったらどうなるのか、そう、アサインが始まるのです。


◆アサインを断ることってできるの?

と、ここまででアサインが決まる仕組みとアサインの終わり方について、なんとなく分かっていただけたことかと思います。

冒頭に挙げた、"アサインは断れるのか"、というみんなが気になるところについてもお話していきます。


- そもそもアサインは辞令(職務命令)である

最初の方でも触れましたが、アサインは辞令なので、基本的には断るって概念はないと思ったほうが良いです。

アサインされないとお仕事がないコンサルファームにおいてアサインを断ることは、振られた仕事を断るのと同じことになります。

先程解説したように、余程のことがない限りはアサイン面談を実施し、プロジェクト側のニーズとスタッフ側のスキルが合っているかはちゃんと確認され、アサイン候補先が複数あった場合、その中から希望するアサイン先を伝える権利もあることにはあります。

しかしながら、そこもビジネスなので、全体最適を考慮しつつ最終的には会社側がアサイン先を決定します。

仮に、ある程度スキルがアンマッチなアサインが発生したとしても、アサイン候補者がひとりだけで、スタッフを募集しているプロジェクトもひとつしかなければ、そこにアサインされるしかないですよね。

少なくとも、気に入ったアサイン先がないからアベイラブルを希望します、というのは職務放棄レベルの所業なので、そういった意味でのアサイン辞退は不可能だと思っておいて大丈夫です。


もしどうしてもそういう働き方をしたいのであればフリーランスになるしかない、とちょこさんは思います。
ノーワークノーペイのリスクと引き換えに自由を手にできます。


- もちろん例外はあります

とはいえ、どうしてもアサイン面談で聞いたプロジェクトの要件を満たして働くことができない場合は、自分の教育担当の上司などとよく相談したうえで、別のアサイン候補先を調整してもらう、ということも可能です。

その相談が可能となるシチュエーションとしては、だいたいこういうレベルのものだと思います。

・長期の出張や地方拠点への赴任が必要となるが、介護や育児の都合でどうしても自宅を長期間離れることができない
・自身の健康上の都合などで労働時間の制約がある場合(海外案件で定期的に深夜の電話会議があるが、療養が必要で定時外の稼働ができないなど)
・アサイン予定先のプロジェクトメンバーと、過去に大きなトラブルになったことがある(会社が認定するレベルでパワハラ、セクハラの問題があったなど)

他にも例を挙げようとすれば出てくるかもしれませんが、一言でいうと不可抗力でそのプロジェクトで稼働することが難しいという場合に限られると思ってください。


- 断れないとして、アサイン先への希望はどの程度考慮されるの?

じゃあそれ以外の理由、例えば

・自分が経験したいインダストリー、ファンクションの領域と異なる
・プロジェクトが求めるスキルセットを有していない
・アサイン予定先のプロジェクトマネージャの評判が悪い(パワハラ、セクハラの噂があるなど)

の場合はどうでしょうか。

"自分の希望と違う"という意見を上申する権利は当然ありますが、ちょこさん的には他にアサイン先候補となるプロジェクトがない場合、その希望は尊重されることはないと思っています。

前のところで書いたとおり、複数のアサイン面談を経て”このプロジェクトのほうが自分の希望とスキルに近いです”という希望を出すこと自体は可能です。

ただ、その希望よりは会社の思惑のほうが優先されると思っていてください。

・彼/彼女が希望するロールではないが、他に適任がいない
・プロジェクトが求めるスキルセットを有していないが、ぜひそのスキルをこのプロジェクトで学んでほしい
・評判が悪いプロマネかもしれないが、あくまで噂レベルである

といった判断が下される可能性は十分にあります。


割と自由に働いているイメージがあるコンサルタントですが、我々のお給料は他の業界に比べてとても高いので、まずはそれに見合う利益を会社にもたらさない限りは希望が大きく叶えられることはないと思ったほうがよいです。

逆に言うと、ある程度の実績があって、稼働率も安定していて、会社から信頼されているコンサルタントの場合は、アサイン管理者も人の子なので、ある程度希望を聞いてもらえる可能性が高くなってきます。

もしくは、自分で新しい案件を獲ってきて、その案件を自分で回す、といったようなことをできていればかなり自由が効きます。
コンサルタントの基本はバリューこそ全てです。


ちなみにちょこさんは、スタッフクラスのときに、自分で以前アサインされていたクライアントの継続案件を取りに行ってそこのプロジェクト回すから、って言って比較的自由に動かせてもらっていました。

ただ、自由には責任が伴うので、自分で取って自分で回すと言ったプロジェクトが炎上しても自分の責任でなんとかするしかないので、そこもどれくらいリスクを取れるかだと思います。


◆今回のまとめ -よいアサインを獲得するために-

というわけで、アサインの希望は聞くだけは聞いてもらえるけど、最終的に決めるのは会社だよ、ってお話でした。

じゃあスタッフ側には一切の自由がないのか、っていうとそんなことはありません。

アサイン担当マネージャが、リリース予定(アベイラブル含む)のコンサルタントと、アサインを希望するプロジェクト側のマッチングを行うときは、ランダムで面談を設定しているわけではなく、そのコンサルタントのスキルセットや、教育担当の上司が持っている育成方針などを考慮したうえで設定します。

つまり、自分の教育担当の上司と、いかに日頃から自分の現在のスキルセットや今後経験したいこと、アサインにあたって配慮してほしいこと、を話し合って、アサイン会議の場でその上司からアサイン管理者に自分の希望や育成プランを十分に伝えてもらえるようにしておくことこそが重要です。

我々はフリーのコンサルタントではなくて、会社に勤めているサラリーマンなので、自分の教育担当の上司とは常に十分にコミュニケーションを取っておくといざというときに助けてもらえる確率があがります。

ちょこさんも自分の教育担当の上司(パートナー)とは、忙しいところ頼み込んで毎週1on1の時間を設定してもらっています。
その中でちょこさんが今後どう成長していくべきか相談に乗ってもらっています。

なので、コンサルファーム入ったら教育担当の上司がつくことになるので、まずはその上司と今後の自分の運命について腹を割ってじっくり徹底的に話すことをおすすめします。

上司は大抵忙しく受け身の姿勢では十分なコミュニケーションを取ることは難しいので、必ず自分から積極的に上司の時間を抑えてに行く姿勢が大事です。

結局は行動力とコミュ力が物を言うって感じですね。


あまりこういった良いアサインを獲得するためのコツを解説しているブログとかって少ない気がするので、これを読んだ各位はぜひさっそく上司との1on1を設定して色々と相談してみてください。

きっと今までよりちょっとだけ充実したコンサルライフを送れるようになります。

捕捉(なんでわざわざ"教育担当の"上司って言うの?)
これもプロジェクト制の組織特有のカルチャーかもしれませんが、プロジェクトの中で自分を直接指導する上司(当然プロジェクトごとに別の人になる)と、プロジェクト外で通年で自分の育成プランを考えて年次評価をつける上司(その上司のプロジェクトに入ればプロジェクト上の上司とイコールになる)がいます。
教育担当の上司が、自分が受け持っているコンサルタントについて、プロジェクト上の上司達からプロジェクトごとの評価を回収し、それを統合して年間の人事考課をつけます。
どちらの上司とのコミュニケーションも大事です。


◆オススメの1冊

この本は以前にオススメ本まとめて紹介noteで取り上げているのですが、再掲します。

コンサル業界にいるとどうしてもコミュニケーションが必要以上にストレートになってしまいがちなので、ちょうど良い感じで自分も相手も尊重する適度な自己主張の仕方を身につけるときっと上司とのコミュニケーションが3割くらい効率的に進むようになると思います。


あとついでにこれは再掲じゃない本ですが、こんなのもおすすめです。
↑と同じような雰囲気なのですが、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」がテーマなので、きっとコミュ力向上に役立ちます。
対話形式の本なのでAudibleで読み聞かされるのがちょこさん的にはオススメです。



というわけで、今回も長めのnote(だいたい7,500字くらい)にお付き合いいただきありがとうございました!
次回はもうちょっとゆるめのテーマで何か書こうかなと思います。

参考になったよって頷いてるそこのあなた!
チョコレートのご支援もぜひよろしくおねがいします!

今後も取り上げてほしいトピックやご意見ご感想などありましたら是非コメントなどお寄せください。

質問箱もどうぞ。


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