◇ネガティブ

「ネガティブな考えは
　ネガティブな出来事を引き寄せる」
「ネガティブな考え方をする人は
　人生において避けるべきだ」

という言い回しを、
わたしは好んでいない。

だって、
「ネガティブな考えは
　ネガティブな出来事を引き寄せる」
「ネガティブな考え方をする人は
　人生において避けるべきだ」という
決定的な根拠をご存知なんですか？

それは
誰から聞きました？
あなたの独断ですか？

なぜネガティブが生まれるか
なぜその考えに至るのか

なぜネガティブを悪とするのかを
理解至るように伝え切れてもいないのに
簡略化された文言で
自ら誤解していたり
人に誤解をさせてはいませんか？

◆ネガティブは
　自身の成長を助けるもの

ネガティブな思考、と聞いて

「どうせダメだ」
「無駄なんだから」
というようなマイナスな考え方

という認識があるようでしたら、
これを読む前に
その認識を取り去ってください。

取り去っていただけました？

ネガティブは
"経験があったからこそ得られた予防線"
と捉えている。

危機回避能力です。

失敗した
挫折した
恥ずかしい思いをした

うん、
誰にでもあることでしょう。
忘れて次へ行きましょう。

でも、
そんな簡単に
「誰にでもあることでしょう」と
「忘れて次へ行きましょう」と
片付くものではない
経験のはずなんですよ。

また失敗するかもしれない。
また恥ずかしい思いをするかも。

思い出すだけで恥ずかしくて
誰にも掘り返されないように
隠そうと必死になることだってあるはず。

「忘れて次へ行きましょう」は
失敗・挫折によって得られた、
ネガティブの"先"にある声。
一度抱いたネガティブなしには
得られることのない声と
感じるわけです。

失敗を恐れて
「どうせダメだ」と
身動きが取れなかった過去があって、
その出来事が過ぎ去った今。

当時知り得なかった解決策や
攻略法・対処法について
落ち着いて考えられる余裕が
当時のじぶんへ
言い聞かせてあげられる
「忘れて次へ行きましょう」を
生んでいるはずだと。

自覚はないかもしれません。
ですが、
別の失敗や挫折をした後で
以前感じたショックよりも
軽さを感じたことはありませんか？

それは
乗り越えた、という
証拠なんです。

大きな成長。素晴らしいこと。

なのに。
「ネガティブな考え方をする人は
　人生において避けるべきだ」
などと、
ネガティブに目をつむるのは。

それはもはや
人の成長に目をつむることに等しい。
人の成長を無視する行為そのもの。

「わたしは大丈夫！」と
じぶんの純粋な感情を偽って
死なないポジティブ戦士を
知らぬ間に生み出して、
突然のしくじりによって
突き落とされたときに
誰の声も届かず
解決策も見つからず
悲惨な状況を招く恐れがあるわけです。

だって
失敗を乗り越えるという成長を
阻止させる要素しかないのですから。

好都合に「チャレンジ」と言い、
「ネガティブ」を完全否定し、
失敗すれば
「お前はチャレンジしても無駄だったね」
成功すれば
「俺の言った通りだっただろう？」と。

こんなの、
バッドエンドしか
用意されてませんよね。

しかし一度ネガティブを知ると、

失敗がこわい
挫折はもう嫌だ
恥ずかしい思いなんてしたくない

ダメかもしれない。
またしくじるかもしれない。

じゃあ
しくじらないためには
どうしたらいい？

こうしたら失敗したわけだから、
今度はこうしてみるか、
そうやったって失敗するかもしれない、

 でも、
でもやってみるか…

確実にそこに恐れはある。
恐れの存在がわかる。
ゆえに
慎重に周囲をよく見渡して
行動できるようになってるんですよ。

ちなみに
最初からポジティブであることに
否定するつもりは微塵もありません。

ネガティブを一度
乗り越えることによって
ネガティブな状況下で
どういった選択が的確であったのかを
真剣に向き合うようになるのです。
そこにわたしは
とても大事な要素を感じています。

「どうせダメだ」
「無駄なんだから」
という考えだけにフォーカスして
「ネガティブな考えは
　ネガティブを引き寄せる」
「ネガティブな考え方をする人は
　人生において避けるべきだ」
と述べるのは

本当にせこい。

こういうやつこそ、
おまえらの完全否定したい
"ネガティブ"そのものだ

と思う。

自身のプライドが
いかにかっこいいかを見せつけるために、
他にある柔軟な考え方を
下敷きにして、
何がポジティブだと。

だからわたしは
自身の成長を大きく左右する
ネガティブな考え方を
大事にしています。

「あーーダメだろこれーー」って
思うこと頻繁にあるんですよ、
でも、だからと言って
ブレーキを踏むことが
なくなったんですよね。

発生した困難や
問題を解決させようとする意欲を
確実に産んでくれる

ライフスパンの最大化の希望が
そこにあると信じてる。

わたしのこういう考え方を
"ポジティブ"っていうんだろうけど、
それでもわたしは
"ネガティブ"を信じたい。