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【コンサル業界研究】Big4って外資コンサルじゃないってほんと?

どうも、外資系うさぎのちょこさんです。

気がづけば業界研究シリーズの更新、一ヶ月以上あいてしまいました。
あ、ちょっとまってください、まずはその手に持ってる石はいったんしまっていただいて、今まで進捗を遅らせたことが一度もないフレンズだけがちょこさんに石を投げて大丈夫です。

…よし、石は飛んでこないみたいなのでこのまま続けることにしますね。
あぶないあぶない...。


今回はみんな大好き、Big4は外資コンサルじゃないのよってお話をしていきたいと思います。
なんだか煽り記事風なタイトルですけど、内容はちゃんと真面目なので安心して読み進めてもらって問題ないです。


早速なのですが、ちょっと古いですけど、こんなツイートが伸びまして。


実は↑はミスリーディングでBig4は外資を名乗ってはいけないんですよね。
合コンで外資を名乗ってる輩はたくさんいる気もしますけれども...。

続いてこちらのツイートも。


ちょこさんのフォロー/フォロワー各位は監査法人/コンサル業界関係者が多いと思うのでこのあたりの認識は統一されているようですが、新卒や中途でこれから業界にチャレンジされる各位にとってはちょっと意外な事実かもしれません。

ちょこさんはちょくちょくつぶやいてますが、別に外資系だからエラいとかカッコいいとか日系だからプレゼンスが低いとかそんなことは全くないので、そのあたりに惑わされず各ファームの資本関係やグローバルとのつながりについて理解を深めるきっかけにしていただけるとよいかなと思います。


もうちょっと言うと、資本的に外資じゃないところに勤めているのに合コンとかで「外資系コンサルタント」を自称するのはダサい以外の何者でもないっていうか同業から見ると「自分の所属しているファームの資本関係もわからないの?」って思われかねないので、外コン名乗りをするときはぜひTPOをふまえてください。


例によっていつものコピペです。
この記事も有料設定していますが、全文無料で読むことができます。もしいいねと思っていただけた場合は、ちょこさんの大好物のおいしいチョコレートを一粒調達するための費用としてカンパいただけると大変うれしいです。

では本編どうぞ。


◆まずは外資系/日系の分類から

さっそくですけど、普段よく目にする総合系ファームを中心に外資系/日系とグローバルネットワークの有無で分類してみました。


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うん、そうだよね!って思った各位は業界経験があるか、かなり業界研究をしているものと思います。

マジでっ!?って思った各位、ぜひこのnoteをしっかり読んでついでにスキ&シェアもお願いしますね。


◆そもそも外資系の定義って?

なにごともまずは用語の定義をしっかり確認しておくのが大事なので、Wikipedia先生に聞いてみましょう。

経済産業省(旧通商産業省)は、1967年以降毎年、外資系企業について調査を行っており、その調査結果を、翌年以降毎年『外資系企業の動向』として公刊している。ここで調査対象となるのはおおむね以下の企業である。

1.外国投資家が株式又は持分の3分の1超を所有している企業
2.外国投資家が株式又は持分の3分の1超を所有している持株会社が出資する企業であって、外国投資家の直接出資比率及び間接出資比率の合計が3分の1超となる企業
3.上記1、2いずれの場合も、外国側筆頭出資者の出資比率が10%以上である企業

出典:Wikipedia(外資系企業)

ものすごくざっくり言うと外国資本が1/3以上入っている会社は外資系という定義のようですね。
Wikipediaの同じページによると、現時点では国内にだいたい5,800社くらいの外資系企業があるみたいです。

さっきの図の場合、主要戦略ファームはイメージどおり外資系、アクセンチュアやIBMも特に違和感がないですよね。
また、アビームやベイカレントが日系なのも同じく特に論ずる点はないと思います。

というわけで、以降はBig4が何故外資系ではないのか、という解説を進めていきましょう。


◆Big4はマクドナルト方式

最初に図解を見てください。

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こまけぇこたぁいいんだよの精神に則ってある程度ざっくりと説明するならば、Big4の経営形態はマクドナルトやKFCといったファストフードのフランチャイズチェーンと同じです。

ファストフードでは、フランチャイジー(加盟者)がフランチャイザー(本部)に加盟料や上納金的なものを払い、その対価としてブランド使用権やノウハウの提供、品質管理の支援などを受ける仕組みです。

Big4、特に監査法人のエンティティが顕著ですが、グローバルの本部に加盟量や上納金的なものを払い、その対価としてブランド使用権、グローバル全体のナレッジへのアクセスを得る仕組みです。

そして当然、グローバルで標準化された監査手法を用いることも義務付けられ、それが遵守されているかの定期的な監査もあります。

じゃあなんでこんなフランチャイズみたいな仕組みになってるのか、気になりますよね。


- 4大会計事務所のネットワーク

既にお馴染みかと思いますが、Big4とはなんぞや、のおさらいをしましょう。

時代的にBig8だったりBig5だったりしたってのは置いといて、今のBig4とその本部はこんな感じです。

1.デロイト・トウシュ・トーマツ(DTT)、本部:ニューヨーク(米)
2.プライスウォーターハウスクーパース(PwC)、本部:ロンドン(英)
3.アーンスト・アンド・ヤング(EY)、本部:ロンドン(英)
4.KPMG、本部:アムステルダム(蘭)

記載順はグローバル全体での売上順です。
ちなみに、KPMGはなにかの略称じゃなくて正式名称がKPMGです。

で、これらはあくまでフランチャイズの本部なので、実際にサービスを提供する法人はこの本部とフランチャイズ契約を結びます。

加盟ファーム、提携ファーム、ネットワークファームと呼び方は色々ありますが、意味するところはフランチャイズに加盟しているってことで同じだと思ってしまって問題ないです。

日本においてはお馴染みの下記ファームですね。(便宜上監査法人の名前で記載)

1.有限責任監査法人トーマツ:DTTと提携
4.有限責任あずさ監査法人:KMPGと提携
3.EY新日本有限責任監査法人:EY
2.PwCあらた有限責任監査法人:PwC

さっきと順番が異なっているのは、日本国内での売上高の順がグローバルとは必ずしも一致していないからです。


これと同じような感じで、世界各国で現地の監査法人(に相当する団体)がどこかしらのフランチャイズに加盟して、そのブランドの看板を掲げています。

最近業界に入った各位は知らないかと思いますが、日本においては2010年代中頃までは、各ファームともグローバルのブランド名を掲げず、単に新日本監査法人、あらた監査法人などと名乗っている時代がありました。

日本以外の国でも、現地ファームがグローバルのブランド名をそのまま掲げているケース、独自の名前を使っているケース、両方あるみたいです。


- なんでわざわざフランチャイズに加盟するの?

そろそろBig4のグローバルネットワークの仕組みが分かってきた頃かと思います。

そして、じゃあなんでわざわざ加盟料払って看板借りてるの?って思いますよね。

最も大きな理由のひとつとして、グローバル案件を分担して受け持つことができる、というのが挙げられます。

これも文字で書くより図解した方がわかりやすいと思うのでこちらをご覧ください。


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ここまでで、なんでBig4はわざわざフランチャイズ形式で各国の現地ファームと提携しているのか、が分かったかと思います。

ひとつおもしろいのは、PwCは日本の上場企業のクライアント数が他のBig4に比べて5分の1以下、しかも準大手の太陽有限責任監査法人よりも少ないというのに堂々とBig4を名乗れているのは、この仕組で外資系企業の日本法人や海外拠点が多数ある大手日系の監査クライアントを数多く持っているからです。

このあたり、PwCが外資系監査法人とのイメージを特に持たれている理由かもしれないですね。


参考:上場企業における監査法人シェア(上位10法人のみ抜粋)

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出典:上場企業サーチ(監査法人勢力図)


- 日本におけるBig4の資本関係

続いて、肝心の資本関係です。

これも監査法人から話がスタートします。

まず日本の監査法人はどのような仕組みで成り立っているかというと、公認会計士が5人以上集まって出資をし社員となることで設立できます。
要はキングスライムです。
※ここで言う社員は一般的な用語の社員(雇用されている従業員)とは違うので注意。

これがどういうことかと言うと、日本国内においては、海外の投資家や法人が出資をして、監査法人を設立することはできないということです。

よって、ときおり"外資系会計事務所"などという謎の用語が使われている残念な転職エージェントのサイトなどがありますが、これは完全に誤りです。


監査法人自体の解説は↓のnoteも後でみていただければと思いますが、第三者としての立場を取らなければならないので、外資だろうが内資だろうが外部からの出資を受けることはNGとなります。

これが株式会社だったら、株主の利益のために働くことになっていますので、監査先と株主に利害関係があった場合に適正な監査が行われなくなるリスクがあります。

そのため、監査法人はパートナーと呼ばれる社員が出資した資本のみで運営が賄われています。
監査法人やコンサルファームの最上位の役職がパートナーと呼ばれるのも、この出資者=共同経営者=パートナーシップから来ているのです。


というわけで、日本国内の監査法人は全て、日本の公認会計士が出資した日系資本の法人、という結論となります。

国内の監査法人は日系、いいね?


外資系監査法人って原理的には可能?
やろうと思えば日本の公認会計士資格を取得した外国人会計士が5人あつまって出資して監査法人を設立するということはできそうなのですが、その場合って外資系監査法人になるんでしょうかね...。
気になって夜しか眠れません。


◆国内Big4各グループのエンティティ

さいごに、各グループの所属エンティティを機能別に分類してみました。
コンサルクラスタって何でも分類しがちですよね。

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結構細かく分かれてますねー。
特徴をあげると、

・デロイトはエンティティものすごく多い
・KPMGはグループ統括機能を集約した会社を設定していない
・EYはEYジャパン(統括会社)とEY Japan(バックオフィス会社)がある
・PwCは監査法人がふたつある(有限責任はあらたのみ)

と各グループなかなか個性が分かれる組織設計になっているみたいですね。

さらに、これも2010年代中頃の出来事なのですが、デロイトとPwCはグループ内コンサルエンティティを監査法人の100%子会社である株式会社から、監査法人と近い形態の合同会社に組織変更しています。

一方で、EYとKPMGは株式会社のままですね。

会社形態が変わろうと、グループ外の資本は入ってきていないので、国内におけるBig4の各エンティティ全て、外資系ではない、ということになります。

会社形態の違いについての説明は割愛するので、興味ある各位はぜひググってみてください。


◆今回のまとめ

というわけで、今回は資本的にはBig4を外資系監査法人、外資系コンサルファームと呼ぶのは誤りである、というお話でした。

就活生はじめ当事者ではない方々がBig4=外資系というイメージを持つこと自体はある程度やむなし、とは思うのですが、これからはぜひ資本関係のにみ注目するのではなく、そのカルチャーやネットワークがグローバルワイドに広がっているのか、ドメスティック(国内)に閉じているのか、を見ていただきたいですね。

そういった意味では、Big4は立派なグローバル系監査法人/コンサルファームです。
上層部を除き完全にドメスティックカルチャーの外資系事業会社の日本支社/支店も少なくないですが、それらと比べると資本的にはBig4は日系でもカルチャーやネットワークは段違いにグローバルです。


ちなみに、ちょこさん的にはBig4はグローバル系監査法人/コンサルファームって呼んでおけば無難なんじゃないかなって思ってます。


おまけ的にもうひとつ、グローバルってどういうことだろうって疑問を持った各位、ちょっと古い記事ですがおもしろいのでこちらも読んでみることをおすすめします。
少しだけネタバレしておくと、日本に3社しかないと評されている真にグローバルな企業には、トヨタやファーストリテイリング(ユニクロ)は含まれていないようでした。

じゃあどこなの?っていうのはぜひリンク先から確かめてみてください。



◆オススメの1冊

元"プロ外資系OL"による変化の激しいグローバルの時代でこの先生きのこるために必要なサバイバル術が詰まっています。
これを読んでいつ外資系/グローバル系企業で働くことになっても大丈夫なように備えておきましょう。


著者の方のTwitterもおもしろいです。
なお、ブログを読むと寿命が伸びるようなので、不摂生気味な各位は見に行くとよいと思います。


1冊といっておきながらいつものやつをまた貼りますが、監査/コンサル業界を志望されている各位はこの特集は読んでおいて本当に損はないです。
Kindleならバックナンバーもすぐ手に入るのでこれを機に読んでみてください。



そうそう、これは有益な情報なのですが、合コンで外コン名乗ってくるのは人数比的にアクセンチュアだと思っていて問題ないです。
あと、アクセンチュアは監査法人系ではないので株式投資の制限がありません。
※Big4は監査法事系なので株式投資が原則禁止されています
合コン相手の所属先を探る際のご参考まで。


そんな感じで、今回はここまでです!
毎度のことですが長文noteをお読みいただきありがとうございました!(ここまででだいたい5,600字くらいでした。)
また次回もよろしくおねがいします。

ためになったなぁ〜ってしみじみしてるそこのあなた!
チョコレートのご支援もぜひよろしくおねがいします!


今後も取り上げてほしいトピックやご意見ご感想などありましたら是非コメントなどお寄せください。

質問箱もどうぞ。

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